亡き祖父
雨が雷と共に地面を叩く、屋根に当たる雨音を聞きながらオホ・ドライクネスはベットで横たわる祖父を見つめる
意識がもうろうとしている祖父はオホの手を掴んで、必死に逝かないようにしていた。
そんな祖父の気持ちを考えたオホが、一筋の涙を流し
その涙が祖父の手に落ちる
祖父は息も絶え絶えにオホを見ると
「ま…孫よ」
言葉をゆっくりと紡ぎ始めた
オホもおそらくは祖父の最後の言葉であろうことを自覚して、一言も聞き漏らさないように聞き入る
祖父は懐から、震える手に鞭を打って奇怪な紋章が刻まれた首飾りを出す
「こ…これを」
祖父はその首飾りをオホに手渡す
一体これは何なのかと思案するオホだが、祖父が何かを言おうとしているのをみて考えるのは後にしたオホ
そんなオホに祖父は言った
「それを…元のはぁはぁ、持ち主に…返すんじゃ」
祖父はその言葉を最後に握っていた手から力が抜ける
だらけたその手をオホは離すことなく、その日は外で降りしきる雨以上に涙を流した。
次の日、村の者たち総出でオホの祖父を葬った、目じりが赤くはれているオホの首元には祖父の形見である、首飾りがぶら下げられていた。
小さな村だからということもあるが、全員がまるで家族のような存在だからこそ、この場でオホの祖父を知らない者はいないし、涙を流さなかったものもいない。
そこいらにある水たまりは涙で出来たのではないかと思うほどに全員が涙を流した。
そこから数日の月日が経ったある日
オホは祖父の言葉を思い出していた。
「これをもとの持ち主に返すんじゃ」
祖父の最後の言葉を口にしながら、机に肘をついて首飾りをいじる
(これは一体何なんだろうか)
オホは首飾りを首にかけなおして、家の外に出た
少しばかり気晴らしをするために散歩をしたかったのだ
すると、村の端にある広場に知り合いの姿を見つける
「ミザリア」
「あっ、オホ君!大丈夫なの?」
「うん、少しは元気出てきたよ。」
「そう」
彼女はオホの幼馴染であるミザリア・クライシス、元気で活発的な子で、肩まで伸びた髪と、八重歯が特徴的だ。
両親が王都勤めの兵士のため、彼女はこの村で祖父母と一緒に暮らしている。
そんな彼女が心配そうな目で僕を見てくる
ミザリアに散歩していることを言うと、一緒に行くと言われたので特に何かがあるわけではないが、村を軽く一周することにした。
「オホ君」
「うん?」
道中でミザリアが話しかけてきて、何かなと返事をすると
「その、首飾りってなに?」
「あぁ、これかい、これはねおじいちゃんの形見だよ。」
「そう、何か変わった見た目の首飾りね」
「そうだね、おじいちゃん変なものを集めるのが好きな人だったし」
他愛もない話をしながら村を歩いていると、また知り合いに合った
「よお、オホ調子はどうだ?」
「やあルード君、うん少しは良くなったよ」
「そうか、ならよかった。それよりもなんだ、ミザリアとデートか?」
おちょくるように言ってくるのは、僕よりも二つ年上の友人グラン・ルード小さな村にしては珍しく、武術の道場があり、ルードそこの師範代の一人息子だ。
たれ目で、優しそうな表情とは違い、口調は武術をやっているからか少し荒々しい、ぶっきらぼうともいえるが、まぁとにかくいいやつではある。
僕も時おり武術を教えてもらっている。
「違うよルード、さっき広場でミザリアとあったから、村を一周散歩してるんだ」
「ほうほう、そっか。そういう言い訳か」
「いや、言い訳じゃなくて」
「冗談だよ、まぁ楽しんできな」
ルードはそう言うと、道場の中に消えてしまった。
僕は隣にいる、ミザリアを見ると
「ち、違うわよ、デートじゃないわよ。勘違いするんじゃないわよ!」
「なにも言ってないだろう。ほら行こう」
「はぁ~、このマイペースめ」
「我がままお嬢様」
お互い軽口を言い合いながら、村一周を終わらせて、家に帰る
といっても、僕とミザリアはお向かいさんだから、帰り道まで一緒なんだけど
そして、ご飯を食べて一人の夜を過ごす
祖父の夢を見ながら
気分次第で上げていきます
メインである、マホウタンが終わるまではその他の作品の投稿ペースはナメクジ並みになりますが、それでも良いという方は、ゆっくりとお楽しみください
今作は、作者が異世界転生でも異世界転移でもない、完全なファンタジーの作品の制作をしてみたいという思いから考えられました。
もしもいいなと思った方は、感想、評価、レビュー、ブックマークなどよろしくお願いします。
では、投稿が遅いということを先に述べたので、次に会う日はわかりませんが、また会いましょう