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ハンズの行方

 魔人狼を呼び出した犯人はおそらく三人のお父さんの誰かだろう。そしてその犯人を

残りのお父さん二人は知っている。そしてそれを隠そうとしている。三人共焦って見え

たのはきっとそのせいだろう。

 私は再び警備隊本部へ向かった。中に入ると丁度アルクさんがいた。

「すいませんアルクさん、もう一度被疑者の三人とお会いしたいのですが」

「あ、セレスティアさん。何か分かったんですか?」

「はい。少し確認したいことがありまして」

「構いませんよ。こちらへどうぞ」

 アルクさんの案内で再び取調室へ。歩きながらアルクさんが言うには、警備隊の方々

も三人が一緒に住んでいて、娘が一人いることまでは掴んでいるみたいだ。しかしそれ

以外のことはいまだ調査中とのことらしい。

 取調室の中へ入ると金髪の方と、それともう一人男性の警備隊の方が、入口入ってす

ぐ左に立っている。副隊長のエドガーさんはいない。どうやら見張りをしているだけの

ようだ。

 アルクさんが警備隊の方に言う。

「ありがとう。代わるよ」

アルクさんがそう言うと、「はい」と言って取調室を出て行った。

 アルクさんに座るように促され、共に椅子に座った。

 三人は少し疲れた表情をしている。顔は下を向き、口は閉ざしたままだ。それはまる

で何も答えないと言っている様だ。

 ここはストレートに言うことにしよう。

「ティアラちゃんに会ってきました」

「……!」

三人の表情が明らかに変わるのが分かった。

 私には考えがあった。しかし、あまり好ましくないやり方だ。だが他に方法が思い浮

かばない。まぁ、なんとかなるだろう……多分。

「ティアラちゃん、カースウルフの呪いを受けているそうですね。実は私、呪いを解呪

する薬を持っています。本当のことをお話ししていただけるなら、そのお薬をお渡しし

ます」

 三人はお互いの顔を見る。そして押し黙った、一人を除いて。

 声を発したのはエドワードさんだった。

「……私がやりました」


 エドワードさんが言うには、アドルフさんが東の森へ狩りに出かけた際に倒れている

ティアラちゃんを拾ったそうだ。アドルフさんはティアラちゃんを連れ帰り、

ハンフリーさん、エドワードさんと共に献身的に看病した。看病の甲斐あって、ティア

ラちゃんは一時的に普通に生活できるまでに回復した。しかし、それから暫く経って、

ティアラちゃんの体調は再び悪化。紫色に浮かび上がった痣を見て、自分たちには手に

負えないと思い、サニードリー中央病院に入院させることにした。

 三人のお父さん達はそれぞれ仕事をしているが、貧困街の様なあの場所での労働は、

重労働な上に報酬は少ない。生活費を稼ぐだけでも大変なのに、更に入院費となると家

計は完全に火の車である。

 三人は借金をした。といっても、公的な所では借金を返済する見込みがない者には普

通お金を貸さないし、査定は通らない。しかし、運良く借金をできる所を発見した。そ

の時はそう思っていたのだ。

 翌月、不当な利子で膨大に膨らんだ返済額を言われ、始めて闇金から借金をしたこと

に気がついた。しかも、返済できなければ娘の命はないと脅しまでされたという。

 そんなある日の晩、エドワードさんはスーツを着た髪の長い男性に声をかけられた。

そして紫色のガラス細工の様な物を貰ったという。

 そして後日、闇金に呼び出されたエドワードさんは返済を迫られ、ポケットに入って

いた紫色に光るそれ、召喚石を破れかぶれの様に投げた。すると割れた封印石から魔人

狼が出て来て、闇金業者の事務所を破壊し始めた。エドワードさんはその光景を見て怖

くなり、逃げ出したそうだ。

 三人は相談した。今捕まれば治療費が払えなくなるため、なんとか身を隠そうとした。

しかし、その前に警備隊に捕まってしまったそうだ。

 そして、肝心のハンズ・ブランクの行方なのだが、オークションに参加するために、

ベネオスへ向かったという証言を得た。

 エドワードさんの話を聞き終えると、アルクさんが言った。

「エドワード・ゴトリートさん、あなたを逮捕します」

「はい……あの、薬はいただけるのでしょうか……?」

私は答えた。

「だましてしまい、すいません。薬は既にお医者さんに渡してあります」

私がそう言うと、三人は少し安堵したように見えた。そしてエドワードさんが言う。

「そうですか……良かった……」

きっと、三人にとってはそれが何よりだったのだろう。


 取り調べ室を出、アルクさんが言う。

「助かりました。事件への協力感謝します」

「いえ、こちらこそ。これでこの事件も終わりですね。お疲れさまでした」

私はアルクさんに頭を下げた。

 ハンズ・ブランクはベネオスという所に向かったらしい。早速皆に話をし、向かうと

しよう。と思ったのだが、アルクさんにその話をすると……。

「いえ、残念ですが、これから裁判とかあるので、最短でも一週間ほどまだ居てもらわ

ないと……」

 ……あれ? それってここで立ち往生ってこと?

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