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アークラード王との謁見

 女騎士さんが剣を収め、私達の所に戻って来た。

 衛兵さんは二人とも目を覚ました。そして、燃えゆく魔道具屋さんを見て、「何があ

ったんだ?」と、話し合っている。

 アデルは私の傍で飛びながら、事の成り行きを黙って見ている。

 そして燃え行く魔道具屋の店主さんは……。

「私のお店が……」

それに対し、戻って来た女騎士さんが言う。

「これも法に触れた罰だ」

そんな女騎士さんに、店主はすがる様に擦り寄る。

「今すぐ消して~……お願いよ~」

「すまないが、私にも火を消す手段がなくてな……」

「えーーー! このままじゃあ、私のお店が……! それに、隣のお家にも……」

 二次災害については考えてなかったらしい。女騎士さんの顔に、一筋の汗が流れる。

「え、え~と……そうだ。衛兵に頼んで、水の魔術が得意な奴を……」

「火災を止められるなんて、魔法師くらいですよ! そんな人、すぐに見つかるはず

ないじゃないですかーー!」

 魔法師というのは、魔術を扱う魔術師よりも強力な、魔法を扱える存在のことを言

う。つまり魔法使いのことである。しかし魔法を扱える人間は稀で、ほとんどはエル

フなどの長命な者が多い。

 女騎士さんは顔が水浸しになっている。

「それはその……なんだ……」

 店主はガクッと、項垂れる。

「なんでこんなことに……ようやく脅しから解放されたと思ったのに……」

 脅し? 少し気になる……。なんだか可哀そうになってきた。店主さんにも、何か事

情があるのかもしれない。

 私は店主さんの為に、火災を止めることにした。

「私が火を止めますね」

 私は前に出て、ステッキの杖先ゴムの部分を天にかざした。その様子を店主さんと女

騎士さんが、「えっ?」と、キョトンとした表情で見ている。

 私は魔力を練り、唱えた。

「水の神よ、今我が前に奇跡を。我望むは、無数の神の恵みなり!」

 唱え終わると、空に暗い灰色の雲が徐々に集まり、やがて雨を降らせた。そして雨は、

火の点いた魔道具屋を消火していく。

 その光景を見ていた店主が、驚いた表情で言う。

「……嘘でしょ? 自然を操るなんて、魔法よね? 貴女一体……」

 そこに衛兵二人がやって来て、何故か背中を叩かれた。

「嬢ちゃん、スゲーな!」

「今の魔法だろ? どうやったんだ!?」

 そして、女騎士も言う。

「まだ十五歳くらいだろう。そんな娘が何で魔法を……?」

 私は「はははっ……」と、愛想笑いを浮かべるのが精一杯だった。何故なら魔法を

使ったことで、体が疲れて、クタクタになっていたからだ。


 魔道具屋が消火された後、私達はアークラード城に招待された。と言っても、店主の

方は連行だが……。

 招待してくれたのは、女騎士さん。名前はエルロア・シャーロット。アークラード王

国の第一部隊隊長を務めているそうだ。

 連行された魔道具屋の店主さんの名前はイザベラ・ヨーグ。彼女は完全に意気消沈し

ている。

 城内への扉を潜ると、赤い絨毯に豪華なシャンデリア。それと大きな肖像画。歴代の

国王達だろうか。そして何と言っても、かわいいメイドさん達!

「ようこそアークラード城へ~!」 

 かわいいメイドさん達に、雨の魔法で濡れた私の髪を、温かい大きな暖炉の前で拭い

てもらった。幸せ~。

 その後イザベラさんは、何処かに連れて行かれた。私はエルロアさんに連れられて、

アークラード王に謁見することになった。


 ――アークラード王国の王、アークラード四世の謁見室。

 エルロアさんに倣ってアークラード四世の前に、片方の膝を突き、頭を下げた。

「おもてを上げよ」

 アークラード四世の声に、エルロアさんは「はっ!」と言い、頭を上げる。私もそれ

に倣い、頭を上げた。

 アークラード四世は王冠をかぶり、髪と髭は白髪。服装は装飾の付いた青い

ジャケット、赤いマント、黒いズボンという如何にもといった格好だ。

 アークラード四世が訊く。

「召喚石の件か……して、どうなった?」

「報告します。召喚石を持っていた魔術師を確保しました。それと、召喚石は割れてし

まいましたが、中に封印されていた魔物は排除いたしました」

「そうか。ご苦労だった。して……そちらは?」

アークラード四世は、私の方を見て言った。エルロアさんは答える。

「実は、魔物を排除する際、魔術師が営む魔道具屋が燃えてしまい……。ですが、こち

らの方が魔法で雨を降らせて、鎮火して下さったのです」

アークラード四世は「……ほぅ」と、顎鬚を撫でる。

 私は自己紹介した。

「初めまして王様。お会いできて光栄です。私はセレスティアと申します。ロンドベル

ド王国から来ました」

「そうか。協力に感謝する。アークラード王国へようこそ。歓迎しよう」

 アークラード四世は少し微笑んだ。最初は凄く厳しそうな雰囲気だったが、完全にそ

うでもないらしい。

 そして、アークラード四世は続けて言う。

「まだ若いのに魔法を使ったとのことだが……プラチナスターなら当然か」

 エルロアは疑問を口にする。

「プラチナスター? とは……?」

それを聞いたアークラード四世の表情が険しくなる。

「プラチナスターも分からんのか。プラチナスターとは、魔導協会ギルドに登録してい

る魔術師、魔法師の中でも最も優れた、最高ランクの階級を持つ者のことだ」

 アークラード四世が説明した通り、私は魔導協会ギルドに登録していて、その最高ラ

ンクのプラチナスターの階級を持っている。そしてその階級を持つ者は、プラチナを魔

法で加工した、星型で三角帽子のマークが入ったバッジを付けている。

 アークラード四世は私のジャケットに付いた、プラチナスターのバッジを見て気付い

た様だ。

 ちなみにバッジは通称マジックランクバッジ(ⅯRB)と言われ、最初はブロンズで、

シルバー、ゴールド、ダイヤモンド、プラチナ、プラチナスターの順に上がっていく。

 アークラード四世の話を聞いてエルロアさんは、ばつが悪そうな顔をしている。

「む……無学で申し訳ありません……」

 アークラード四世はひとつため息をつく。そして再び険しい表情に戻り、エルロアを

見た。

「セレスティアに部屋を用意せよ。エルロアは魔道具屋から詳しい話を聞き出せ。以上

だ、下がって良いぞ」

「はっ!」

 私とエルロアさんは立ち上がり、一礼すると、謁見室を後にした。

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