7849T列車 うん、わさび
皇紀2745年3月18日(第24日目) 国鉄大糸線松本駅。
松本城に擬西洋建築の学校を見てまわる。
「こういう学校に来たら頭よくなるかな。」
萌がそう言ったので、
「なるわけ無いでしょ。むしろも絵の場合は馬鹿が加速イテッ。」
「馬鹿がなんだって。」
「加速イテッ。」
「ねぇ、もう一回。」
「いじめたいだけだろうが・・・。」
「ナガシィが悪いんでしょうが。もう、こういう学校に来たら馬鹿が加速するって。失礼しちゃうなぁ。ナガシィこそ、ここに来たら馬鹿になるんじゃない。」
「僕はいいの。もう馬鹿だから。」
「ああ・・・。そうねぇ。ナガシィ馬鹿だもんねぇ。」
別に馬鹿呼ばわりされるのは慣れはしているけれども、萌に馬鹿にされるのは何か腹立つなぁ・・・。まぁ、許しちゃうけど。
「・・・馬鹿同士さっさと行こうか。」
「えっ、私も馬鹿に含まれちゃってる。」
「萌だって馬鹿だろ。馬鹿って言う奴が馬鹿なんだから。」
「うわぁ、何このレベルの低い争い。」
先に仕掛けてきたのはそっちだろうが・・・。そういう視線を送ると萌は笑った。
「今回だけだからな。」
「ナガシィいつも、今回だけっていいながら毎回許してくれるじゃん。」
「気まぐれだよ。」
松本→大糸線→穂高
枕崎→広尾間の最長往復切符往路穂高駅で途中下車
穂高駅は安曇野観光の拠点となっている。そのために名古屋からの特急「しなの」、東京新宿からの特急「あずさ」、急行「北アルプス」が乗り入れている。その為、ここで降りる人が多い。僕たちが乗った列車の乗客もここでほとんど降りた。
穂高駅でレンタサイクルを借りて、近くにある穂高神社に参拝。その後、自転車を走らせ、大王わさび農場へ見学する。
「富士もわさび作りで有名よねぇ。」
「ああ。でも、わさびってどうやって作るとか正直よく知らないよなぁ・・・。」
「まぁ、富士だもんねぇ。」
「富士だもんなぁ・・・。」
よく静岡って言うと皆同じと考える傾向が強いと感じる。僕も「静岡出身です」というとすぐに富士山の話になる。僕らが住んでいる浜松じゃ富士山なんて馴染みなさ過ぎて逆に実感湧かないんだよなぁ・・・。勿論、伊豆も三保の松原も入る。
「あっ、アイスクリームあるよ。」
「えっ、この寒い中アイス食べるの。」
「わさびアイスだって。美味しそうじゃない。」
「わさびアイスねぇ・・・。辛くないかな。」
「ナガシィ辛いの苦手だもんねぇ・・・。食べてられないなら、私が食べちゃうわよ。2つ買ってくるね。」
「あっ、おい・・・。」
呼び止めても無駄か。しばらくするとわさびアイスクリームを2つ持って萌が戻ってくる。
アイスはちょっと緑色。白いアイスにわさびが混ぜ込んであったりするのかもしれないから、こういう色になるかな。
「いただきまーす。」
「・・・いただきます。」
「うん、美味しい。」
「・・・。」
「どう。美味しい。」
僕は何も言わずにも得にアイスを渡した。ゴメン、わさびが無理だ・・・。




