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いい物語には喧嘩とイベントが盛りだくさん!前日譚

俺たちが巻き込まれる2日前の夜。

「そういや、部長。後輩からですね『サークルのトップって会長ですよね?なんで部長って言うのですか?それに顧問の教授には先生って言ってますよね?なぜです?』って言われたのですがどう答えたらいいですか?」

「それはね、我々のサークルは何処からどう見ても高校とかの部活とかにありそうじゃん?そして、会長や教授って言われないのは私達がそう呼んでほしいと言ったからなのだよ」

「どういうことですか?」

「私の態度や行動を見てどう見えた?童心というかアニメや漫画とかに出てきそうなキャラクターに見えてないかい?」

「そうですね。自分勝手に部活を動かす部長ですね」

「つまりそういうことなの。私の行動を見た人達は会長というより部活の部長だなって事でそう言われてるの。先生、もとい教授はね自ら言ってたのよ。私のことは教授ではなく先生って呼んでくれない?ってね」

「なにが原因で?」

先生は確かに教授って言うには若い。それに大学院生でサークルの顧問って聞いてるけど実際にそれが出来るのはおかしい。

「先生はね、一応大学は卒業してるんだよ。海外の大学を飛び級で卒業したらしいよ。でも、日本に戻ってとある小説を読んでその人のところを訪れたらこの大学を勧められたらしいよ。それでなんやかんやあって今の場に落ちついたらしいよ。」

「それと教授から先生呼びに変わったのは?」

「教授って呼ばれると老けて見られるから若く見られるために先生呼びを強要されてるの」

「あの人若いのにそんなことしてるのか」

俺はあの人の事を初めて軽視してしまった。

この夜は俺と部長でTRPGの物語をあらすじだけ話し合い、そこから2人で物語を書き後輩1号の先輩に読んで貰うという流れになっているのだ。

「そういや後輩1号はまだなのかい?連絡は入れてるんでしょ?」

「先輩ならあと5分で来ますよ。さっきお裾分けもらいましたから」

「な、何を貰ったのか聞いてもいいかい?」

「ーー今日はポトフを持っていきましたよ。せ、ゔぅん!部長」

「後輩1号のポトフかい!?羨ましいぞ10号!」

「先輩、ご馳走様でした。今回のポトフはじゃがいもがボロボロでソーセージが美味かったです。スープも自分が好きな味でしたがもしかして部長が好きな味ですか?」

「そうだよ」

後輩1号こと俺のお隣に住む先輩は家族と共に住んでいる。俺はその隣で一人暮らししている。先輩は俺がよくコンビニ弁当やレトルト、カップ麺が主食にしてたのがバレた。そのため先輩は多く作ったり家族の帰りが遅い時は俺と一緒に食べたりしてくれる。理由を聞いたら、

「私の先輩であるあの人が好きな食べ物と君か好きなものが似てるからそのためにね。あとは君の顔色が悪いから気になったから。同じサークルの人ってのもあるけどね。あんまり気にしないでね」

そう言われたのだが悪い気がしてるので先輩には2人で食べる時やお裾分けをしてもらった次の日に材料費や一緒にご飯を食べに行ったりする。ご飯というより甘い物が多い。

「傍から見たら恋人に見えるのにね。それよりもだ。1号よ、今、あらすじは話終わり前半と後半で私と10号が作ったのを読んで添削、助言などを頼む」

「分かりました。そのうちにお2人はもうひとつ書いてもらってもいいですか?」

「なんでですか?」

どういうことだ?TRPGはサブストーリーとか別ルートってあるか?俺はそんなふうに考えてしまい先輩に聞いてみた。

「もしかして他の者たち好きの方を選ばせるのか?」

「そうです。多分勇者になって話を進めようとしてますよね?それだと単純で簡単になるので難しくするという考えで冒険者側の方も作って欲しいのです。ステータスはチート系はひとつのみというのはそのままにしてください」

「そういうことなのですね。分かりました。部長、あらすじを話し合った後に直ぐに前半を作るーー」

「前半と後半を作るのは交代してください。冒険者側は前半をシビアにして後半を簡単に見せかけるようにしてほしいんです」

「冒険者ならではのかな?」

そうだよね。冒険者ってよく、ランクとかあるからそれを考慮してするのか。さすが先輩だな。

「前半で苦労したのに後半がもっと鬼畜仕様にするのはプレイヤーの心をへし折りますよ?」

「あ〜確かにね。私の物語やルールだと後半からきつくなるから1番優しい10号に任せようとしてるのか」

「そうです」

クールに言いましたけどただ部長の内容だと詰むかもってことなのか。先輩の言葉は何気に刺さるのです。

「今、目を通しましたが何点か噛み合わないところがあったのでそこを切り抜きますのでおふたりで決めてください。部長の内容は結構いいのですがこれだと選択肢が少なくなるのでもう少しヒントや簡単にしてください。鬼畜から難しいに変更してください。10号は誤字や脱字が多いです。ヒントはいいけど多いから少し減らしました。とりあえず詰めるところ詰めたらこれはいいですよ」

