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MAIN TRAFFIC7 -日本一の切符2745-  作者: 浜北の「ひかり」
枕崎→広尾(往路) 首都圏
92/270

7871T列車 何度の滝

皇紀2745年3月30日(第36日目) 国鉄(こくてつ)東北本線(とうほくほんせん)郡山(こおりやま)駅。

 東北本線(とうほくほんせん)は朝から大忙しだ。上野(うえの)行きの優等列車がひっきりなしに出発していく。僕たちはそのうちその一角に止まっている普通列車にのる。その列車はディーゼルカーだ。電車が走る東北本線(とうほくほんせん)には珍しい存在と言える・・・のか。

郡山(こおりやま)東北本線(とうほくほんせん)水郡線(すいぐんせん)袋田(ふくろだ)

郡山(こおりやま)安積永盛(あさかながもり)間の乗車券使用開始

 水郡線(すいぐんせん)に直通する普通列車は上野(うえの)行きの急行「八甲田(はっこうだ)」と共に郡山(こおりやま)駅を発つ。こちらの東北本線(とうほくほんせん)は対北海道への輸送の要として機能している。あちらとは明らかに利用客の数が違うため4つの線路が並んでいる。その為に関西の新快速のような光景を見ることが出来るのだ。

「どっちが早いかな。」

そんなことを行っている内に急行「八甲田(はっこうだ)」は普通列車をどんどん抜いていく。ちょうど弁当を書き込む客の顔が近くに見える。その人は僕たちと視線が合うと一瞬箸が止まった。その後少し背をかがめてまた弁当を食べる。

「別に、そんなに気にしなくても・・・。」

「他人に見られるのは気まずいだけでしょ。」

 普通列車のスピードが下がり、「まもなく安積永盛(あさかながもり)です」とアナウンス。ここから僕たちは最長往復切符のルートに復帰する。

郡山(こおりやま)安積永盛(あさかながもり)間の乗車券安積永盛(あさかながもり)駅到着に伴い使用終了

枕崎(まくらざき)広尾(ひろお)間の最長往復切符往路安積永盛(あさかながもり)駅から使用再開

 東北本線(とうほくほんせん)を外れるとディーゼルカーはのんびり走り始める。さっきとは変わった表情を僕たちに見せながら、ディーゼルカーにゆられていたら、いつの間にか眠ってしまっていた。

 ふと目を覚ますと列車は常陸大子駅に停車していた。長い停車時間を使って、前に別のディーゼルカーを連結する。気分転換に降りてみると列車内に郵便物と宅急便を積み込んでいる最中だった。珍しいこともあるものだな・・・。

枕崎(まくらざき)広尾(ひろお)間の最長往復切符往路袋田(ふくろだ)駅で途中下車

 僕たちは次の袋田(ふくろだ)駅で列車から降りた。ここから少しバスの力を使って袋田(ふくろだ)の滝に足を伸ばした。

「何ここ。」

子供の声が僕たちの後ろにあるトンネルからこだまする。それはすぐに滝の音にかき消され、なんと言っていたのかは分からない。

「また来たね。」

「四度の滝だからな。何度来ても良いだろ。」

「でも、四度の滝って言うにはねぇ・・・。」

萌はそう言いながら、袋田(ふくろだ)の滝の先にある風景に目をやる。辺りは冬がやっと終わったという雰囲気で、木には葉がない。春はまだまだ先のようだ。

「これじゃあ四季合せて5度の滝よ。」

「ふっ・・・。前に来た分も含めて6度の滝だな。」

「6度って・・・。フフフ。」

「また来ようか。今度こそ春夏秋冬が感じれるときにさ。」

「うん。」

「こっち、こっち早く。」

 その声がする方をみると女性が一人、手を上げて男性を呼んでいる。その女性は多気の方を指差し「ほらほら、あそこ」という。

「あすこってどこかな。」

萌が僕に問う。

「あれがハートに見えるって所。」

先に女性が答えを言った。僕にはいまいちよく分かんない。

「どう、萌。分かった。」

「うーん。私にもよく分かんないかな。」

「僕たちとは目の付け所が違うってことかな。」

「そうじゃない。フフ。」

袋田(ふくろだ)水郡線(すいぐんせん)水戸(みと)

枕崎(まくらざき)広尾(ひろお)間の最長往復切符往路水戸(みと)駅で途中下車


一口メモ

急行「八甲田(はっこうだ)

上野(うえの)仙台(せんだい)青森(あおもり)間を結んでいる電車急行。455系が使われ、進行方向後ろ側にはキハ58形で運行される別の気動車急行を従えることがある。


キハユニ130形

水郡線(すいぐんせん)で使用されるキハ130系の一つの形式。この1両には郵便輸送設備、宅急便輸送設備、客室が集約されており、1両でカバーできる範囲が広い。しかし、1両だけでは動くことが出来ないため必ず2両以上である必要がある。


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