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港町カイラニオ

 迷いの森を旅立ってから四日が過ぎたお昼頃、潮騒の香りと共にようやく目的地が見

えて来た。

 港町カイラニオにはレンガや木造の建物が建ち並び、港には船が並んでいる。そして

町の少し外れには、灯台が立っているのが見えた。

 私はカイラニオの入口前に着地し、箒をショルダーバッグに仕舞った。

 アデルはいつも通り、私の肩に留まる。

「ここがカイラニオか。なかなか賑わっているじゃないか」

 カイラニオはアークラード国の海の玄関口で、漁師町として大変賑わっている所――

らしい。ということは……。

「海産物食べたいな~」

アデルは賛同した。

「ああ。絶対美味いに決まってる。ティア、突撃だ」

「了解です」

私は敬礼し、アデルと共にレンガで作られた門を潜った。


 港町カイラニオは首都ロマリオ程ではないが、行き交く馬車や人通りが多く、活気も

凄い。真っ直ぐ伸びた大通りの中央には馬車が走っていて、歩道には冒険者や荷物を運

ぶ人などが多く見られた。また大通りの一番端には露店が並んでいる。

 もう少し歩くと噴水広場に辿り着いた。噴水広場からは更に十字に道が伸びている。

また、噴水の裏側にはレンガで建てられた背の高い時計塔も見える。

 私とアデルは取り敢えず昼食を取る為『良さそうなお店』を探していた。入口から噴

水広場までは露店しかなかったので、左右か正面の道から探したいと思う。ちなみに

『良さそうなお店』とは、美味しくてお昼時でも人が余り多くない所、である。しかし

噴水広場も露店と同じく人が多く、お店を探そうにも人に阻まれお店が探せない。この

群衆の流れの中歩いて路地を見て回っても、いいお店が見付かるまで相当時間が掛かり

そうだ。これはどうしたものか……。

 暫く噴水広場を悩みながら彷徨っていると、声を掛けられた。

「スイマセーン」

「は、はい?」

 片言? 私は声を掛けられた方向を見る。するとそこには二人の男性が立っていた。

 声を掛けてきた片言の男性は金髪の長髪で、茶色いステッキを持っている。服装は黒

いロングコートに黒いジャケット、黒いワイシャツ、黒いズボン。

それに黒いシルクハットと、黒ずくめである。

 もうひとりの方は短い黒髪で、黒いマントと白いワイシャツ、黒いズボンを履いてい

る。右手には文庫本サイズの本を開いて持ち、目はそちらを観ている。

 金髪の方は社交的そうな印象で、黒髪の人は対照的に内気そうな人である。

 金髪の男性は胸ポケットから何かを取り出した。

「アヤシイモノデハアリマセーン」

彼が取り出したのは、警備隊の手帳だった。どうやらカイラニオの見回りをしている様

だ。

 「あ、警備隊の方でしたか」

「ハイ。ワタシハゼールズトイイマース。トナリノバカガレイドリッチデース」

ゼールズさんという方は少しオーバーな身振り手振りで自己紹介をした。バカと言われ

たレイドリッチさんは話を聞いていないのか、構わず本を読んでいる。

 私は多少動揺しつつ自己紹介をした。

「は、はぁ……私はセレスティアといいます」

「セレスティアチャンデスカ。イイナマエデスネー。ソレデ、ドウナサイマシタカ?

ナニカサガシモノデスカ?」

「あ、はい。昼食を取る為に良さそうなお店を探してるんですけど……」

「ソウデシタカ。ソレナラワタシノオススメノオミセヲショウカイシマース」

「本当ですか? ありがとうございます」


 ゼールズさんが書いてくれた地図を頼りに紹介されたお店を探すと、大通りから少し

外れ、曲がりくねった道の先に、レンガ造りの小さなお店が建っていた。聞いたところ

によると、地元の人しかしらない穴場のお店らしい。確かに地元の人しか知らない様な

小道を通ったのに、外窓から見える中の様子は結構人が多かった。

 入口のドアの上に小さな看板があり、店名が書かれている。

「『プラムーゲート』……? どういう意味だろう?」

その疑問はアデルが教えてくれた。そんなに頭良かったっけ?

「おそらく『うめ(梅)ーもん(門)』だ。とにかく入るぞ」

私は「うん」と返し、ドアノブを回して中に入った。

 ――中はレンガと木造で、四人掛けのテーブルが八台。それとカウンター席様の椅子

が六脚ある。雰囲気的にはレトロな感じだ。

 カウンターの方から赤いワンピースの様な服にエプロンを掛けた、長い茶髪をポニー

テールにしているウェイトレスさんが近付いて来た。笑顔の素敵で綺麗な人だ。

「いらっしゃいませー。こちらのお席にどうぞー」

 カウンター席は全て埋まっているので、開いている窓際のテーブル席に案内された。

私が席に着くと、テーブルの上にアデルが降りた。

 ところでここはペット同伴は大丈夫なのだろうか……。先程のウェイトレスさんが水

とメニュー表を持って戻って来たので、訊いてみよう。

「あの、すいません。ここってペットの同伴は大丈夫ですか?」

「はい。大丈夫ですよー」

ウェイトレスさんは水とメニュー表を置きながら言った。私は胸を撫で下ろした。

 実はこのペット問題は今までにも何回かあった。というかアデルが人の姿になればい

いのだが、「着替えるのがメンドイ」とのことなのでお店探しは大体『ペット可』のお

店を探すことが多い。

 そんなアデルは「俺様をペット扱いとはいい度胸だ」などと言いながら、私の水を飲

み始めた。まぁ、いつものことだからいいんだけどさ……。

 お姉さんは「決まりましたらお呼び下さーい」と、次のお客さんの案内をしに行った。

 私はメニュー表を開き、目を通す。何を食べようかなー。


 港町ということでシーフードパスタをいただいた。海老も烏賊もプリプリで、非常に

美味だった。アデルは大きな鯛を食べていた。素敵なお店を紹介してくれたゼールズさ

んとレイドリッチさんは、今度会った時にお礼を言うことにしよう。

 食事を終えたアデルが言う。

「この後はどうする? 寝床を探すか?」

「うん。そうしようかな」

「それならお店の人に訊いてみるといいんじゃないか? 地元の人ならいい所を知って

いるかもしれんぞ」

「そうだね。そうしてみるよ」

ここのお店の様に穴場スポットを教えてもらえるかもしれない。

 伝票を持って私が立ち上がるとアデルは私の肩に留まる。そして入口近くにあるお会

計用のカウンターに向かった。カウンターに向かうと先程水とメニュー表を持って来て

くれたウェイトレスさんが来てくれた。

 私は伝票を渡しながら言う。

「この辺でお勧めのホテルって何処かありますか?」

お姉さんは伝票を受け取りながら答えてくれた。

「はい。ありますよー」

 私達はその後、ウェイトレスのお姉さんが描いてくれた地図を頼りに、お姉さんお勧

めのホテルへ向かうことにした。

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