7852T列車 日中乗れない日中線
皇紀2745年3月20日(第26日目) 国鉄磐越西線新津駅。
昨日もぐっすり眠っていた。僕たちの起きるタイミングは一番遅かったと言ってもいい。僕たちは新津駅から磐越西線の列車に乗り込んだ。4両編成のディーゼルカーは会津若松行きである。
新津→磐越西線→会津若松
阿賀野川沿いに進んでいく。辺りを包む霧は進む毎に濃くなっていく。ディーゼルカーも濃い霧に行く手を遮られるように行き足が遅くなる。
「もうちょっと頑張ってよ。」
エンジン音を肴につぶやく。
霧も晴れてくると列車は喜多方に入った。喜多方駅では国鉄日中線が分岐している。
「日中線に日中乗ろう。」
萌の声が聞こえた。
「何。」
「あれ。」
ふと萌の指さした方を見ると「日中線に日中乗ろう」と横断幕が掲げられていた。ここまで下手な洒落もないだろとは思ったが・・・。そこまで言うなら乗ってみようか。
「降りよう。萌。」
「はい、はい。」
枕崎→広尾間の最長往復切符往路喜多方駅で途中下車
喜多方駅で列車を降り、日中線が発車するホームに行ってみる。どこのホームにもン「日中線熱塩方面」と書いてある。どこからでも出発できると言うことらしい。磐越西線には急行「阿賀野」新潟行きが入線し、それと入れ替わって僕たちが乗ってきた普通列車が会津若松へむけ発車する。
「次の日中線はいつ。」
僕たちは駅の時刻表を探した。それはすぐに見つかったのだが・・・。
「スッカスカだな。」
第一声はそうだった。朝と夕方に列車は固まって設定されている。日中線の熱塩方面行きは今から4時間22分後の13時56分。喜多方の近くを観光してもいいが、4時間かぁ・・・。なお、それの後は今の時期は完全に日が没した17時23分である。
「日中線に日中乗ろうって書いてあって、日中に乗せる気サラサラ無いわね。」
萌は横断幕を見つつ言った。確かに、これじゃあ日中線に日中乗せる気が無いと思われても仕方がないな。
「4時間待つ気ある。」
僕が萌に問うと、
「ない・・・。」
と返ってきた。
次の列車は会津若松行き急行「阿賀野」。これにのって会津若松に行くか。しかし、それまでの間多少時間がある。近くの神社なりまわってまた戻ってこようか。そういう話になった。
喜多方→磐越西線急行「阿賀野」→会津若松
枕崎→広尾間の最長往復切符往路喜多方駅から使用再開
「今回は乗れなかったけどさ、帰りで乗ろうよ。」
「ああ。興味あるからね。」
「阿賀野」の車内から離れていく喜多方のホームに目をやる。今度こそ日中に日中線に乗ってやろうじゃないか。ここにある横断幕でその決意を固めることにした。
一口メモ
急行「阿賀野」
新潟~会津若松間を磐越西線経由で走る急行列車。




