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捜索と銃声

 アークラード王国の首都ロマリオを出発してアークラード王国領の西側にある小さな

森向かい三日が経った頃、ようやく目的の場所に着いた。時刻は夜の二十時を回ってい

た。

 地上に降りて辺りを見渡すが、特に怪しい所は見当たらない。いや、夜の森というだ

けで少し不気味なのだが……もしかしたら魔物が出るかもしれない。十分注意して進む

ことにしよう。

 ――ニ十分ほど進んだ頃、森の奥から何やら草が騒めく音が聞こえ、足を止めた。

 私は魔術銃を取り出し、構えた。しかし肩にいるアデルは言う。

「どうせ風だろ」

確かにそうかもしれないが、草が騒めく音に対して風はそんなに強くない気がする。

 アデルにそう伝えると、「じゃあリスだろう」と返ってきた。

 念の為少し辺りを警戒していると、残念ながらリスではなかった。それは後方に現れ、

声を発した。

「あなたたち~。ここで何をしているの~」

まるで「うらめしや~」みたいな言い方だが、正直全く怖くない。

 後ろに振り向くとそこには迷いの森で会ったネルフィーさんがいた。

「ネルフィーさん? なんでこんな所に?」

「それはこっちの台詞よ。こんな不気味な森で何をやってるの? もしかしてまた誘拐

しに来たんじゃ……」

「違うしそもそもやってないです……」

 私はこれまでの経緯を説明した。

「各核歯科時価で……」

「ふ~ん、そんなことがあったのね……ここに人間がいるって言うのは間違いないと思

うわよ。知り合いの妖精がこの森に人間の二人組が向かって行くのを目撃したらしいか

ら。私はその調査に来たのよ」

どうやら目的は同じようだ。

「そうなんですね。それでは一緒に行きましょう」

「しょうがないわね。分かったわ」

仕様がない割には嬉しそうな表情をネルフィーさんは浮かべている。

こうしてネルフィーさんが仲間に加わったのであった。

 折角なので、シルフィーさんのことを伝えておこう。

「ネルフィーさんはシルフィーさんのこと知ってる?」

「ええ。あなたが助けた娘でしょ」

「今アークラード近くの森にいるんだけど、そこにお友達ができたから『暫くこっちに

いる』って言ってたよ」

「そう……まぁ元気ならいいわ」

ネルフィーさんは嬉しそうだが、少し寂しそうな表情をした。

 私とネルフィーさんがお話をしていると、アデルから「おい」と声がした。気つけば

アデルは私の肩にいなかった。

 アデルの声がした方を見ると彼は近くにある木の枝に留まっていた。私が

「どうしたの?」と返すと、顎で何かを指した。アデルが指した方を見ると何もない。

……いや、良く見ると何かある。

 それは上手くカモフラージュしてあるが、縄が網目状に置かれているようだった。上

に乗ると重さでストッパーが外れ、網目状の縄の中で宙吊りになる、よく見るあの罠だ。

「これってもしかしなくても罠かな?」

私がそう言うとアデルが答えた。

「ああ。これは素人が仕掛けた物じゃなく、巧妙に作られてある。余り油断はできない

ようだな。ここからは慎重に進むとしよう」

「うん。分かった」


 ――更に暫く進む。

 アデルは私の肩ではなく、空中から罠を探しながら移動している。ネルフィーさんも

アデルに「手伝え」と言われ、渋々空中から罠を探している。

 私は地上から罠を探す。それと一緒に右目のモノクルで魔導による罠がないかを調べ

る。すると……。

「う~ん、見辛い」

アデルに言うと声を返す。

「魔力粒子か?」

「多分そう」

 魔力粒子とは、簡単に言うと魔石類を砕いて細かくした物である。撒いておくと一帯

から魔力反応がし、魔導を使った罠が見つかりづらくなる。ちなみに完全に魔力を探知

するのができなくすることができる『魔力認識阻害』なんていう魔導もあるが、こちら

は高コスト。

 しかし私のモノクルは安物とは違うのですよ。このモノクルは細かい魔力の流れも察

知できる。例えば、私の目の前に少し妙な魔力の流れがあることも分かるのです。

 私は足を止め、その場所を良く観察した。枯れ葉で上手く隠しているが魔法陣のよう

な魔力の筋が見える。

 私が足を止めたのに気がつき、アデルとネルフィーさんがこちらに近づいて来る。

「どうした? 何か見つけたのか?」

私は首を縦に振った。

「うん。これは魔法板かな」

 魔法板というのは魔力反応がある板のこと。魔導列車の時限爆弾もそうだ。しかしこ

れは時限爆弾ではないだろう。

「多分地雷だと思う」

そう言うとアデルに「解体するか?」と聞かれたが、

「いや、今は先に進んだ方がいいと思う」と返した。するとネルフィーさんが言う。

「えっ、ほっとくの? こんな所にこんな危険な物あったら危ないじゃない」

「多分ジッとしているほうが危険だと思う」

私の答えにアデルも賛成した。

「ああ。いい的になる前に進むぞ」


 ――更に進むとライムイエローの魔術石が埋めてあるのが分かった。ライムイエロー

の魔石の効果は感知で、人や動物が通ると魔力を使って設置した者の同じ魔石が輝き出

すというものだ。

 どうやら目的地は近いようだ。


 ――更に進むと明かりが見えた。

 私達は慎重に進んだ。物音を殺し、少しずつ前に出る。

 明かりが見えた場所に到着するとそこには誰もいなかった。あるのは丁度人が座れそ

うなくらいの横になった二本の木と、その間の焚火くらいだった。

 辺りを見てアデルが言う。

「少し前まで誰かがいたようだな。おそらくカンヤと言う女と元殺し屋のガルターブと

言う男だと思うが」

ネルフィーさんが言う。

「それって取り逃がしたってこと? その前に森の罠をなんとかしてからにしてほしい

んですけど」

ネルフィーさんは頬が膨れた。

 その時私の中で何かが走った。逃げる? 本当にそうだろうか……。それと火が点い

たままの焚火に何か違和感を覚える。

 そして最後になぜかクラリスさんに言われた言葉が過った。


「左目、お気をつけください」


 その直後、森の中に銃声が響いた。

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