7848T列車 お返し
皇紀2745年3月17日(第23日目) 国鉄参宮線伊勢市駅。
伊勢市駅は近畿日本鉄道と国鉄線が乗り入れている駅である。力関係は明らかに近畿日本鉄道の方が上であるが、こちらは国鉄も頑張っているようだ。15分に1本単位を基本に名古屋行きの快速「みえ」がでているし、大阪方面からの急行「伊勢」もあったし、複線だし、電化もされている。
しかし、使っているものは所詮通勤電車。特急線用の車両を拵えてくる近畿日本鉄道には快適さや料金の安さで後れを取っている。
伊勢市→参宮線・紀勢本線快速「みえ」→津
伊勢市→多気間の乗車券使用開始ないし多気駅停車に伴い使用終了
枕崎→広尾間の最長往復切符往路多気駅発車に伴い使用再開
津駅に到着すると僕たちは「みえ」を降りた。この先名古屋に行くことは同じであるが、僕たちが持っている切符は亀山を通る必要があるからだ。
「あっちに乗っていきたいわよねぇ・・・。」
津駅を出る313系を見送りながら、萌がつぶやいた。
「仕方ないな。こっちは伊勢線通れないからね。」
「ここにも短絡線の特例あったらいいだに・・・。」
「伊勢線の開通で亀山通って津よりも下に行く人がいなくなること容易に想像付くからだろ。無理だって・・・。」
まっ、無理な話はしても仕方ない。諦めて亀岡行きの普通列車に乗り換えるか。そんな僕たちに嫌がらせをするかの如く鳥羽行きの快速「みえ」が入ってきた。
津→紀勢本線→亀山
亀山→関西本線→四日市
四日市→関西本線快速「みえ」→名古屋
おやつとして名古屋のきしめんをすすり、名古屋から特急「しなの」で一気に木曽路を駆け抜ける。振り子式車両383系を用いる「しなの」では味気ないとも感じるがここら辺の移動は特急の力を借りざるを得ない。カーブに合せて車体を傾ける車両は、足取りも身軽そうだ。
名古屋→東海道本線・中央本線特急「しなの」→塩尻
「ナガシィ。」
「なぁに。」
「何で同じ振り子式なのに四国みたいに怖いって言わないのかな・・・。」
萌が疑問をぶつけてきた。
「別に・・・。」
「別にって何よ。」
「四国の時は耐性無かったけど、「しなの」の時はもうそう言うもんだと思ってるから慣れたんだと思うよ。」
「四国は慣れないのに。自分で言ってて何でかなぁって思わないの。」
「・・・そういえば、思ったことないなぁ・・・。」
「ちょっとは疑問に持とうよ。」
「いいだろ。別に・・・。」
塩尻駅で特急「しなの」から降り、晩ご飯としてこの駅にある日本一狭いお蕎麦屋さんに行くことにしよう。
枕崎→広尾間の最長往復切符往路塩尻駅で途中下車
「ナガシィ。入れる。」
「大丈夫。ていうか、ちょっとくっついていい。」
「くっついたら食べづらい。」
「いつもくっついてくるだろうが・・・。そのお返し。」
「フフ・・・。いいよ。」
塩尻→篠ノ井線→松本
枕崎→広尾間の最長往復切符往路松本駅で途中下車
一口メモ
国鉄313系8000番台
関西本線の快速「みえ」、中央本線の特別快速「セントラルライナー」向けに製造された座席定員制列車用車両。4両編成の8000番台、3両編成の8500番台が存在する。
国鉄383系
中央本線特急「しなの」向けに製造された振り子式電車。高山本線の特急「ひだ」、越美南線の特急「みの」への投入計画が今動いている。
快速「みえ」
名古屋~鳥羽間を結ぶ快速列車。1部車両を指定席としている。313系8000番台が専属投入されている。
急行「伊勢」
新大阪~鳥羽間を結んでいた急行列車。近畿日本鉄道特急にタコ殴りにされた上、廃止された。




