スイーパーについて
昨今、某野球大会の影響で世間の野球熱が高くなっている中、この男塾長はなんと、、、
"アルティメット"と呼ばれるフリスビーを使ったスポーツを観に行こうと言うではないか。
あかりは、なかなかのマイナースポーツ故ルールさえ知らない。
そんななか、塾長の車でついた運動公園で大学生同士が試合をしていた。
意外と白熱した試合、どうやらラグビーのフリスビー版のようなルールで試合が進んでいく感じだが、激しいタックルはなく、綺麗な軌道でフリスビーが飛び交うというものだ。
それを観ながらうんうんと頷く塾長。
「これはなんてこった。そんなことが。」
なんだ、この男は実の娘をこんなところまで連れてきて動揺を隠しきれていない。
とりあえず、怒るのを我慢し話を聞いてみる。
「野球のスライダーの参考になるかと思って見ていたが、なんとフリスビーを投げる時の回転が野球のスライダーと逆回転ではないか!」
この男、バカである。
しかし、考えようによっては、ありかもしれないと思い、いくつか動画を撮ってみた。
肘の使い方等すごく勉強になるからだ。
そういえば、かの有名な大谷翔平のスライダーは、よくフリスビーのように曲がると言われている。
しかし、アルティメットのようなフリスビーを扱う競技において、野球のスライダーのような変化を加えることは、まずない。
そう、「フリスビーのように曲がる」と言うがそもそもフリスビーは曲がらないのである。
この大馬鹿塾長は、ここに来るまで曲がると思っていたのかと考えると、
しっかり調べてこいよ!
と怒鳴りたくなる。
とりあえず帰宅し、動画を見返してみてスライダーのヒントを探ってみる。
どうやら、フリスビーの投げ方は、その用途によって腕の位置が変わるというところを発見した。
「へぇー!腕の位置を変えても正確にリリースすれば真っ直ぐいくんだ。」
と私が呟いた途端後ろから先ほどの大馬鹿が声を掛けてくる。
「そう、かの大谷翔平は、ストレート、スライダー、スプリットで腕の位置を変えているんだ。」
確かに大谷翔平のスライダーは、画面でもすぐわかるくらい腕を下げており、見方によっては、ほとんどサイドスローになっている。
「これは、打者にすぐスライダーが来るとバレるんじゃないの?」
そんな疑問を大馬鹿塾長にぶつけると
「大谷翔平のスライダーは、スイーパーと言って少し特別なスライダーなんだ。その名の通りボールがsweep(ゆったりとした曲線)を描くことから名付けられたらしい。
「スイーパーは、通常のスライダーと違って 縦の変化が極端に少なくフライボール革命でバットが下から出てくる昨今では、とても有効な球になっているんだ。」
スイーパーの定義は、それぞれの有識者によって見解は、あるが
1.縦変化マイナス10センチ
2.横変化25センチ
3.球速128キロ以上
となっている。
バットを下から出してこのスイーパーを打とうとすると、ポップフライと空振り率が増加してしまう。
なのでメジャーでとても流行しているのだ。
しかし、こんなスイーパーにも弱点があり、右投手なら右打者には、有効な球だが左打者には、そこまで被打率を下げることは、出来ない。
大谷翔平も左打者に対しては、意図的にスイーパーの投球数を減らしている傾向にある。
「こんな感じの球だから多少腕の位置で球種がバレようが変化量を重視した方がいいと判断したんだね。」
なるほど、でも一球一球腕の位置を変えていてよくストライクゾーンにコントロールができるものだ。
さすが大谷翔平である。
才能の差に笑いが起きてしまう。
あかりは、塾長と共に練習場にいき少しスイーパーを練習してみることにした。
何球か投げてみるがなかなか縦変化を無くすのが難しく、どうしても下に落ちる軌道のスライダーになってしまう。
「もっとリリースの指の力の向きを上に向けて投げてみなさい。あとリリース後の手首は外旋といってストレートと逆だからな。」
そんな塾長のアドバイスを聞きながら投げてはいるが、あまり分からずどうしても落ちてしまう。
少し投げ込んでいるとなかなかいい感じの握りを発見する。
前田健太投手がテレビで紹介していたスライダーの握りであるツーシーム握りである。
菅野智之投手もこれで投げていると見たことあったのでなんとなく覚えていた。
それで投げてみるとなかなかいい変化をしてくれる。
縫い目がしっかりと指にかかってくれてスピンがかけやすいのだ。
大馬鹿な塾長のせいで怒鳴り散らかす3秒前だったが、アルティメットから始まったスライダー練習だったがなかなか有意義なものになった。
また違うスポーツの試合を観に行くのも悪くない。




