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お見舞いの品を求めて

 北門前広場には騎士の方々が並び、通せんぼしている。

 通せんぼの奥は石畳が剥がされ、木と鉄の金具で作られた門は粉々になっている。北

門周辺の外壁も壊されて、崩れていた。

 瓦礫の上には何十人という人が瓦礫の撤去作業をしているのが見える。

 カンヤさんは悲痛な面持ちで言った。

「酷いですね。正直ここまでとは思いませんでした」

私もカンヤさんと同意見だ。オートマトン三体だけと聞いていたが、これほど被害が出

ているとは思わなかった。

 後で襲撃時の詳細を、もっと訊くことにしよう。

 通せんぼされているので、これ以上ここにいても邪魔になるだけだろう。

「行きましょうか。お見舞いの品を探さないと」

カンヤさんは返事をし、共に中央通りへ向かった。


 中央通りへ向かう途中、カンヤさんとお見舞いの品を何にするか話し合った。

 私は花を提案したが、カンヤさんはお菓子を提案した。

「花はマナーとかあって面倒くさいじゃないですか。お菓子の方が無難ですよ」

アデルが「そうだそうだ」と同調した。しかし、カンヤさんは続けて言った。

「どさくさに紛れて私も食べられるかもしれませんし」

アデルが「そうだそうだ」と同調した。どう考えてもそれが目当てだろう。

 私は少し考えた。

「……わかりました。どちらも買いましょう」

「流石セレスティア様。太っ腹ですね。私たちの分のお菓子まで買ってくれるなんて」

言ってない言ってない。

 そんな話しをしていると、丁度花屋さんが見えてきた。

 私は足を止め、店先に並んだ花を見る。

 カンヤさんが「どんな花を買うんですか」と訊くので、私は選考基準を話した。

「まず鉢植えはなしです。土に根付くが床に寝付くと連想させるので、縁起が悪いと言

われています。次に『死』や『苦』を連想させる花。例えばシクラメンやアジサイなど

です。また葬儀に使われるような花も駄目です。白、青、紫がそれに該当します」

「やっぱり難しそうですね……」

「そうですね……。色的には赤、ピンク、オレンジ、黄色あたりがいいですね。でも、

困ったら店員さんに聞いて選んでもらうか、あらかじめアレンジメントされたものを買

うのが早いと思います」

 私はそう言い終えると同時に、違うお客さんを対応していた店員さんがこちらへやっ

て来た。

 長い黒髪をうしろで結んだ、綺麗な店員さんが言う。

「どんなお花をお探しですか」

「お見舞い用の花をおまかせでいくつかお願いします」

「了解しました。少々お待ちください」

 店員さんはそう言うと、店先に並んでいる花を選び、バスケットの中に入れていく。

やはり選ばれる花は薔薇、カーネーション、ガーベラなどの赤、ピンク、オレンジ、黄

色の花だった。

 店員さんがこちらへ来る。花を選び終えたようだ。

「大銀貨一枚になります」

私は財布から大銀貨一枚を取り出し、手渡した。そして、花の入ったバスケットを受け

取る。

 「ありがとうございます」とお礼を言う店員さんに私も

「こちらこそありがとうございます」とお礼を言い、花屋さんを後にした。

 歩き始めるとカンヤさんが「持ちましょうか」と言う。が、花の入ったバスケットか

らいい香りがするので、断ることにした。そして、私が「次はお菓子屋さんですね」と

言うと、「はい! 早く行きましょう!」と目を輝かせてた。

 お菓子屋さんは程なく見つかった。流石表通りだ。

 赤レンガで建てられたそのお菓子屋さんには、入口の横に立て看板が置かれている。

立て看板はブラックボードになっていて、『スイーツショップ メイプルハニー』と書

いてある。

 私が立て看板を見て、ここに入ろうかとカンヤさんに提案しようとしたところ、カン

ヤさんはいつの間にか私の肩にいたアデルを連れ、お店の中に吸い込まれていくところ

だった。そんなに仲良かったっけ……。

 後を追うように店内へ入る。店内はそんなに広くはない。いや、正確には広くはない

のではなく、お客さんが動けるスペースが広くない。おそらくほとんどのスペースが厨

房や原料、商品を保存するスペースなのだろう。

 店内に入って右手に椅子が五脚、左手側には美味しそうなケーキなどのスイーツが魔

術によって写し出されたポスターが三枚貼ってある。正面はカウンターだ。

 カウンター内には頭巾をして、エプロンを着けた女性の店員さんが立っている。

「いらっしゃいませ。どちらになさいますか」

そう言われたカンヤさんは目を輝かせながら「全部」と答えそうだったので、私は背後

からカンヤさんの口を手で塞いだ。

「メニュー下さい」

「か……かしこまりました」

店員さんは困り笑いをしながらメニューを渡してくれた。店員さんを困らせれはいけな

い。

 ブーブー言うアデルとカンヤさんを尻目に私はお見舞いの品を選ぶ。が、大方何を買

うかは決まっている。

 カンヤさんが肩を叩いてくる。

「あのケーキ! あのケーキ買いましょうよ!」

カンヤさんが指す方を見ると、ポスターに写った大きなケーキを指していた。

「いや、クラリスさんの誕生日は知りませんが、急に病院にワンホールケーキを持って

行ったらビックリしますよ。そもそも、それはアデルとカンヤさんが食べたいだけで

しょ。買いませんよ」

アデルとカンヤさんが再びブーブー言い始める。……仕方ないな~。

 私は店員さんに向き直り、注文をした。注文をしたのはクッキーとスコーンのギフト

ボックス。それとショートケーキがみっつ。締めて大銀貨一枚ち銀貨一枚だった。

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