7870T列車 東北の門
皇紀2745年3月29日(第35日目) 国鉄成田線佐原駅。
江戸時代から残る町並みを見物して佐原駅に戻ってくるとちょうど鹿島神宮行きの特急「あやめ」が出発していくところだった。ホームに残った「すいごう」は先頭の貫通路を開けている。作業員が貫通路となっていた扉を閉めると両方に開いた扉が閉まり、見慣れた183系の先頭車が現れる。
「あれ自動で閉まるんだなぁ・・・。」
そう思っていなかったものだから感想がでた。
佐原→成田線→成田
枕崎→広尾間の最長往復切符往路佐原駅から使用再開
成田駅まで列車に乗り、成田からは我孫子方面に抜けるなり他線へと乗り換える。列車を待っている間に赤色が映える12両編成の特急列車「成田エクスプレス」が走り抜ける。この時間「N’EX」は東京~成田空港間ノンストップだ。一方、僕たちの乗る列車は5両編成でのんびり走る。
成田→成田線我孫子支線→我孫子
我孫子駅からは常磐線の列車に乗り換え。これまでの雰囲気とは打って変わり、忙しくなる。だが、すぐに列車には乗らない。我孫子駅にはこの界隈では有名なお蕎麦屋さんがある。しかも、それはホームにあると言うからお手頃だ。大きい唐揚げののった蕎麦を頬張りつつ、列車を待つ。
我孫子→常磐線→土浦
土浦→常磐線→友部
常磐線の普通列車にのっている間に何度か特急列車に抜かれる。E653系14両編成が高速で駆け抜けていく。こういう光景を見ていると特急列車にのりたくなってくるが、時間が合わなかったので仕方がない。
友部駅からは水戸線の列車に乗り換え。小山駅まで出ると今度は東北本線に乗り換えだ。小山から宇都宮の間だけ普通列車に乗り、宇都宮から特急列車に乗り換える。
友部→常磐線→小山
小山→東北本線→宇都宮
宇都宮→東北本線特急「ひばり」→郡山
宇都宮駅から乗ったのは仙台行きの特急「ひばり」。宇都宮の次が僕たちの降りる郡山駅だ。恐ろしい距離を一気に飛ばしていくもんである。
しばらく走っていると突然車内が暗くなる。
「えっ・・・。」
天井を見上げると車内灯が消えていた。ちょうど駅を通過したタイミングである。車内は「あれ、電気消えた」というつぶやきが聞こえてくるが、気にしていない人の方が多そうだ。駅を通り過ぎると消えた車内灯が再び点灯する。
「今のは・・・。」
「黒磯だな。直流から交流に切り替わったんだよ。」
黒磯駅を過ぎると東北の玄関を叩いた気分だ。東北と呼ばれる地域は実際にはまだ北だが電気が交流に切り替わるというのはそれだけ鉄道にとって意味のあるイベントと言えよう。
「・・・ちょっと新幹線になれすぎたかな・・・。」
東北新幹線に乗っていても、明確に東北に入った気分は味わえない。在来線の長距離特急だからこそ、こういう楽しみがあるのだ。
「今日はどうする。このまま水郡線に乗ってもいいと思うんだけど。」
「水郡線って3時間かかる氏なぁ・・・。」
「じゃあ、今日は郡山で終わり。」
「それでいいだろ。」
「分かったよ。」
列車は東北本線を高速で走り続け、安積永盛駅を通過。最長往復切符の仕様はここで終了する。ほどなくして、特急「ひばり」は郡山駅に到着。僕たちはここで降りる客に混じってホームに降りた。
「特急「ひばり」。仙台行きが発車します。」
アナウンスがホームに流れると列車のドアが閉まる。
「ヒュイーン。」
汽笛を響かせ、列車はみちのくへと旅立っていった。あの列車が次に停車するのは福島。その次は終点の仙台である。
枕崎→広尾間の最長往復切符往路安積永盛駅通過に伴い途中下車
安積永盛→郡山間郡山駅下車時運賃精算の上乗車
一口メモ
国鉄483系
485系のベースの一つである特急型電車。直流1500Vと交流20000V50Hzの電源に対応しており、東日本が仕事場となる。485系だけでは回せない東北長距離特急の一翼を担う。




