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ライバルの正体

読んでいただきありがとうございます!

 思い切りアメリアを甘やかして堪能したロバートは寝顔を見ながらベッドから起き上がり、影に向かって呼びかけた。

「さっきの女の情報を余すことなく探ってくれ」


去って行く気配が僅かにした。きっと直ぐに調べ上げるだろう。メイフェア公爵令嬢だったか。医者を目指すくらいだから結婚はしないくらいの覚悟を持っていると思っていたが、媚びて来るとは気持ちが悪い。アメリアを傷付けた事を許すわけにはいかない。可哀想なくらい酷い顔色だった。ぐっすりと眠っているあどけなさの残る赤みの戻ってきた美しい顔と艶のある金髪にキスを落とした。


明け方までにはホテルを出ることにした。要塞に連れて帰ろう。アメリアの誘拐が目当てなら居場所を知られるわけにはいかない。アメリアの目の前で誘惑して見せて動揺を誘う作戦だろうか。ロバートの邪魔になると誤解でもすれば自分から離れて行きそうな危うさがアメリアにはあった。



医学を志して放っておいた間にロバートの事を諦めたと言ったのを忘れてはいなかった。必死で愛を請うているのに消えられたら生きて行ける気がしなかった。

さっきの様子でアメリアも同じように想ってくれているのが分かって少し安心した。少しだけだ、自分ほど重い気持ちではないかも知れないとロバートは昏い目になった。




影が報告に戻って来た。

「名前はメイフェア・サラウンド。公爵令嬢です。一度親の言う通りに結婚をしたようですが疫病で夫が亡くなり嫁ぎ先から帰されたようです。医者としては働いてはいません。次の嫁ぎ先を決められそうになっているので、ロバート様狙いですね」

「迷惑なことだ。ご苦労だった」


せっかく医学を学んだのに生かさない馬鹿もいるのだとロバートは冷え冷えとした気持ちを持った。

一度結婚しているのなら次は後妻が良いところだろう、家の駒になってどこへでも嫁げば良いものをと冷めた心で思った。何故自分に関心を持ったのか分からないが徹底的に排除をしようと決めた。婚約者のいる男に手出しをするとどうなるか分からせてやろうと口の端を少しだけ上げた。




まず公爵家当主の父に連絡を入れた。相手が隣国の公爵令嬢なので国際問題になったら厄介だからだ。次に父から陛下に相手に抗議をする許可をもらった。

国内の貴族だったらこんな面倒な手続きは要らないものをとうんざりしたがやるしかない。


アメリアは国としても手放したくはない人材なので直ぐに許可が降りた。公爵家の次男と結婚させてこの国に居てもらうというのは大切な事だと認識されていたからだ。ロバートはレンブラント公爵家の名で令嬢を連れ帰るように抗議を入れた。




その間もメイフェア公爵令嬢は執拗にロバートに接触をしてきた。レンブラント公爵家に押しかけて来ているらしい。まだ新居のことは知られていないようで

ほっとしたが、アメリアと万が一にも会う事があると困るので助かっていた。


公爵家では父や家令が対応してくれていたが、ロバートも顔を出さないわけにはいかなかった。

「何故押し掛けて来る?この前断ったはずだ。私には愛する婚約者がいる。君の出る幕はない。君の実家に抗議をした。国際問題にしたいのか?もうすぐ迎えが来るはずだ。恥を知れ。我が家の騎士に送らせてもよいのだぞ」


氷のような対応に応接室の空気は冷たいものになっていた。


「助けてほしかっただけなの。学院で貴方は優しい人だった。困った患者に寄り添っていた。第二夫人でもいいから側においてほしいと思って」


「馬鹿なことを言うな。患者に優しくするのは当たり前だろう。第二夫人なんて気持ちが悪くて持てるはずもないし持つ気もない。それにこの国は一夫一婦制だ。分かったら帰ってくれ」


「奥様になる方に会わせて、敵わないと思ったら諦めるわ」


「会わせるわけがないだろう、君とは何の関係もないし問題外だ。強制的に排除する事にした。隣国までお送りしろ」



ロバートは切れ味の鋭い刃物のような態度で騎士に命令した。両脇を持たれながらメイフェアが連れて行かれた。馬車に押し込まれ隣国まで帰ることになった。

最後まで「助けて」と叫んでいたが知った事か。頭痛の種がいなくなってほっとした。



父には迷惑をかけてしまったので謝りに行った。

「父上、この度はお手を取らせて申し訳ありませんでした。お陰様で片付きました」


「相手が悪かったな。かなり隣国で権力を持っている家だったが陛下のお墨付きのあるお前の結婚に横槍を入れるなど取り潰しの危機に会うかもしれない」


「娘が勝手にやった事と切り捨てるでしょうね」


「そうだな、修道院に入れるか良くて年寄の後妻だろう」


「向こうの友人にそれとなく愚痴を零しておきますよ」


「それは良い。うちの宝に手を出したのだから思い知らせておくといい」



良く似た黒い笑顔の親子は顔を見合わせてニヤリとした。




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