7855T列車 湯桧曾展望台
皇紀2745年3月21日(第27日目) 国鉄上越線越後中里駅。
「イタタタ・・・。」
萌は左腕をさすっている。何回も盛大に転けてたからなぁ・・・。まぁ、僕も人のことは言えないんだけど・・・。
「大丈夫・・・。」
「うん、平気。ありがとう。」
結局あんまり滑らず、下の方に置かれている旧型客車の休憩スペースで時間を潰していた。はて一体何のためにスキーしに来たんだっけかなぁ・・・。まぁいいか。この辺りの上越線普通列車は少ない。上越国境の途中駅にほとんどの人間は興味が無いだけだ。
越後中里→上越線→湯桧曾
枕崎→広尾間の最長往復切符往路越後中里駅から使用再開
ボックス席は先に青春18きっぷユーザーが占拠していた。
長いトンネルを抜けると雪はほぼほぼ無くなった。国境一つ超えるだけでここまで変化するというものまた興味深い。列車はずっと左にカーブし続け、それが終わったと思う頃、
「まもなく湯桧曾、湯桧曾です。」
のアナウンスがある。
枕崎→広尾間の最長往復切符往路湯桧曾駅で途中下車
山の中にある駅に降りた。僕たちを乗せてきた列車が湯桧曾駅を離れると辺りは静かになった。
少し待っていると山間に「ガタン、ゴトン」と列車の音が響き始める。ふと顔を上げると駅からかなり高い位置に白と紺色を纏った特急列車が走っている。485系3000番台のようだ。それが山の中へと消えてから、何分か経ちその列車は駅に現れる。こびりついた雪はこの列車が走ってきた上越国境の厳しさを僕たちに伝えてくる。
「今の列車「はくたか」って書いてあったね。」
「「はくたか」かぁ・・・。まだ上野まで走って行くんだよなぁ・・・。」
「金沢からご苦労なものね・・・。」
「ガタン、ゴトン。ガタン、ゴトン。」
「あれ。また電車来た。」
見上げるとさっき「はくたか」が走っていた位置をこんどはベージュに窓まわりが赤色に塗られた特急列車が走っている。その列車も山の中へと消え、しばらくすると湯桧曾駅を通過する。ヘッドマークを見る限り新潟からの特急「とき」らしい。
「いつまで、特急見て過ごすの。」
「普通が来るまでだよ。」
「普通って。何分来ないと思ってるのよ。」
「まぁ、そう言うなって。さっき僕のこと笑いまくった罰って事でいいでしょ。」
「それ、ブーメランなんだけど・・・。」
「・・・。」
この後も普通列車が来るまで特急「いなほ」、特急「はくたか」、特急「とき」が通過していった。それに続いてようやっと普通列車がやって来る。その普通列車も青春18きっぷユーザーが椅子を埋め尽くしてた。
「座れないね。」
「ホント。誰のせいなんだか。」
「ハハハ。今日は水上で泊まるか。」
「賛成。」
体中の痛みを取るために温泉の効能にあやかりたい。
湯桧曾→上越線→水上
枕崎→広尾間の最長往復切符往路水上駅で途中下車




