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下手なので野球教室に通ってみた  作者: あつ
序章 出会いと日常
17/24

フレーミングとブロッキング

 今日は、なんとあの野球塾に新しい子が来るということを聞きつけ学校が終わったあかりは、父親がいる野球塾へ向かった。


 「さなみみたいに仲良くできるといいな」


 そんなことを思いながら、塾に着いたあかりは、二度と驚くことになる。

 まず、一度目は、また女の子であることだ。

 ガタイもしっかりしていてパワーがありそうな印象。

 日焼けしている肌も相まってどこかボーイッシュな感じでかっこいい。

 背の高さ的に同じ歳の子だろうか、そんなことを考えているとこちらへ近づいてきた。


 「はじめましてゆうきって言います。今後この塾でいろいろ学ばさせてもらいます。」


 ハキハキしていて言葉にも力がある。

 なんか男勝りなところは、羨ましさまで感じるまである。

 そうこうしているうちに塾長がきて、指導始めると言っている。

 慌ててあかりも準備をしているとなんとあかりの二度目の驚き。

 ゆうきさんがキャッチャー道具を付け始めたのである。


 「ゆうきさんキャッチャーなの?」


 「野球言えばキャッチャーですよ。キャッチャーをやらないなんて勿体無いまでありますよ。」


 なんと偏った思考。

 でもゆうきさんの真っ直ぐ眼差しで語ってるところを見ると本気度が伝わってくる。


 「さあ、準備ができたし、あかりとゆうきさん早速練習といこうじゃないか。」


 「今日は、なんの練習をするの?」


 「もちろん、キャッチャーの練習と言えばキャッチング練習さ。」


 アップのキャッチボールと立ち投げが終わった。

 あかりがピッチャーとしてブルペンに立ち、顔を前に向けるとキャッチャーとして座っているボーイッシュな女の子の姿が見えた。

 キャッチャーミットを構えると何故かそこにしか投げられないような不思議な感覚に陥ってしまうほどに綺麗な構え。

 これほどどっしりとしたという言葉が合う構えは、ない。


 「じゃあ、一球目行こう。」


 甲高い声が塾中に響く。

 あかりが左からサイドスローで投げるとボールは、ミットに吸い込まれていき、


 バーン!


 銃声のような捕球音が鳴った。

 このキャッチャーすごいと思うのに一球あれば十分だった。

 キャッチャーのキャッチングで投手のその日の調子が左右されるという話を聞いたことがあるが気持ちがわかる。

 私今日調子がいい。そんな錯覚に陥る。

 変化球を投げてみても銃声のような捕球音は、変わらない。

 多少ボール気味な球でも柔らいキャッチングでストライクに見えてしまう。


 「驚いただろう、これがゆうきさんのキャッチングのすごいところさ。これをフレーミングと言ってプロ野球なんかでは、トラッキングデータを元にストライクをボールとジャッジされた又は、ボールをストライクとジャッジさせた割合をだしてフレーミング指標なるものを出しているんだ。キャッチングで審判を騙す訳ではないが、有利に試合を進められるようにこのような技術は、今現在重視されているんだ。」


 長々と説明されたが、そんなすごい子がこの塾になんの用なのかと思ってしまう。


 「ありがとうございます。でも私ブロッキングが下手でいつも後ろに逸らしちゃうんですよ。プロでもフレーミングを重視すればブロッキングの指標が悪くなっていく傾向にあって、両立は、難しいと言われてるんです。」


 この子自分でフレーミング上手いって言っちゃってるんじゃんっと突っ込みたくなる気持ちを抑えて、ある疑問を塾長に聞く。


 「塾長は、キャッチャー教えれるの?」


 「それは、当たり前だろ野球の全てのポジションとプレーは、教えれる。そうじゃなきゃ塾なんて開かないよ。」


 確かにそうだが、キャッチャーを教えているところなんて見たことがない。

 そんなことを思いつつ、ブロッキングの指導に入る。

 ピッチャーからの距離より半分くらいの距離で塾長が座りながらボールをワンバウンドで投げてそれを止めるという練習だ。

 この時にたまにストライクゾーンにも投げてフレーミングをしっかりとするというのも重要になってくる。


 「さあ、行くぞ」


 「しゃあ、来い。」


 何球かやっていると確かにポロっと横の方に転がって行くことがあるが、後ろに逸らしたり進塁するような弾き方は、していない。

 なかなか上手いじゃないと思っていたら。


 「おい、もっと腰を前傾させてボールに対して面を向けろ。フレーミングを意識してバウンドへの入りが遅いぞ。防具を最大限に使うイメージだと何回言ってるんだ。」


 「はい。すいません。もう一球お願いします」


 おいおい、人様の子にどんなけ怒ってんだ。

 そんな、勢いだったのだ。

 急いで塾長の元へ行く。


 「ちょっとゆうきさんだって、真剣にやってるんだからそんなに怒った口調で言わなくたって。」


 とあかりが心配して塾長に話しかけるとキャッチャー道具をつけたままこちらを向いて


 「違うんだ、私がこういう口調で指導してくれって頼んだんだその方が気持ちよくて。驚かしてごめんなさいあかりさん。」


 気持ちよくて??

 気持ちが入るとかじゃなくて?っと疑問に思ったが、ゆうきさんの顔を見てもしかしてそっち系かと気づくのにそんなに時間が掛からなかった。

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