7835T列車 縁結び
皇紀2745年3月11日(第17日目) 国鉄山陰本線出雲市駅。
エンジンを響かせ列車は出雲市駅に入線する。出雲市駅に着いた特急「スーパーくにびき」からは多くの人たちが降りている。ほとんどがここに観光に来た人間らしい。大きい鞄を抱えているのだ。
枕崎→広尾間の最長往復切符往路出雲市駅で途中下車
出雲市に来たと言うことは行く場所は一つだ。しかし、どう行くのかが問題である。ふと時刻表を見ると「大社」の文字が目立つ。列車はほぼ30分ごとに出発している。特急「スーパーやくも」と「やくも」と大社行き普通列車だ。一番近い時間に発車するのは特急「やくも」大社行きだ。それはそれとしてたった7.5キロを乗るために690円の自由席特急料金を払うか・・・。
「これだったら一畑電車乗った方がいい気もするけどねぇ・・・。」
「でも、一畑電車がすぐにでてくれるとは限んないし。」
「・・・でも、こっちがこれだけ頻発してるなら、向こうも黙ってはないだろ。こっちは別に儲からなくても半分いいだろうけど。」
そう言っている間にも「やくも」の出発時間は刻一刻と迫っている。
「とりあえずMVたたいてくるよ。待ってて。」
切符を買わないと始まらない。
当駅から大社駅まで、「やくも」の切符を押さえてみた。すると特急券の項目が出てこない。時間から検索をかけてみると「自由席乗車の場合特急券は不要」の文字が見えた。やっぱ、7.5キロ自由席690円は国鉄としても馬鹿らしいようだ。
出雲市→大社線特急「やくも」→大社
出雲市→大社間の乗車券(ゆき)出雲市駅から使用開始および大社駅到着に伴い使用終了
7.5キロを特急「やくも」はあっという間に駆け抜けてしまった。乗った自由席はそんなに混んではいなかった。出雲市で降りる人が多かったようだ。
どっしりとした面構えの大社駅舎を通り抜け、出雲大社への参道を歩く。
「なぁ、萌。別に僕たちここに来る必要ないんじゃない。」
と僕が言うと、
「確かにね。もう縁結んでるんだしねぇ。まぁ、いいじゃない。私達がラブラブってことを確認するだけでも。」
「あっ、ああ。」
ラブラブねぇ・・・。出雲大社であえてそれ確認する必要も無いだろ・・・っていったら怒るかなぁ・・・。まぁ、いいか、たまには萌の我が儘に付き合うのもね。いつも聞いて貰ってばっかだし。
出雲大社に参拝。ご飯を済ませてから、大社駅に戻り大社線の普通列車で出雲市に戻る。
大社→大社線→出雲市
出雲市→大社間の乗車券(かえり)大社駅から使用開始および出雲市駅到着に伴い使用終了
出雲市→山陰本線→米子
枕崎→広尾間の最長往復切符往路出雲市駅から使用再開
出雲市駅からは山陰本線の普通列車に乗り換え山陰本線をひた東へ向かう。
「まもなく、宍道。宍道です。運賃、切符は駅係員までお渡しください。宍道をでますと次は来待に止まります。」
「ナガシィ。降りるよ。」
萌がそう言い荷物をまとめようとする。
「いや、米子まで行こう。」
まもなく列車は宍道に停車。甲高い警告音の後にドアが開き、客が乗り降りする。
「えっ、降りないの。」
「うん。米子まで行っちゃう。」
「何考えてるの。」
「後でちゃんと言うから。」
「ふぅん。わかった。」
「ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン。」
ドアが閉まり、エンジンを振るわす。最長往復切符の経路からはしばらく外れることになる。
枕崎→広尾間の最長往復切符往路宍道駅で途中下車
宍道→米子間の運賃米子駅で下車時精算の上乗車
一口メモ
国鉄大社線
山陰本線大社駅~大社線大社駅までを結ぶ鉄道線。基本特急列車と普通列車が交互に発車する運行形態を取る。




