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五芒星と竜

 暫く経ってからサニードリーの駅に到着すると、ゼールズさんとレイドリッチさんの

姿はなかった。

 時刻表を確認すると、十時と二時と六時にサニードリーからカイラニオへ向けて魔導

列車の出発時刻となっている。

 現在の時間は十一時三十分。ゼールズさんとレイドリッチさんと別れた時間は大体十

一時程だろう。

 アデルは「やはりな」と何かを悟ったように言う。私は「どういうこと?」と答えを

求めた。

「つまり、アイツらの狙いは俺達ではなくアタッシュケースの方だったということさ。

いや、アヴィーの方と言うべきか」

「なるほど。つまり私達は逃走する為の囮役にさせられたということね。それじゃあ、

アヴィーさんはカイラニオにもういないということに……」

「さぁな。それは行ってみたらわかるんじゃないか?」

「そうだね」

 ここで迷っていてもしょうがない。私達は取り敢えず港町カイラニオのホテル『アプ

ワンボッズ』へ向かうことにした。


 本日も天気に恵まれ大変喜ばしい事だ。なぜなら箒で移動するのに楽だからだ。その

為箒に乗ってカイラニオに移動するのに十分も時間はかからなかった。

 ホテル『アプワンボッズ』の入口前にある階段を上り切った所に私は箒を降りた。何

故ならそこに目当ての人が見えたからだ。その人物は入り口前の通り、丁度噴水が左右

並んでいる所のベンチに座り葉巻を咥えていたが、私に気が付くと立ち上がってこちら

を見た。ちなみに黒い服の男性達は見えない。

 私がそちらへ近寄ると彼女、アヴィーさんは白々しく言った。

「どうしたセレスティア。アタッシュケースを手に持っている様だが」

「いえ、依頼は完了できたと思います。そうですよね?」

 アヴィーは左手をズボンのポケットに入れ、右手で葉巻を口から離し、煙を吐いた。

「……アイツら私をしつこく探ろうとしてきてな。魔導協会ギルドに頼んでそのアタッ

シュケースを運ばせるつもりだったのさ。我々の組織のマークが入ったアタッシュケー

スをな。奴らは我々の組織のマークを知っているからそれを囮にするつもりだった。し

かしたまたまその場に居合わせたお前がいたからお前に頼むことにした。ただそれだけ

の事だ」

「奴らと言うのは、ゼールズさんとレイドリッチさんのことですか?」

「そうだ」

「我々の組織というのはサラソナ商会のことですか? それとも別の……」

アヴィーさんは再び葉巻を咥え、両手をポケットに入れた。

「それについてはまだ答えられない」

 まだ? ということは、いずれは答えてくれるという事なのだろうか。取り敢えず

『まだ答えられない』ということは、サラソナ商会ではないのだろう。

 まだ疑問があるが、そこでアデルが言った。

「俺からも質問がある」

「ほぅ、喋る竜か。これは珍しいな」

「下手な演技は止めておけ。お前は初めから俺が神龍だと気が付いていたのだろう」

「なぜそう思う?」

「その前に、お前はアイツらが何者なのか気付いているのだろう。何者だ?」

「我々の敵だ。今は言えないが、時が来たら話す。質問は以上で良いか?」

「いや、もうひとつある。お前……セレスティアを知っているな」

「……根拠を訊こう」

「ホテルでティアぶつかった時『魔導協会ギルドへ依頼をしに行く所だった』と言って

いたが、あんなに部下を引き連れているのなら部下に頼めばいいはずだ。だがお前はそ

うしなかった。何故ならお前はティアが同じホテルにいることと、ティアが何者なのか

知っていたからだ。そうなると俺の事を知っていた説明もつく」

なるほど。つまりアヴィーさんはわざとぶつかったということか。

 続けてアデルは言う。

「ティアは誤魔化せても、俺はそうはいかんぞ」

あれ、今馬鹿にしたよね?

「ふっ……その通りだ。しかし私からはこれ以上何も言えんぞ。私にも立場というモノ

があるのでな。但し勘違いしないでもらいたいのだが、我々はお前達の敵ではない」

アヴィーはそう言いポケットから何かを出して指で弾いた。弾いた何かは私の所まで飛

び、私はその何かを両手で挟んだ。手を開いて何かを確認すると、それは一枚の大金貨

だった。

「あの……これは?」

「依頼だよ星渡りの魔女。私の会社の常務が殺されてな。犯人のカンヤという女とその

女の逃亡を手引きしている、元殺し屋のガルターブという人物を私の前に連れて来てく

れ。連れて来てくれれば追加で報酬も払う。それとそのアタッシュケースはやろう」

アヴィーは「それでは私は失礼させてもらう」と後ろを向き立ち去ろうとした。だが私

はアヴィーさんと引き留めた。

「あの……連れて来いって何処に?」

「ああ。暫くここのホテルに滞在しているから、ここでいい。部屋番号は……知ってい

るな?」

「はい、というかここに居たらゼールズさん達に見付かるんじゃ……」

「いや、それに関しては大丈夫だろう」


 ――サニードリーから数十メートル離れた森の中。

 ゼールズとレイドリッチはポケットから警備隊の手帳を取り出し、地面に投げる。そ

してゼールズが指をパチンッと鳴らすと、手帳は激しく燃え上がった。

「コノヨウスダトモウカイラニオニハイナイデショウネー」

「……」

「シカシホシワタリノ……ゴホンッ、ホシクダキノマジョニアエタノハウレシイゴサン

デシタ」

「……」

「イズレケッチャクヲツケマショウゾディアックドモ」

「……」

「デスガソノマエニ、レイノケイカクヲススメナケレバイケマセーン」

「……」

「……」

「ナンカイエヤ!」

「……うるさ」

「ナンヤト! $%&#*=$!!!」

 二人はそのまま森の中に消えていった。

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