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ドレスにお着換え

 お屋敷へ帰るとアデルがベッドで寝ていた。いったいどこへ行っていたのだろうか。

 客間でお茶しているとドアをノックする音が聞こえた。

「はい」と返事をするとドアが開き、ライラさんが現れた。

「セレスティア様、カンヤ様、こちらへどうぞ」

私とカンヤさんは「はーい」と返事をした。何かあるのだろうか。


 ライラさんに付いて行き、とある部屋の一室の前までやって来た。ライラさんは部屋

のドアをノックし「失礼します」と言ってドアを開けた。

 ドアを開けたライラさんに促され、部屋の中へ入ると、そこにはマコナスさんとセリ

カさんがいた。そして部屋の中には大量のドレスが背の高いハンガーラックに掛けられ、

並べられていた。

 ライラさんが言った。

「劇場に行かれる前にお二人にはドレスに着替えていただきます。お好きなドレスをど

うぞ」

なるほど、どうやらドレスコードがあるようだ。しかし、私はドレスを持っている。

「私はドレスを持っているので、カンヤさんのをお願いします」

「分かりました。持って来ていただけたら着付けいたしますよ」

「はい。お願いします」

私は部屋を一旦出、ショルダーバッグの中にあるドレスを取りに客間に戻った。


 客間に戻るとアデルはまだ寝ていた。着替えが終わるまでそのまま寝ていてもらおう。

 客間のショルダーバッグから革製のアタッシュケースを持って、先程部屋へと戻る。

ドレスへのお着換えセットはこのアタッシュケースの中に入っている。

 アタッシュケースを開けてドレスを出し、マコナスさんに着付けをしてもらった。

「とても素晴らしいドレスですね」

「はい。前に友達からいただいた物です」

 私のドレスは足元は見えるが白のロング。ラインはエンパイアだ。

 アタッシュケースの中にレースのロングカーディガンがあったので、それを羽織るこ

とにした。それと白いパンプスも入っていたので、それに履き替えた。他にも色々小物

が入っているが、フラワーボンネがあったので、後で着けることにした。それと客間か

ら持って来たステッキと小さいバッグも持って行くことにした。

 その後マコナスさんが簡単に化粧をしてくれた。姿見鏡を見る。うん、それっぽく見

えるだろう……多分。

 私の方はこんなもんでいいだろう。カンヤさん方はどうなっているだろうか、と見て

みると――。

 ライラさんが言う。

「このブルーのドレスもきっと似合いますよ」

セリカさんが言う。

「このピンクのドレス、カンヤ様に絶対似合いますよ」

カンヤさんはニコニコしている。

「本当ですか~? ウフフ。ウフフフフ~」

まだドレスすら決まっていない……だと……。

 そこからカンヤさんが着替え終えるまで一時間ほどかかった。


 アデルを迎えに客間へ。

 客間へ行くとアデルは起きていた。アデルはドレス姿の私を見るなり

「馬子にも衣装だな」と言った。なんて失礼な奴だ。

 外へ出るとウェインさんとアテリアさんが居た。ピーター君とミアちゃんはロロ君と

遊んでいる。

 ウェインさん灰色のスーツを着ているが、基本的にはいつも通りだ。アテリアさんは

赤いドレスを着ていて、化粧をしている。

 アテリアさんが言う。

「セレスティア様の白いドレス、とっても素敵ですわ」

「ありがとうございます」

私はそれっぽくカーテシーをした。

 カーテシーとは片足を後ろに下げ、もう片方の足を少し曲げ、スカートの裾を少し

引っ張る、膝折礼といわれる挨拶だ。カーツィやコーツィともいわれる。

 次にアテリアさんはカンヤさんを見た。

「カンヤさんも……素敵……ですわね」

「ありがとうございます」

カンヤさんは満更でもない様子でカーテシーをした。しかしアテリアさんは困った表情

をしている。それもそのはずだ。カンヤさんのドレスは最終的にロングトレーンのドレ

スになったのだから。しかも色はレインボー。そしてセリカさんとライラさんが二人が

かりでロングトレーンの先の裾を持っている。

「そうでしょうそうでしょう」

「素敵でしょう素敵でしょう」

セリカさんとライラさんは楽しそうだ。しかしアテリアさんは言った。

「でも……動きづらくありません?」

セリカさんとライラさんが答える。

「大丈夫です」

「私たちが持ちますので」

ウェインさんが口を挟む。

「劇場でそのドレスは動きづらいだろう。そもそも馬車は私たちだけで店員オーバーだ。

今すぐ違うドレスを用意しなさい」

私もウェインさんの意見に賛成だ。しかしそれを聞いたセリカさんとライラさんはお屋

敷の中に戻って行った。

 お屋敷の中から声が聞こえてくる。その声は少し高圧的だ。

「クロイツさん、馬車出して」

「どうせ暇でしょ?」

「ひ、ひぃ!」

どうやら着替えさせる気はないらしい。あの二人の執念はいったいなんなんだろう。あ

と得意げにカンヤさんが扇いでいるレースの扇子はいったいなんなんだろう。

 そういえば、御者はクロイツさんではないのか。よく見るとウェインさんとアテリア

さんの後方にグランさんともう一人、白髪で口髭を生やした黒いスーツを着た人物が

立っていた。歳は六、七十ほどだろうか。

 私の視線に気づいたアテリアさんが言う。

「こちら執事のハバスです」

ハバスと紹介された執事さんはボウ・アンド・スクレープをした。

「ハバス・フロプスと申します。本日は従者として同行させていただきます。以後お見

知り置きください」

私はカーテシーで挨拶を返した。

「よろしくお願いします」

ハバスさんが従者なら、グランさんが御者をするということかな。

 クロイツさんが馬車をお屋敷の前まで回して来た。その馬車にはカンヤさんとセリカ

さんとライラさんで乗るらしい。カンヤさんは言った。

「苦しゅうない」

カンヤさんってそんなキャラだったっけ。なんとなく肩にいるアデルを見るとカンヤさ

んを見てニヤニヤしているのがわかった。

 クロイツさんはセリカさんに「ドア開けてくんない?」と言われ、馬車のドアをビク

ビクしながら開けている。その様子はロロ君と遊んでいたピーター君とミアちゃんも、

好奇の目で見ていた。

 ウェインさんが言った。

「わ……私たちも馬車に乗りましょうか」

 こうして私たちは劇場へ向かった。果たしてカンヤさん、セリカさん、ライラさんの

暴走はどこまで続くのだろうか。

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