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探し人と会議

 カンヤさんがいない。部屋に入ったのは確認しているから、その後にすぐ出たのだろ

うが……いったいどこへ行ったのだろうか……。

 すぐに確認できて、可能性が高いのは、お手洗いだろう。

 私はカンヤさんの部屋のドアを閉め、お手洗いへ向かった。

 よくよく考えると、ドアに鍵がかけられていなかった。それすら確認していないとい

うことは、本当に部屋に入ってすぐ出たのだろう。

 お手洗いは各階にあるとナルメアさんが言っていた。廊下を歩き、確認すると、三階

の丁度中央にあるのを確認した。

 トイレに入って中を確認するが、手洗い場にも各部屋にも、将又掃除用具入れにも、

カンヤさんの姿を確認することはできなかった。

 お手洗いではないとすると、誰かの部屋に行ったか、違う階に行ったか、もしくは

外に出たか……。カンヤさんはこの町の出身だ。外に出た可能性も十分に有り得る。

 取り敢えずお手洗いと同じく、近いとこから確認しにいこう。

 私はアーデさん、エルロアさん、イザベラさんの部屋に行き、カンヤさんがいないか

確認することにした。しかし、三人とも答えは同じだった。

「来てないわよ」

「そうですか……」

 三人目のイザベラさんの部屋から出、ドアを閉める。

 私と同じ階の人の所へ行っていないとしたら、後はセシル君の所だろうか。しかし、

セシル君の所へ何をしに? まぁ、念の為確認しておこう。

 私はセシル君のいる四階へ向かう為、階段の方へ向かった。しかし私は四階へ向かう

前に、カンヤさんがセシル君の居る部屋へ向かっていないことを確認することができた。

なぜなら、階段の所で丁度ナルメアさんが四階から降りて来たからだ。

「すいません。カンヤさん見ませんでしたか」

ナルメアさんが足を止めて答える。

「四階では見ませんでした」

「そうですか。やっぱり外に出たのかな」

「受付に行かれたのでは? 私も受付に戻りますから、一緒に行きましょうか」

私は「はい」と返事をし、ナルメアさんと階段を下った。

 階段を下りながら、ナルメアさんが言う。

「ところで、なんとお呼びしたらよろしいですか。陛下に倣って、セレスティア様とお

呼びした方がよろしいのでしょうか」

「いえ、やめてください」

私はきっぱり断った。アークラード王は断っても辞めてくれなかったが。

「わかりました。セレスティアさんとお呼びしますね」

「お願いします」

 良い機会なので、私は何か情報を訊いてみることにした。

「ブランクグループについて何か情報はありませんか」

「いいえ、ハンズ・ブランクがベアボルに帰ってきた後、特に動きはありません。首都

襲撃もブランクグループが犯人だという確かに証拠もありませんし、下手に刺激して大

事にすると、無関係な人たちに被害が及ぶ可能性がありますから、今は様子見するしか

ありません」

「そうですか……。ちなみに、サラソナ商会については何か知りませんか」

「サラソナ商会は、カンヤさんの指名手配の取り消しを受けて、捜索を打ち切ったそう

ですよ。あ、そういえば、セレスティアさんがベアボルに来たら、連絡してほしいとこ

ちらに連絡がありました。サラソナ商会と何かあったのですか」

「ええ、まぁ……。そちらは後で私が対応しておきますね」

「はい。お願いします」

 そういえば、ひとつ気になることがあった。ついでなので、訊いておこう。

「そういえば、なんで警備隊支部なんですか」

「? なぜって、本部は首都ロマリオにありますから……」

私の言い方が悪かった。質問を変えよう。

「サニードリーは警備隊本部となっていたので、ベアボルも本部なのかと」

「なるほど。そういうことでしたか。サニードリーが本部なのは、元々サニードリーに

自警団があって、今に至っています。なので、国は現在資金援助だけで、運営自体はし

ていないんですよ」

「なるほど。そういう事情なんですね」

 ナルメアさんと話しをしていると、受付に到着した。

 受付にカンヤさんの姿は……あった。ドレンドさんと何か話している。そして、ドレ

ンドさんは何やら困惑している様だ。

 ナルメアさんが「どうかしましたか」と声をかける。すると、ドレンドさんが答えた。

「いや、彼女の母親の遺体の場所とか……知らねーよな」

ナルメアさんは少し呆れた様に溜息を吐いた。

「ベアボル中央病院で預かってくださると連絡があったじゃないですか」

ドレンドさんは首を傾げた。

「そんな連絡来てたか?」

「私はドレンドさんから聞きましたよ」

「そうだっけか。まぁ、そんなこともあるわな」

おそらくその場にいた誰もが「そんなことはない」と思っただろう。

 ナルメアさんが私に向かって言う。

