7856T列車 上れ、「戸隠」
皇紀2745年3月22日(第28日目) 国鉄上越線水上駅。
旅館から出て水上駅に向かう。ホームには上野行きの特急「水上」が止まる。しかし、あれに乗るつもりはない。僕たちは出発する「水上」を見送り、高崎行きの普通列車に乗り込んだ。
水上→上越線→高崎
枕崎→広尾間の最長往復切符往路水上駅から使用再開
山を下り、高崎の街へと入る。高崎駅から信越本線に入る。軽井沢の方へ抜けることが出来る列車は長野行きの急行「戸隠」と長野行きの特急「あさま」だけらしい。普通列車は横川行きと松井田行きが設定されているが、軽井沢へ抜けることが出来る普通列車は昼を過ぎても無い。
「どっち乗ってく。」
萌の問いに少し迷う。急行列車は料金が安く人が多い。特急列車は料金が高く人はそれなりに少なくなっている。これにどっちの選択をするのか。時間で言えば普通に急行「戸隠」を選択かな・・・。座れなかった時を考えるとちょっとと思うが・・・急行でいいか。
高崎→信越本線急行「戸隠」→小諸
高崎を出発し、しばらく街中を走ったかと思うと辺りの風景が様変わりする。前にここを通ったときは暗くなってからだから気付かなかったが、信越本線はこうも様変わりするような路線なのか。
「山の雰囲気がヤバいよ。」
「本当だねぇ。」
「こんな険しいところに鉄道通そうなんて昔の人はよく思ったもんだねぇ・・・。」
とは思ったが、上越線の建設進んでいなかったことと東京~日本海側を結ぶ唯一のルートとして機能する役割を与えられていたことを考えるともはや場所を選んでいられる場合でもなかったのかもしれない。
「・・・まぁ、僕たちはこういう恩恵に預かれること感謝しかないよなぁ・・・。」
「だねぇ・・・。」
「戸隠」は山を上り、あるところが大きく開けた。信越本線最大の難所碓氷峠を越えるための拠点横川駅だ。窓の外には大量のEF63形電気機関車が止まっている。駅には上野行きの特急列車が止まっているし、ホームには多くの人たちがいる。しかし、その人達は特急列車の発車と共に去って行った。
「戸隠」の車内も騒がしくなった。席を立つ人が多い。どうみてもここで降りる人はいなさそうだ。この間に連結風景を見たり、峠の釜めしを買ったりする時間に充てるのだ。この急行は窓が開くから、窓から手を伸ばして釜飯を二つ買った。
列車の一番後ろにEF63形電機が連結され、碓氷峠に挑む。
「・・・。」
窓から外を見ていてもあまり急坂のようには思えない。
(こんな坂ごときにここまでする必要があるのか・・・。)
とさえ思うが・・・。もしかしたら、碓氷峠の本当の恐怖って言うのは実感が湧かないことなのかもしれない。
軽井沢に向かう途中信号所を通り過ぎる。坂を下る列車はEF63形を先頭に進んでいく。オレンジとかかなり明るい色が使われている。楽しそうな列車らしい。
坂を登り切ると軽井沢に到着。「戸隠」からEF63形が切り離され、快調に飛ばす。小諸駅に着いたところで僕たちは急行を降りた。
枕崎→広尾間の最長往復切符往路小諸駅で途中下車
一口メモ
国鉄167系
169系急行形電車をベースに開発された修学旅行専用列車。扉の大きさ以外違いは無いため、普通の急行列車運用に混じって就いている。
国鉄169系
碓氷峠を越えるための設備が施された急行形電車。
急行「戸隠」
上野~長野間を走行する急行列車。




