7834T列車 主目的陰陽連絡路
皇紀2745年3月11日(第17日目) 国鉄三江線三次駅。
「ナガシィ。お誕生日おめでとうございます。」
今日は萌の祝福から始まった。
三次駅構内で出発を待つディーゼルカーがエンジンを振るわせている。ホームに並んだステンレス車体のキハ127系は次々と乗客を抱え込み、広島、岡山、新見、米子に向かって走って行く。
僕たちが乗るのは「江津」と書いてある方向へ向かっていく列車だ。
三次→三江線→宇都井
枕崎→広尾間の最長往復切符往路三次駅から使用再開
三次駅でクロスシートほぼ全部に乗客を抱え込んだキハ122形はさっさと三次市街を離れる。市街を抜けると三江線は江の川沿いに北上していく。キハ120系2両が時速30キロぐらいでゆっくり走っていたときとは違う。キハ122形は時速80キロぐらいで走っている。線路1本だけ通るような場所を駆け抜けていく辺りは少々怖い。
船佐駅で反対側から快速「江の川ライナー」がやって来る。どうもこちらの世界では三江線は陰陽連絡の短絡路線としての役割を果たしているらしい・・・が・・・。
口羽駅の線路脇で足場が組まれている箇所がある。「三江短絡線建設」と横断幕があった。
「へぇ、三江線の短絡線ねぇ。」
「こっちでも短絡線にはなってないんだねぇ、三江線。」
そりゃ、直線距離で60キロを約50キロ多く遠回りしている三江線は短絡線の役割を果たせていないだろうなぁ・・・。
トンネルをでると高い効果の上に列車が止まる。
「降りよう。」
「うん。」
枕崎→広尾間の最長往復切符往路宇都井駅で途中下車
キハ122形がドアを閉めて、エンジンを吹かす。トンネルの中へと消えていくと辺りはいっぺん静かになった。
「うわっ、結構高い。」
「地上22メートルの高さだもんなぁ・・・。高いもんだよねぇ。」
「降りて下から見てみる。」
「・・・そうするか。」
このまま上で列車を待っていてもただ暇なだけというのがその実だ。
116段の階段を降りて、地上まで降りる。上を見上げると・・・。
「やっぱり高いところ走ってるわね。」
「高すぎるなぁ。こんなに高いと誰が使うんだろうなぁ・・・。」
そう噂していると一人階段を上っていった。足が悪そうだったし、時間かかるから仕方ないだろうねぇ。
「考えてみたら、これ上るの面倒くさくない。」
「だから、何でそう言うことを終わってから言うかなぁ・・・。」
僕は萌に腹を立てたが、
「怒んないで。ていうか、階段降りることにノリノリだったナガシィも私を怒れないでしょ。」
「ノリノリって訳じゃ・・・。」
「私のこと怒るのは筋違いじゃない。」
「うっ・・・。」
ダメだ。萌の土台を切り崩せない・・・。
「ナガシィ。」
「分かった。僕の負け。」
「フフ。」
宇都井→三江線→江津
江津→山陰本線特急「スーパーくにびき」→出雲市
枕崎→広尾間の最長往復切符往路出雲市駅で途中下車
一口メモ
国鉄三江線
芸備線三次~山陰本線江津間を結ぶ国鉄線。陰陽連絡路線の一つとして機能している物の、直線距離から50キロ近く迂回するためその側面は余り意味をなしていないと思われる。
快速「江の川ライナー」
三江線を走る快速列車の一つ。広島~三次間は芸備線の快速「千鳥ライナー」、「帝釈ライナー」、「みよしライナー」と併結する。




