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話し合い

読んでくださってありがとうございます。

 すっかり元気を取り戻したアメリアを迎えたサラとギルは安心した。特にサラはよく見ていなかったことを後悔していた。


「アメリアが研究になると周りが見えなくなると分かっていたのに、気付いてあげられなくてごめんね。これからは働き方を十分注意するから許して」


「大人なんだから自分の健康管理は自分でやらないといけないのに、こっちこそごめんなさい。サラのせいではないわ。これからはちゃんとお休みを入れるから気にしないで」



「サンデー商会のお二人、随分とアメリアがお世話になったそうでお礼を言わせて欲しい。ありがとう」


「私達はアメリアを大切な友人として支えていたんです。公爵令息様にお礼を言われる筋合いはありません」


「色々なものから守ってもらったと聞いている。君たちがいなかったら今のアメリアはいないだろうということも聞いた。アメリアと婚約することになったので報告をしたいと思ってお礼が言いたかった」




驚いて固まったサラとギルは落ち着こうと応接室に移動し、使用人にお茶を持って来させ椅子に向かい合わせで座った。


「アメリア、今の話は本当なの?この方とは数年音信不通だったのではないの?」


「そうなんだけどね、話をしたらお互いが初恋だったことが分かってもう一度恋に落ちたというか」

アメリアは恥ずかしそうに俯いた。


「信じられないかもしれないが隣国に行っていた時もアメリアのことを忘れたことはなかった。

疫病で国交が途絶えて帰れなかった時もずっと心配だった。国に帰って一番に行った先もアメリアの屋敷だった。誰もいなくなっていて目の前が真っ暗になった」



サラとギルは公爵令息の言っていることは本当なのだろうとは思ったが、数年も好きな人を放っておけるものだろうかと疑問を持った。


アメリアの作るエリクサーの事を知って取り込みたくなったのではと思ったのだが、他人が口出しするべきではないと我慢をした。ギルは拳を握りしめていた。

平民で友達だったから望みがあったが公爵令息が相手では勝ち目がない。



アメリアは元貴族で所作は小さな頃に叩き込まれているので美しい。手入れをきちんとされた髪や肌は輝いていた。


「アメリアが幸せになるのなら文句はありませんわ。但し不幸にしたら直ぐに取り返しに参ります。不敬は承知で申し上げます。宜しいでしょうか?」


「構わない、幸せにする自信はある。こちらの準備が出来るまで申し訳ないがいさせてあげて欲しい。ここならあらゆる外敵から身を守れると聞いている。本当なら今からでも公爵家で保護をしたいのだが、本邸では使用人が多すぎて守りが安心できない。ここまでとは言わないがアメリアを守れるような屋敷を作りたいのだが知恵を貸してもらえないだろうか」


「畏まりました。今から取り掛かりますと半年はかかりますが宜しいでしょうか」


「新築ではないんだ。公爵家が持っている別宅に丁度いい大きさの物があるんだが、アメリアの研究室が第一で私達の居住区も欲しい。一階の一室に私の診療所を作り患者に出入りしてもらおうと思っている」


「それでは人の出入りが自由すぎます。アメリアの研究室用にここを買ってください。私達は許可がないと来れないようにいたします。幸い居住できるように作ってありますし、使っておりませんので新しいままです。多少の改装はしてくださって結構です。アメリアの安全が第一です。どう?アメリア」


「ロバート様さえ良ければ。ここの守りは鉄壁なので有難いわ。私が使わなくなると他の人が研究室にするのよね」


「研究室と言っても他の人では使い道はあまりないわ。でも公爵令息様はこんなところにお住いになるのは良いのですか?」


「僕の事はロバートと呼んでくれ。アメリアが研究する所があって僕も近くで研究も出来れば言う事はない。患者は街の診療所に行けば診れるだろうし」




サラはこのお坊ちゃん先生が診療所に出たらどれだけ女性が離れてくれなくなるのを分かっていないと思った。イケメンで高位貴族で医者だし、女性の患者が欲望丸出しで近づいて来るだろう。親友に嫌な思いをさせるのは嫌だった。


「研究を中心にして王宮で診察の要望があれば行くように出来ないんですか?アメリアの側を離れるのはまだ早いです」


「そうだな、今も王宮で働いてはいるんだが雑用が多くて肝心の診察がたまにしか出来ていないんだ」


「アメリアの安全は優先事項第一位です。各国から狙われているのは結婚も入っていましたの。釣り書が沢山商会に届いていました。居所は隠していましたのでお断り出来ていましたが。

これで一つ不安が減りました。ギルと結婚させても良かったのですが平民ですと簡単に差し出せと言われそうで恐かったのですよ。もちろん我が国の王家もその一つでした。王命でも出されたらと一番心配だったのです」



「アメリアを繋ぎ止める為には王族と結婚させる事くらい考えるだろうな。けれど君たちが匿ってくれていたおかげで毒牙にかからなかった。ありがとう。

では研究をメインに診察は要望があった時だけにしよう。貴族は平民の医者に診てもらうのを嫌がるからそのへんをターゲットにしよう」



このお坊ちゃん先生ちょろいとサラは心の中でニヤリとした。やっぱりアメリアは私たちも一緒に守っていこうと思った瞬間だった。


「社交はどうされるんですか?」


「どうしても出ないといけない時以外、アメリアが嫌なら出ないようにする。トラブルは我が国としても避けたいだろうし。でも綺麗に着飾らせて色々な所へ連れて行きたいんだ」


「まあ嬉しいわ、ロバート様。行きたい所が色々あるの」


「アメリアの願いなら何でも聞くよ。結婚式はどうしたい?ドレスはどういうのが良いかな?綺麗だろうな」



二人の世界になった途端サラが手を叩いて雰囲気を壊した。ギルが可哀想すぎるではないか。ギルだってアメリアを想っていたのは良く分かっていたのだから。


ギルは恋心を胸にしまい生きていきます。双子にいつか良い人が現れればと思っています。

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