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再びアークラード城へ

 太陽が完全に沈んだ時刻、とある森の中で二人の人物が座り、焚火を囲んでいた。

 ひとりは黒いローブを着た白髪の男性で、手に持っている筒状の物を布で磨いている。

また足元には四丁の魔術銃がバラバラに分解され、置かれている。二丁はハンドガン程

の大きさで、残りの二丁は銃身が長い物だ。片方はショットガンタイプで、もうひとつ

は自動小銃タイプだ。どうやらメンテナンスをしている様である。

 もうひとりは前の人物と同じく黒いローブを着ていて、長い金髪で天然パーマの女性

だ。彼女は焚火を白髪の男性と挟んで座り、足元を見詰めている。

 白髪の男性は手を止め、女性の方を一瞬見、また作業に戻る。

「……心配するなカンヤ。ハンズの居場所が分かればお前の疑いも晴れる」

「……はい……でもこれ以上ガルターブさんに迷惑を掛ける訳には……」

カンヤと言われた人物はガルターブという人物を見て言った。その顔は晴れない。ガル

ターブはそんなカンヤに言う。

「そんなことは気にするな。取り敢えず今は追っ手から逃げることと、ハンズを探し出

すことを考えろ」

「……はい」

 ガルターブは作業を続ける。カンヤは不器用だが彼の優しい言葉に

少し唇の端が上がった。


 アークラード王国首都ロマリオ。アヴィーさんの依頼を受け、私は再びこの地を訪れ

た。

 なぜ再びこの地を訪れたかというとアヴィーさんが探してほしいガルターブという人

物の名前を初めて首都ロマリオに来た時に聞いたことがあったからだ。確かイザベラさ

んの魔道具屋さんに上級召喚石を買いに来た人物がそうだったはず。というわけで、最

初に向かうのはもちろんアークラード城だ。

 アークラード城に行くには外門から中に入りそのまま真っ直ぐ大通りを抜ける。する

と大きな河があり橋が架かっている。

 この橋は可動式の跳ね橋になっていて、夜や緊急時は橋を上げ、犯罪対策に一役買っ

ている。また、河は火事対策にも一役買っているようだ。

 橋を渡ったすぐ先は大きな石を積み上げた城壁があり、それをくり抜いたように門が

ある。門の左右にはそれぞれひとりずつ門番の衛兵さんが立っている。門の扉は大きな

太い柵で造られているが、今は上がっている。なぜならアークラード城は公的手続きな

どの関係で基本出入り自由になっているからだ。

 門の中に入ると大きな噴水や綺麗な花が咲いている花壇があり、そこを抜けると城門

が見えてくる。

 城門前には階段があり、階段を上がると大きな扉がある。そして扉の左右には城壁と

同じく衛兵さんが立っている。また、城壁内には至る所に衛兵さん達がいて見回りをし

ている。

 城内に入ると床は大理石でその上に赤い絨毯が引かれている。そして目の前には大き

な階段があり、階段上には大きな肖像画が飾られている。

 右側はテーブルと椅子が置かれていて、待合室になっている。また壁際には

ガラスケースが置かれ、賞状などが飾られている。

左手側は受付になっている。また至る所に装飾品などが飾られている。

 今思うとサニードリーの警備隊本部はここの構造にとても似ている。しかし規模はこ

のアークラード城の方が広くて大きい。まぁ当然と言えば当然か。

 そして相変わらず豪華なシャンデリアが天井からぶら下がっている。

 そういえばクラリスさんと最後に会ったのはここだったな~。とか思いつつ私は左手

側の受付に向かった。

 受付にはスーツを着た男女が座っていて、何やら作業をしている。そしてその前の横

長のテーブルにプレートが置いている。そのプレートには『住民・婚姻窓口』と

か『求人窓口』とか書いてある。

 私はその中から一番左の『その他ご相談窓口』の茶髪の髪の長い女性に話し掛けた。

「すみません。エルロア・シャーロットさんはいらっしゃいますか?」

話し掛けると受付の女性は私の顔を見詰める。

「……あっ! セレスティア様!」

な……なるほど。どうやら受付の人にも顔を憶えられているみたいだ。しかしこれなら

話も早い。

「エルロアさんに相談したいことがあるんですけど、エルロアさんは今いらっしゃいま

すか?」

「はっ! 少々お待ちを!」

彼女はそう言い、ダッシュで何処かに行ってしまった。

 少し待っていると、先程頭の中に浮かんだ人物がこちらに向かって来た。綺麗な顔立

ちで綺麗な姿勢の、緑髪のメイドさん。

「こんにちはクラリスさん」

「こんにちは。またお会いできましたね、セレスティア様」

クラリスさんはそう言って、お辞儀をした。

 そういえばクラリスさんにお見送りしてもらった時『近い内に会えそうな気がする』

と言っていたが、まさにその通りになった。

 そしてクラリスさんは私を促す。

「それではエルロア様の所へ案内いたします」


 エルロアさんの所へ向かう途中クラリスさんにカイラニオであったことを話した。

「なるほど。それでガルターブという人物の手がかりを探すために再びアークラードを

訪れたというわけですね」

「はい。イザベラさんの所に上級召喚石を取りに来たのが確かガルターブという名前

だったと記憶していたので、それで相談しようかと」

「それならエルロア様に相談するのは正解かもしれません。あの事件の後もガルターブ

という人物と、イザベラ様に召喚石を売ったハンズという人物の捜査をしているはずで

すから」

 クラリスさんはそう言うと立ち止まり、「着きました」と言ってドアをノックした。

ドアの中から「入れ」と声がしたのでクラリスさんはドアを開けて中へ入り、お辞儀を

した。

「エルロア様、お客様が見えておりますよ」

「誰かと会う予定はなかったと思うが……」

そこでクラリスさんは私を見て中へ入るように促した。

 私は「お邪魔しまーす」と中に入る。すると中にいたエルロアさんは椅子から立ち上

がり、私の方に歩み寄ってきた。

「セレスティア? セレスティアではないか!」

「こ、んにちはエルロアさん……」

「ん? どうした?」

「いや、なんでも……」

 エルロアさんの顔を見た瞬間、港町カイラニオの駅で見た悪戯書きされた張り紙のエ

ルロアさんが頭に浮かんでしまい危うく笑ってしまうところだった。エルロアさん、す

みませんでした。

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