「うっ!気にしてるところを突いてくるな1号は頑張るから明日の昼はお手製弁当を期待してもいいかい?」

「うーん。冒険者側を確認して問題なければいいですよ」

「今すぐ冒険者ルートを上げろと!?鬼畜編集者かな!?君は」

「部長達落ち着いてください。それじゃあ冒険者側のルートのヒントは減らします。あとは冒険者側は簡単に見せて難しいにした方がちょうど良くなりますか?」

「そうですね。そっちの方が気を抜いた時にやられますので楽しそうです。それでやってください。ヒントはその場ではなく、村や書物で出てくるみたいにした方が難しくなりそうですね」

「分かりました。っと先輩、さっき渡したステータス表、もといキャラクター作成用紙を明後日までに埋めておいてくださいね。先輩もチート系をひとつだけ入れておいてください。運はみんなクジで決めるのでそこだけ空けておいてください」

俺たちのキャラクターの運はゲーム前にクジを引き、その時に出た数字が運になるようにしている。探索や推理、その他はその運との掛け合いで成功するかしないかにしている。初めてする人達に分かりやすくするためでもある。

「いくら公平にするためとはいえ、出てくる数字が3と2、1って分かりやすいがこれがサイコロの目とは。運が高い人は3面で低ければ1面のみなのよね?今回のはどんな風にするの?」

「今回も前回と同じですよ。運の高い方では大まかで詳しくは追求できず、運の低い方は詳しく尚追求ができるようになります。要は低い方が情報を手に入れやすいってことです」

「何かとこれで最後までクリアしてますからね。部長、これに反対はダメですよ。俺らが決めたんですからね」

部長のく〜っと悔しがる声を聞きながら俺たちは物語を書いていく。先輩は出来次第確認をし、そこからの改善点を話す。これが我らサークルの手作りTRPGである。絵やコンテは作りはしないが好評であれは絵を先輩達が描いてくれる。

「明日はこれを先生に見せ、良ければ明後日に実践だよね?あの教授のことだから多分やるんじゃない?突発イベント!」

「あの人は毎回作ったものに自分もひとつ加えてくるのはデフォルトになりましたよね。初めは反対してたのに面白いから許してましたしね」

「私は賛成派だから気にしてなかったよ。あの人も一応小説書いていたらしいからね。その流れでしてるんじゃない?」

誰も知らない突発イベントは先生の手によるものだ。難易度はそこまで酷くはないのだが、いやらしい?いや、地味に痛いものを仕掛けてくる。イベントに引っかかっても初めは気にもしないのだが後半に行くにつれ酷くなる。これで毎回やられてる人もいる。

「今度こそ!今度こそ絶対打破してやるんだ!あの三十路のイベントに勝利を!」

「「出来たら毎回最後で殺られてませんよね?」」

グサッ!

部長が画面越しに頭を抱えている。毎回引っかかってクリア出来ずに終わる。

「部長、冒険者の前半は書けました?」

「あと少しで終わるから。10号はどうだい?」

「俺はあと半分です。出来たら部長のと合わせましょうか。少し読んで残りは先輩に」

「それでよろしく。私ももう少しで読み終わるから」

「よっし!!あと少しだ!頑張るぞ!!」

これが締切間近の小説家の気持ちかな?って思ったが絶対に違うと思ってしまう。

翌日の昼。俺たちは先生の元に勇者ルートと冒険者ルートの原稿を持っていき確認をしてもらっていた。

「うん。出来はいいね。これに私がイベントを入れることを考慮しているのはつまらないが君たちからしたらそれが楽しみな部分でもあるのかね?」

「今度は勝利します!」

「そう言って出来てないのにね」

この会話を永遠に聞かされてる俺と先輩は欠伸を噛み殺しながら横目で見ている。そりゃそうだよ。あの会話から喧嘩して先輩も止めに入ったら飛び火してそこから三つ巴の喧嘩になる。それが収束したのは朝方の5時だった。もうみんなへとへとになり先輩からよし!これで行く!と言いみんな寝らずに大学に集まるというおバカさんに早変わりしていた

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