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カウンセラーに土下座しろ  作者: 両方の性別の若者
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転移されたクラス

カウンセラーなんて存在しなかったんや

瞼の奥には鬱陶しいほどのまばゆい光が目を開けさせない。

地面の冷たさを全身で感じ、自分が今全裸であることをその開放感からもはっきりと感じる。

立ち上がろうとするが立てない。インフルエンザを患った時のように思考がぼやけ、体に力が入らず、しゃべれもしない。もう何もしたくないと思えるほどにだるい。


だがいつまでもそういうわけにはいかない。

何者かの話し声が聞こえる。このまま寝ていたら死ぬ可能性がある。

俺がもう一度気合を入れて立ち上がろうとすると大きな布をかけられた。

冷えた体を暖かい布が包んでくれる。襲い掛かる睡魔に負けじと立ち上がると少しばかり体の自由が利くようになってきた。ぼやけた視界が次第にクリアになってゆき、現状を正確に理解する。


「ここは?」


荘厳な雰囲気に包まれた白い空間に紅一点と言わんばかりの赤く煌びやかな衣装をまとった女性が中心に一人。

そして巨大な空間を巨大と感じさせないほどにひしめき合う白い服を着た人たちが俺たちを見ている。

「俺たち」といったのは間違いではない。周囲には同様に白い布をかけられたクラスメイト達が地に伏しているのだから。数人は俺同様体を起こし唖然としていた。


状況を整理するにおそらくクラス転移型。

行ったのは神か人かはわからないが沢山の人間が集まっているところを見るに意図的な転移だろう。

ローマ神殿のような神聖さを感じる建物から察するに宗教の力が強いらしい。

もしくは宗教国家である可能性がある。


しかし、言葉に対する返事がないのが不安だ。

ここまで大々的に僕らを召喚しているのだから秘密裏に召喚して僕たちを道具のように扱うつもりではないのだろう。だとしたら即刻監禁しているはずだ。そうでないということは少なくとも表向きは歓迎しているのかもしれない。


中心の女性が席を立つ。一つ一つ丁寧な所作と後ろのガラスからの後光が彼女を神々しく見せている。

この場にいるすべての人間に静寂が宿り、彼女を見つめる。


『異界の勇者たちよ!我らロミオ!約束されし永劫の民にして、神の○○!我らとともに歩む異界の勇者よ!我らの召喚に応じ、その契約を果たしたまえ!』


え?


俺は一瞬、彼女が何を言っているのかわからなかった。否、内容はある程度理解できた。理解できてしまったのだ。なぜなら、彼女が使っている言語は…


英語であったからだ。


何を言ってるかわからねぇと思うが俺もわからねぇ。

いやさ?言語がわからないパターンは想定していたよ?

ご都合主義な世界ではなんか言語がよくわかったりするらしいけど、英語?!


おちつけ俺。COOLになるんだ。よく考えればよかったじゃないか、英語で。一から言語を覚える必要がない。だが今、重要視するべきはなぜ英語が使われているかだろう。神とやらの存在がちらつくな。俺は無宗教だが今は神を信じるしかなさそうだ。いやいつも乱数の神には祈ってるけど…

まぁとにかく今後は現状をよく把握するところから始まりそうだ。


荘厳な建物の中で俺が妄想…もとい考察を始めていると突然、大聖堂(?)の扉が開き、兜のないフルプレートの鎧の騎士が入場してきた。それと同時に様々な管楽器の音が空間を支配する。精巧な金の刺繍の入った旗を掲げた騎士は、一糸乱れぬ行進で女性の座の前まで進む。次々に入場する騎士たちも神聖な雰囲気を身にまとう。


これほど鎧をこんなにも作るとは…

それにこの刺繍。なかなかの財力を持っているようだな。マジでなんで俺たちを呼んだんだ?

それほどまでにこの世界の敵は強いということか。

それとも俺たちに自分たちの力を見せつけているのか。

逆らうのは得策ではないと。ぶっちゃけそういう政治的感覚はよくわからない。


数秒、音楽が鳴りやむ。またもや静寂がやってきて聞こえてくるのは騎士たちの呼吸。

一斉に騎士たちが呼吸をしたかと思えば彼らの口から聞こえてくるのは聖歌のような美しい歌声。

鎧の下に隠れているであろう筋骨隆々な肉体の一体どこからそのような声が出てきたのかわからないほどに美しい高音が響き渡る。


その歌に俺は感動した。俺はこの時、はっきりと感じたのだ。俺は今まで転移直後に聖歌が出てくるラノベなんて見たことない。そこに俺は感じたのだ。彼らの歴史を、積み重ねを……


彼らは生きていて、この世界は物語の世界などではないということを。

まだつまらないかもしれないけど待ってくれ...

まだここから面白くなるかもしれんから....

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