紹介
あの日から次の週末約束された場所に集合となっていたので、私は、少し早めに到着したつもりだったが、
「おそーい! 野球人なら30分前集合が当たり前でしょ。」
「野球じゃないんだから30分前は、早すぎるよ!グランド整備でもするつもりなの? 」
そんなこんなで15分以上待たせたであろう約束の女の子との挨拶は、すましどこへ行くかもわからないまま手を引っ張られ移動することになった。
「そろそろ着くよ僕が連れて行きたかった場所君なら気に入ってくれると思うんだ。」
「いやこの流れで気に入らなかったら野球辞めるまであるよ。」
そんなこんなでたどり着いた錆び付いた工場のような建物に着いた。広さは、あるが何をしている場所か外観からは、想像できないが、大きくそしてわかりやすく看板が立っていた。
“小林塾”
明かに危ない雰囲気だが紹介されたからには、引き返すわけには、いかない。
恐る恐るいや最早びびりながら案内してくれる手を握りながら入って行く。
「あっあれ? 暗くて何も見えないよ。」
そして何故か繋いでた手を離される。それと同時に明かりがつきしょうもないクラッカーがなる。
「パン! 」
「ようこそ小林塾へここの塾長の小林だ! こんななりだがどうか怖がらないでね。」
もうセリフから分かる変わった人やん。と突っ込みたくなるのを押し殺し作った笑顔でそして簡潔に挨拶をしてみた。
「どうもはじめまして、さなみです。」
「やあ、娘から話は、聞いているよ。よく来たね。」
明かに初知りな情報をスルーしそうになるがギリギリのところでしっかりと突っ込むことに成功した。
「お、親子なんですか? 」
「その通り、このあかりは、いかにも俺の娘だよ。」
いや、親を紹介したんかい! まあいいかと心の中で葛藤しながら会話を続けた。
「どうしても野球が上手くなりたい女の子がいるって聞いてね。最初は、びっくりしたよ。しかも娘と同じ中学生のしかも女の子だったなんて」
「僕たちの塾は、現代野球をあらゆるところから取り入れて理解し生徒に教えて回ってるんだ。さなみも現代野球を学んで力で負ける男の子に勝とうじゃないか。」
まじで現代野球なんてさっぱりなんのこっちゃの次元で会話の理解が追いつかないが結局は、訳の分からない道具を使ったり意味が分からない用語を使いまくって教えてくるのが目に見えたのでやんわり断ろうとしていたら間髪入れず塾長が口を開いた。
「今、絶対長いトレーニングやきついランニングメニューをさせられると思ったでしょ。実は、そのような練習方法は、昨今ご法度とされているんだ。プロ野球の投手メニューから長いランニングを無くした球団もあるくらいなんだ。しかもこの塾ではそういった筋力向上を目的とした練習は、行わない。技術と知識を上げて野球を上手くなろうという趣旨のもとやっているんだ。」
そんな甘くないのは、私がよく知っている。
でも、この目のキラキラを見たら何故か引き込まれて、やってみようかなという気持ちになる。
この人には、何か人を惹きつけるものがあるかもしれない。
「私、飽き性なので、覚悟して下さいね。」
「大丈夫、僕もすぐ飽きるから。」
えっ!と言おうとする隙も与えず、レッスンが始まった。
次はお待ちかねの技術編
フライボール革命についてです。