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妖精との再会

 喋るのに夢中で木に激突したイザベラさんの所に戻ると、彼女は激突した木の枝部分

に引っ掛かっていた。そして額から少し血を流し、目を回して気絶していた。

 取り敢えず声をかけてみよう。

「イザベラさん大丈夫ですかー?」

「……」

返事がない、やはり気絶しているようだ。

「ねぇアデル、お願いがあるんだけど」

箒の先端に留まっているアデルの方を見て言うと、アデルは嫌そうな顔をした。

「……はぁ、降ろせって言うんだろう。仕方がない」

 アデルは自分の体の大きさを変えられるので、少し大きくなりイザベラさんをイザベ

ラさんの箒と一緒に背中に乗せ、下へ降ろした。

 アデルがイザベラさんを降ろしている間に私は先に下に降り、ショルダーバッグから

シートを出し、地面に敷く。アデルはイザベラさんをその上に寝かせた。

 額の傷は治癒魔術で塞ぎ、血をハンカチで拭う。他に外傷はなさそうだし、取り敢え

ず目を覚ますのを待つことにしよう。

 イザベラさんが目を覚ますまで私は辺りを少し観察することにした。ここはよくイザ

ベラさんが毎日薬草を摘みに来る森だそうだ。空からは日の光が差し小鳥の囀りが聞え

てくる穏やかな所だ。ランニング程度に過ぎていく風がとても気持ちいい。

 ――私が辺りを観察し始めて二三分経った頃、イザベラさんが目を覚ました。

 イザベラさんは体を起こしながら額に手をやり言った。

「……う~ん……頭痛ッ……くない?」

私は起きたイザベラさんに近づき、言う。

「額の傷なら治しときましたよ」

私に気づいたイザベラさんは私の方を見て言う。

「どうやって?」

「治癒魔術で」

私がそう答えると彼女は少し呆れた表情になった。

「あなた治癒魔術も使えるの? いったいどういう教育を受けたらそうなるのよ。

……ところでなんの話ししてたんだっけ?」

「えっと、確か姓名がなんで『ドラゴンロード』なのかって話です」

「そう、そうだった。なんで?」

「私は捨て子だったんです。そこを神龍族に拾われたんですよ」

「そうだったの……これは踏み込んだことを聞いてしまったわ。ごめんなさいね」

イザベラさんは申し訳なさそうな顔をした。私は首を振る。

「いえ、構いませんよ」


 イザベラさんと共に森の奥へ進んでいく。奥に進むほど木の背は高くなっていくのだ

が、奥に行かなくても薬草は生えている。ではなぜ奥に進むのだろうか。イザベラさん

に訊いてみたところ「すぐに分かるわ」とだけ答えが返ってきた。

 暫く進むと一際目立つ大きな樹がある所に辿り着いた。イザベラさんはその大きな樹

に向かって声をかける。

「おーい」

イザベラさんがそう声をかけると、樹の方から「はーい」と言う声が聞こえてきた。す

ると樹の方から何かが向かって来るのが見える。あれは……妖精だ。

「イザベラさんおはようございます。今日は珍しくお友達も一緒なんですね」

妖精さんはそう言うと私の方を見た。

「初めまして。私はシルフィーと言います」

私はシルフィーさんに倣う。

「私はセレスティア。肩に留まっているのはアデルと言います。後、おそらく初めまし

てではないかと」

そう、私はこの妖精さんを知っている。危うくヨルダン侯爵に剥製にされかけ、ベヒー

モスを封印した後に助けた、あの妖精さんだ。しかし私がそう言う前にイザベラさんが

言った。

「そうよ。シルフィーが夢に見たと言ってた人よ」

シルフィーはそれを聞くと「まぁ、それではあなたが……」と驚いた表情を浮かべた。

そして私に頭を下げた。

「あの時は助けていただいてありがとうございます。といっても捕まってからこの森に

運ばれて二三日は瀕死の状態で、あまり記憶がなくて申し訳ないのですが……」

「いえ、元気になったようでなによりです」

 そういえばシルフィーさんはベヒーモス封印後ここに運び、それ以降はイザベラさん

に看病を任せていたんだった。それとシルフィーさんといえば……。

「シルフィーさんって、エルフの隠れ里から攫われたんですよね」

「え? はい、そうですけど。良くご存じですね。里の外へ木の実を取りに出た時に捕

まったんです」

「そうだったんですね。私、隠れ里に行ったことがあるんです。ちなみに里へは戻らな

いんですか?」

私がそう言うとシルフィーさんではなくイザベラさんが言った。

「ええっ!? 帰っちゃうの!?」

彼女は驚き、寂しそうな表情をした。しかしあくまで確認であって、帰るか帰らないか

は本人の意思による。

 シルフィーさんは首を横に振った。

「いえ、ここには私の他にも妖精が何人かいて、私がここに運び込まれた時に色々良く

してくださったんです。なので暫くはここに居ようかと思います」

樹をよく見るとシルフィーの他にも確かに妖精さんたちがいて、こちら方を樹の後ろか

ら覗いているのが見える。なるほど、ここに住んでいる妖精さんから仲間として受け入

れられているようだ。

「分かりました。隠れ里に再び行く機会があったらそう伝えておきますね」

「はい。ありがとうございます」

シルフィーさんは再び頭を下げた。

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