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ベアボル警備隊支部

 ベアボルの警備隊支部は石造の建物で、非常に硬そうな造りになっている。塀もそう

だが、相当外敵から守りやすい造りになっているように見える。

 支部内に入ると、そこは受付になっていて、入口から正面の受付カウンターの奥には、

机と椅子が綺麗に並べられていて、多くの職員たちが何かしらの仕事に取り掛かってい

る。人数的には百から二百人はいるだろう。

 受付内の中から一人の男性が我々に気づき、こちらへ向かって来た。その人物は顎鬚

を蓄えた大男だ。服装は上下革装備を着ている。

「ようこそいらっしゃいましたセシル陛下。御付きの人たち……なんか見たことない顔

ぶれもいるが、遠路はるばるようこそ」

 エルロアさんが前に出る。

「ドレンドもお元気そうで何より。紹介するわね」

エルロアさんは私を指して言った。

「こちらは魔女のセレスティア。わけあって、手を貸してくれることになった」

次にカンヤさんを指して言う。

「こちらはハンズ・ブランクに濡れ衣を着せられた、カンヤだ。詳しくは報告書で

送ったはずだが……」

エルロアさんがそう言うと、ドレンドさんは明後日の方を見た。

「あー……そんなんあったっけか?」

エルロアさんはため息を吐いた。

「はぁ……やはり読んでいないようだな。まぁいい、いつものことだ。それよりも、

我々は長旅で疲れている。みんなが休める部屋まで案内してくれないか」

 ドレンドさんは「わかった」と返事をすると、受付の方に振り返る。

「おい、ナルメア。部屋まで案内してやってくれ」

 受付の中のデスクで何やら作業をしている人の中で、眼鏡を掛けてスーツを着た女性

が「はい」と返事をし、立ち上がった。ナルメアと呼ばれた女性の方は、私たちの方へ

やって来た。

 ナルメアさんは髪をうしろで纏めた、どことなく凛々しい雰囲気を感じる人物だ。

「ナルメア・フランメルと申します。部屋まで案内させていただきます。私に付いて来

てください」

エルロアさんが「よろしく頼む」と返事をした。

 ナルメアさんは入口から右手側に進んで行く。私たちはその後を追った。受付が終

わってすぐに左へ曲がる廊下が見えた。ナルメアさんはその廊下へ曲がって行く。左の

廊下を曲がると、その先には少し広い空間があり、奥には両開きのドアが見えた。どう

やらここは、裏口のようだ。

 ナルメアさんはその両開きのドアを開け、裏口から外に出た。外へ出ると、正面に警

備隊支部とほぼ同じ建物が見えた。ナルメアさんがその建物の入口前で一度振り返る。

「ここは警備隊の宿舎になります。基本的な設備は揃っているので、それほど不自由は

ないでしょう。お手洗いも各階にあります」

 ナルメアさんは両開きのドアを開け、中へ入る。

 宿舎に入ると二階へ進む階段が見えたが、ナルメアさんはスルー。そして、廊下を少

し進むと、大きな部屋が見えてきた。

 ナルメアさんが振り返る。

「ここは食堂です。朝六時から夜九時まで。それ以外の時間でも、予約しておけば作り

置きもしてもらえます」

 部屋の中には長テーブルと椅子が綺麗に整列され、並んでいる。二百人くらいは入り

そうだ。

 更に先へ進むと、また大きな部屋へ出た。先程の食堂と比べると、半分くらいの大き

さだろうか。

 再びナルメアさんが振り返る。

「こちらはサロンになっています。警備隊員が休憩する時に使う所です。それから左の

廊下の先は、バスルームになっています」

 バスルームの場所、覚えておこう。サロンの方は、椅子とテーブルしか置いておらず、

最低限の形を保っているサロンとなっている。

 サロンのすぐ正面は階段になっている。ここからも二階へ行けるようだ。下りの階段

も見えるが……倉庫だろうか。

 「次は二階です」と、ナルメアさんに促され、私たちは二階へ上がった。

 二階へ上がった所でナルメアさんが振り返る。

「この宿舎は四階建てなのですが、二階、三階は全て個室になっております。二階は男

性。三階は女性用となっております」

セシル君が言う。

「では、私はこちらですか?」

ナルメアさんは否定した。

「いえ、王族や貴族の方たち用の部屋は四階になっております。ので、セシル様は四階

です」

「僕はこちらで構いません」

「駄目です」

ナルメアさんは少し強めに否定した。まぁ、何かあったら怒られるのはナルメアさんだ。

でも、理由はそれだけではないだろうが、取り敢えずセシル君の案は却下された。

 ナルメアさんはそのまま階段を上がる。

 三階に到着。三階の構造は二階と同じだ。構造は、廊下がロの形になっていて、外側

と内側に部屋が並んでいる感じだ。

 ナルメアさんが振り返り、言った。

「女性の皆様は、この階に泊っていただきます。部屋の鍵は室内の机の上にあるので、

自由にお使いください」

 ナルメアさんが一人ずつ部屋へ案内していく。階段からすぐ左の部屋はアーデさん。

その左がエルロアさん。その更に左がイザベラさん。カンヤさんの部屋は階段のすぐ右

手側。そして、その右の部屋が私の部屋だ。

 ナルメアさんは私たちの部屋を割り振ると、セシル君を連れ、四階へ上がって行った。

 私は案内された部屋に入る。

 部屋の中も外と同じく石造りで、広さはそんなにない。大体六畳くらいだろうか。部

屋に入って右正面にベッド。左正面に机と椅子。その間の奥の壁に窓がある。窓を開け

てみると、外側には鉄格子が付けられていた。

 アデルはベッドに寝転ぶ。

「随分簡素な部屋だな」

私は魔女帽子とショルダーバッグをベッドに置いた。

「寝泊まりするだけなら問題ないよ。頑丈そうだしね」

「その分危険が多いんだろう」

 私もそう思った。ベアボルは治安が悪いと聞いたことがあったが、ここも完全に安全

ではないということなのだろう。その為に、この警備隊支部は頑丈に造られているのだ

ろう。

 さて、これから何をしようか。今日は一日休みということだが、流石にこのまま一日

潰すのは勿体なさすぎる。

 そういえば、カンヤさんはどうするのだろう。カンヤさんはこの街の出身だし、それ

に、何か思い詰めていたみたいだし……。ちょっと様子を見てみようかな。

 私は「ちょっとカンヤさんの様子を見てくるね」とアデルに言い、部屋を出た。

 カンヤさんの部屋は私のすぐ隣の部屋だ。部屋を出て、カンヤさんの部屋のドアを

ノックした。しかし、中から特に反応はなかった。

 再びノックするが、やはり反応はない。ドアノブに手を掛け、回す。すると、ドアは

開いた。

 「お邪魔します」と部屋内を確認した。しかし、カンヤさんの姿はなかった。

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