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ロマリオ族の日記帳

 来た道を引き返し、壁にロマリオ族の模様が描かれた部屋まで戻って来た。そして先

程進まなかったもう一方のドアへ向かった。ちなみにそのドアは他のドアと違ってぼろ

ぼろだが、ドアとしての形は保たれていた。

 ドアを開けるとそこはもう一方の道と同じく、坑道の様になっていた。

 私が先頭で道を進む。その後ろにルード君とユーリ君。一番後ろはカンヤさんと、カ

ンヤさんと手を繋いだフーカちゃんだ。

 暫く進むと石の壁が現れた。しかし今までの石の壁や扉とは明らかに違う所があった。

「破壊されてる……」

 石の壁は破壊されていた。モノクルを使って観てみると、微かに魔力の残滓を感じる。

つまり、この壁が破壊されたのは最近のことだ。ということは、この石の壁を破壊した

のはルード君が見たという赤と黒のドレスを着た妖怪? ということになる。もしかし

たらこの先に……いや、ルード君は三日前に目撃したと言っていた。流石にもういない

だろう。

 破壊された石の壁を越え、更に奥へ進むとドアが見えて来た。そのドアは今までと違

い鉄のドアだった。多少錆びてはいるが、ドアノブを回すと普通にドアは開いた。

 部屋の中はそんなに大きな部屋ではなかった。そして部屋の中には大きなベッドと机

と備え付けの椅子しかない。それとこの部屋には入口以外のドアがない。つまりこの部

屋で遺跡の全ての部屋に行ったことになる。

 白骨死体も魔導機兵もいない部屋で子どもたちは安心したのか、皆部屋の中を物色し

始めた。と、言っても……。

 ルード君はつまらなそうに言った。

「なんだよこの部屋、何もないじゃん。お宝の一つでもないのかよ……」

しかし、机の近くまで歩いて行ったフーカちゃんが言った。

「ティアお姉ちゃん、これ……」

フーカちゃんの方を見ると机の上を指差していた。指差す先を見ると、そこには小さな

日記帳が置かれていた。

「日記帳だね。どれどれ……」

日記帳を手に取ろうとした時、あることに気がついた。

 この遺跡はどこも埃まみれなのだが、日記帳と机の上の一部だけ埃がなかった。やは

りここには先客がいたようだ。

 私の様子を見ていたフーカちゃんに抱っこされているアデルが言う。

「読まんのか?」

後ろを振り返ると子どもたちとカンヤさんが居た。私が日記帳を読むのを待っているよ

うだ。

 私は取り敢えず最後の方からページを捲った。


 サンドロス歴五百十六年 三月三日


 ルクレンディアが魔導機兵を使って我々、ロマリオ族の領土へ攻めて来たという情報

を受けた。ルクレンディアの国王は平和主義だと聞いていたが、なぜ……。


 三月六日


 魔導機兵の一体がたった三日で南にある集落を二か所も崩壊させた。このまま進行を

許すのは非常にまずい。対策は今日の会議で決まるだろう。


 三月七日


 魔導機兵が来る。作戦は今日決行される。母上よ、すまない。


 「……後は白紙みたい」

カンヤさんは言う。

「サンドロス歴五百十六年って千年以上前ですね。

その方はどうなったのでしょうか……」

「それはおそらく……」

おそらく、あの白骨死体の内の一人……なのかもしれない。しかし確証はない。

 ユーリ君が「あのー……」と挙手をした。

「それって他のページにも色々書いているんですか?」

「うん。なんで?」

「ということは、歴史的価値のある物なのでは!?」

ユーリ君はテンションが上がった。しかし私は言った。

「ここに入ったことを言ったら怒られると思うよ」

「うっ」

ユーリ君はテンションが下がった。

確かに歴史的価値はあるのかもしれないが、持ち主が亡くなっているとは言え、窃盗は

良くない。それにこういう物は専門家に任せるべきである。

 私は日記帳を机に戻して振り返る。

「全部の部屋回ったし、そろそろ帰ろうか」

ルード君は地を蹴った。

「結局赤と黒のドレスの妖怪、いなかったね」

「まぁ三日前のことだしね。さぁ、そろそろ帰ろう」

 こうして私たちは帰路についた。

 外に出ると既に夕方で、多少辺りは薄暗くなっていた。子どもたちだけだと危険なの

で、サニードリーの町まで歩いて送ることにした。

 「またね~」と手を振る子どもたち。私とカンヤさんも手を振り、子どもたちと別れ

た。

 フーカちゃんに抱っこされて寝ているアデルに気がついていたが、寝かせておくこと

にした。起きたら勝手に帰って来るだろう。

 子どもたちと別れた後、箒に乗ってホテルへ帰る。昼食を食べていないので、

「お腹空いたね」などと他愛もない会話をしながらホテルへ帰ったのだが、ホテルの前

に到着した所で問題が発生した。

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