7868T列車 理解できない価値観K
皇紀2745年3月28日(第34日目) 国鉄内房線浜金谷駅。
浜金谷の駅にベージュに赤のラインが入る。片方は館山行きの特急「さざなみ」。もう片方は東京・横浜行きの特急「さざなみ」だ。僕たちが乗る方は館山行きである。普通列車も走っているが、房総半島の移動は特急列車が一番便利だ。
浜金谷→内房線特急「さざなみ」→館山
館山駅に着いたら普通列車に乗り換え。特急列車から普通列車に乗り換える客は僕たちだけ。僕たちを乗っけた普通列車は数人の乗客と共に安房鴨川駅に移動する。安房鴨川駅では東京・横浜方面に急ぐ特急「わかしお」が止まる。普通列車の乗客もそちらに流れていく人がいた。普通列車はのんびりと特急の発車を待ってからここをでる。
館山→外房線→安房小湊
枕崎→広尾間の最長往復切符往路安房小湊駅で途中下車
安房小湊駅で降りると僕たちは誕生寺に向かうことに下。距離は1.7キロと言うことで、歩いて行ける。問題ない距離だと思った。
「こうやって歩いてると「こゝろ」の話を思い出すな。」
「ああ。ええっと・・・。どうしてだっけ。」
「最長往復切符の旅だよ。」
「ああ、それかぁ。あの時は誕生時を参拝する時間は無かったんだったっけ。」
萌が播州さんの最長往復切符のことを話す。
「萌はそっちの方が印象に残ってるのね・・・。」
「別に、それだけじゃ無いよ。「こゝろ」のKさんの話もしてたしね。」
「ああ・・・。」
「どうかした。」
「Kさんって信念が強いのは分かるんだけど、何でしんだのかな。」
「それは播州さんも言ってたでしょ。自分のこうと決めた道を踏み外すような生き方をするくらいなら、死んだ方がましって。」
「・・・それがどうも分かんないんだよなぁ。」
「別に分かんなくてもいいんじゃ無い。人なんて他人になっちゃえば何も分かんないでしょ。私のことナガシィが完全に理解できないみたいに。」
「それはそれで心外だな・・・。」
「でも、間違ってないでしょ。」
「まぁ・・・。」
どうも納得できない。間違ってないからかな。
「ところで萌は僕のこと理解できる。」
「難しい質問するなぁ・・・。」
「思ったこと教えてくれるだけで良いよ。」
「・・・私は分かってるつもり。でも、全部分かんないって言うのは同じかな。」
「ふぅん。」
「なぁに。」
「何でも無い。」
「喋れ。ナガシィって私にもほとんど喋ってくれないんだもん。大事なこと言わないのはナガシィの悪いところ。」
「ハハハ・・・。もう慣れたろ。」
「慣れたわね。でも、やっぱりちょっと怒っちゃおうかな。」
誕生時に参拝してから、安房小湊駅に戻る。安房小湊駅から大網まで特急列車に乗る。大原駅で木原線・久留里線を経由する横浜行きの「ビューわかしお」6両を切り離し、東京行きの「ビューわかしお」はそのまま外房線を進む。
「萌、どうする。」
「このまま戻っても良いけど、東金線には乗っといた方が良いんじゃ無い。そうすれば、明日は「しおさい」から動くことが出来るし。」
「じゃあ、そうするか。」
安房小湊→外房線特急「ビューわかしお」→大網
大網→東金線→成東
枕崎→広尾間の最長往復切符往路成東駅で途中下車
一口メモ
国鉄183系
特急列車用電車の一つ。直流電化区間を主な仕事場としており、その一角は新潟行きの特急「とき」として活躍する。房総半島では主に「ビュー○○」となっていない特急列車を担当。先頭車は連結の容易な構造となっており、房総特急のネットワークの可能性を広げている。




