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#29監禁からの脱出事件

 バンと大きな音がして扉が開きました。


 中から飛び出してきたのは裸の女性です。


 偶然通りかかったお母さんは彼女を抱き留めます。


 女性は全身傷だらけで、手首はキツく手錠で拘束され、両手は真っ赤に染まっていました。


「落ち着いて。何があったんですか?」


 ミミズ腫れの走る背中を撫でながらお母さんが尋ねると、女性は震える唇でこう言いました。


「夫を、私に酷い事ばかりする夫を刺してしまったんです!」


「彼女落ち着いた?」


「うん。今何があったか話を聞き終えたところだよ」


 お母さんが助けた可逆(カギャク)嘘吐(ウツキ)は夫である可逆(カギャク)多々木(タタキ)を刺殺した。


「話を聞いた感じだと、嘘をついている感じはしない。今のところ正当防衛という可能性がいちばん高いかな」


「お母さんにも彼女の話を教えてもらえないかしら?」


「いいよ」


 僕はメモしておいた証言を読んでいく。


「『夫の加虐趣味は昔から知っていたんですが、段々とエスカレートしてきて、無理やり迫るようになったんです。

 ある日。私は地下室に手錠で繋がれて何日も拘束され、その、酷い仕打ちを受け続けていました。

 朝、夫が短剣を手に持っていたんです。殺されると思った私は、無我夢中で短剣を奪い喉に突き刺したんです』」


「彼女の話しに怪しいところはないの?」


 母さんは質問しながら、好物の飴を舐めた。


「怪しいところはないよ。被害者は短剣で喉を刺されて死亡。柄の指紋は被害者と嘘吐さんの二人だけ」


「監禁されていた地下室を教えて」


「えっと、家の地下にあって、中には様々ないうのも憚られるような拷問器具が置かれてた。

 部屋には時計もないし窓もなくて

 灯りは天助に吊り下げられた裸電球一個だけ」


 僕の話を聞き終えたお母さんは胸の前で手を叩いた。


「お母さん謎が解けたわ。これは正当防衛じゃない。殺人事件よ」


 問い、何故お母さんは殺人事件だと分かったのでしょうか?


 お

 母

 さ

 ん

 の

 推

 理

 が

 こ

 ち

 ら

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓

 ↓


 答え、嘘吐さんはこう言っていたわ『朝、夫が短剣を持って……』と。

 地下室に窓も時計もないのに朝だと分かるのはおかしいわ。


 それじゃあまた次の謎解きで会いましょうね。バイバ〜イ。



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