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オートマトンの残骸

 お見舞いの品を買った私とアデルとカンヤさんは、ロマリオ中央病院へ向かった。

 首都の病院だけあって、ロマリオ中央病院は広かった。わかりやすく言うと、前に

行ったサニードリーの病院と同じくらいの病院が二棟並んでいるのである。そして、そ

の二棟が連絡通路で繋がっていた。

 私たちは、二棟の内手前にある病院の入口に向かった。

 この時私たちは、当たり前のようにクラリスさんに面会できるものだと思っていた。

 院内に入り、受付へ。ツインテールの看護婦さんに声をかける。

「すいません。クラリスさんという方と面会したいんですけど」

するとツインテールの看護婦さんは申し訳なさそうに言った。

「申し訳ありません。クラリスさんは現在面会謝絶となっております」

私とカンヤさんは同時に「え?」と言った。

 私とカンヤさんは何を言っているのか理解するのに数秒時間を要した。その姿は看護

婦さんから見れば、とても間抜けだっただろう。


 お城のゲストルームのソファーに座り、私はため息を吐いた。

 クッキーを持って来てくれたクララさんが紅茶を淹れながら言った。

「すいません。事前に言っておけばよかったですね」

「いえ、私が確認しておかなかったのが悪いんです。そうですよね……普通に考えて意

識が戻ったばかりの人と面会なんてできないですよね……」

「きっと二、三日中には面会できますよ。なんでしたら、エルロア様やイザベラ様でし

たら面会できると思うので、私の方からお見舞いの品をお届けするようにお願いしてみ

ましょうか」

「そうですね……」

私たちはこの後、夕方頃まで暇になるだろう。つまり、直接行ったっていい。

「エルロアさんって執務室にいらっしゃいますか」

「はい。今日は一日中いらっしゃるはずですよ」

「では、後で直接話してみます」

「了解しました」

 紅茶を淹れ終わったクララさんは、ドアの前で頭を下げる。

「では、私は失礼いたします。ディナーのころに再びお伺いしますね」

「はい。ありがとうございます」

 クララさんはゲストルームを去って行った。

 クララさんが退出したドアから目の前に視線を移す。するとそこには、ケーキを幸せ

そうに食べるアデルとカンヤさんの姿が見える。ケーキ入った箱を見ると、そこには最

早私の分のケーキはなかった。

 ……紅茶がおいしいな~。


 紅茶を飲んで、クッキーをいただき、少し一服した後、私たちはエルロアさんの執務

室へ向かった。

 執務室のドアをノックすると「どうぞ」と声が聞こえたので、「失礼します」とドア

を開け、室内に入った。

 室内には、机に座って執務を行っているエルロアさんと、ソファーに座って紅茶を飲

んでいるイザベラさんがいた。

 執務を行っていたエルロアがペンを置く。

「ようこそ。どうぞ座ってくれ」

「はい。失礼します」

私とカンヤさんは、イザベラさんの向かい側のソファーに座った。

 私は二人が初対面であるカンヤさんを紹介することにした。

「こちらカンヤさんです」

エルロアさんが「そう……あなたがね」と言ったが、イザベラさんは「誰?」と言う。

 カンヤさんは自己紹介をした。そして、自分にあったことを話した。ベアボルでハン

ズ・ブランクに嵌められたこと、それと私と会った後のことを――。

 エルロアさんは腕を組んだ。

「そうか。届いた手紙を読んで少しは知ってはいたが、まさかそんなことになっている

とはな。しかも、今回の襲撃にハンズ・ブランクが絡んでいるとは……」

「はい。裏オークションで設計図を落札していました。私は直接魔導機兵を見たわけで

はないので確証はないですが、ほぼ間違いないでしょう」

イザベラさんが言う。

「そのハンズ・ブランクって奴が全ての黒幕なんでしょう。なら、とっととベアボルに

行って、取っ捕まえてしまいましょうよ」

しかし、エルロアさんが反論した。

「生産された魔導機兵の数がわからないのに、むやみに敵の本拠地へ乗り込むのは危険

過ぎる。三体だけでも、百数名の被害が出たんだぞ」

イザベラさんがむーっと、頬を膨らませた。

 私は魔導機兵、オートマトンについて、もっと知っておきたい。

「オートマトンの残骸って、残ってないんですか」

エルロアさんが答える。

「念の為保管してある。イザベラ、頼む」

 イザベラさんは「はいはい」と、面倒くさそうにソファーを立ち、部屋を出て行った。

 イザベラさんを待っている間、エルロアさんが紅茶を淹れてくれた。そして、私たち

はたわいない話しをし、イザベラさんの帰りを待った。

 イザベラさんは十分ほどで帰ってきた。

 帰って来たイザベラさんは、イザベラさんと同じくらいの大きさの、大きな長方形の

木箱を持っていた。しかし、その大きさからドアに引っ掛かっている。

「ちょ……手伝って……」

 私は紅茶のカップをソーサーに置き、イザベラさんを手伝う。

 私は、イザベラさんが持っているのと反対側を持ち、ちょっと木箱を斜めにして引く。

そして、その木箱をテーブルの上に置いた。木箱はテーブルを少しはみ出しそうな大き

さだが、私とイザベラさんの紅茶はエルロアさんとカンヤさんが持ってくれた。

 イザベラさんが、「開けるわよ」と木箱のファスナー止め金具を外し、蓋を取る。

 木箱を開けると、オートマトンの残骸が姿を現した。

 オートマトンは人型で、右腕の肩関節と左足の股関節折れて、外れていた。そして、

頭部があったと思われる部分は、人間でいうところの鎖骨の部分から上の部分がなく、

爆発でもした様に焦げ跡があった。

 素材はオートマトンに相応しい素材。つまり、魔導伝導率が高い素材だろう。オート

マトンの機体が白色なことを踏まえると、おそらくミスリルで間違いないはずだ。

 折れた右腕を持ってみる。ずっしりしていて、なかなか重い。しかし、ミスリルで作

られている割には軽い気がした。よく見てみると、骨組み部分は鉄で、外側のミスリル

と骨組みの間には木材で作られている。この木材も魔導伝導率の高い素材なのかもしれ

ない。黒くて太いラインが観えることから、おそらく黒檀だろう。

 手の平に魔術石が埋め込まれている。私は右腕を置き、足の裏を見た。すると、予想

通り魔術石が埋め込まれていた。

 私は他に何かないか探す為、モノクルを使ってみることにした。モノクルを使うと、

魔力の残滓が観えた。特に魔術石がある手の平と足の裏。しかしそれよりも、最も魔力

の残滓が残されている部分があった。

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