「この様に、この方は脳筋なのです。注意してください」

否定する余地もないので、私は「わかりました」とだけ答えた。

 そして、ベアボルの中央病院に母親の遺体があることを知ったカンヤさんは、外に飛

び出して行くと私は思ったが、飛び出しては行かなかった。ただ一言、

「ありがとうございます」とお礼を言い。私の方へやって来た。

 私は気になり、カンヤさんに「いいの?」声をかけた。

「はい、いいんです。今は行っても、何もできませんから」

 そう言うカンヤさんの表情は、何か決意を固めた様な、強い意思を私は感じた。


 その後、食堂で昼食をみんなでとった。

 食堂は人でごった返すと思いきや、割とまちまちだった。人によってはお弁当を持参

したり、まだ仕事中の人が時間をずらして昼食をとるのが理由らしい。

 昼食中にエルロアさんから、「夕方にこれからのことを話し合おうか」と提案があっ

た。場所は部屋が大きいからと、セシル君が自分の部屋を提案してくれ、誰も異論はな

く、会議はセシル君の部屋で行われることになった。

 昼食後、お茶したり部屋でゴロゴロして過ごしていると、あっという間に夕方になっ

た。そろそろセシル君の部屋へ向かおう。


 エルロアさん、イザベラさん、アーデさん、カンヤさん、ドレンドさん、ナルメアさ

んと共に、四階のセシル君の部屋へ向かった。

 セシル君の部屋までは、ナルメアさんが先導してくれた。

 ナルメアさんが四階の一室をノックすると、セシル君が室内から出て来た。

「どうぞ皆さん入ってください」

 ナルメアさんが室内へ入り、ドアを抑えた。

 みんな「失礼します」と室内へ入ると、ナルメアさんが「紅茶、お淹れしますね」と、

部屋を出ていった。

 室内は、私たちの部屋と同じく、石造りの頑丈な造りになっている。部屋の中央には

絨毯が敷かれ、その上に一人用のソファーと三人掛けのソファーが二台が、テーブルを

囲む様に置かれている。部屋の左奥にはタンスと棚。右奥には小さい暖炉がある。部屋

の右奥を観ると、ドアが見える。ベッドがないことから、おそらく寝室だろう。

 セシル君が「どうぞお座りください」と促す。

 セシル君はそのまま一人掛けのソファーに座ったので、私たちは三人掛けのソファー

に座った。

 ソファーに座ると、エルロアさんが話しを始める。

「では、会議を始める。議題はハンズ・ブランクを如何にして追い詰めるかだ」

ドレンドさんが言う。

「おう。何か策があるのか?」

「ああ。だがその前に、基本情報から整理していこう。まずハンズ・ブランクは、今か

ら二年前ほどにベアボルに現れ、ブランクグループという魔道具や魔石を取り扱う会社

を創業した。ブランクグループは、あっという間に大きくなり現在に至るが、その間、

黒い噂が絶えなかった。しかし、どれだけ調査しても、確実な証拠は挙がってこなかっ

た。いや、おそらく揉み消されたのだろう。だが、今回は違う」

「何が違うんだ?」

「それは、ハンズ・ブランクがベネオスの裏オークションで、魔導機兵の設計図を落札

していたというセレスティアの証言だ」

エルロアさんがそう言い、私の方を見たので、私は答えた。

「はい。『落札者名簿』も確認しましたので、間違いありません」

「つまり、首都ロマリオの北門を襲撃したオートマトンを作ったのは、ハンズ・ブラン

クで間違いないということだ」

 ドレンドさんが勢いよく立ち上がった。

「よし! それじゃあ早速懲らしめに行こうぜ!」

エルロアさんが制止する。

「待て。オートマトンは一体でも強力だ。ハンズ・ブランクがオートマトンをどれだけ

作っているかわからないまま確保しに行くのは危険だ」

ドレンドさんが座る。

「じゃあどうしようってんだ」

「まずは調査だな。ハンズ・ブランクがどれだけオートマトンを製造しているか。それ

と、落札したのは魔導機兵の設計図だ。魔導機兵が製造されているのかも調査したい。

それと動力源がなんなのかもできれば調査したいところだ」

「調査か……」

ドレンドさんのテンションが下がった。多分苦手なのだろう。

 ドレンドさんのテンションが下がったところで、部屋の入口からノック音が聴こえて

きて、ドアが開く。現れたのはナルメアさんだった。彼女はトレーを持っていて、ト

レーの上にはティーポットと砂糖とミルクが置かれている。

 アーデさんが立ち上がった。そして、部屋の隅にある棚からティーカップを取り出す。

ナルメアさんが「ありがとう」とお礼を言う。

 二人はどっちが上官なのだろう。敬語じゃないということは、二人は気安い関係なの

だろうか。

 エルロアさんが言う。

「それじゃあ、具体的な調査の仕方を決めていくぞ」

 会議はまだまだ続きそうだ。

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