7826T列車 走るマッチ箱
皇紀2745年3月7日(第13日目) 国鉄予讃本線堀江駅。
仁堀航路と堀江駅の接続はいいとは言えない。僕たちが乗ってきた便と堀江駅から出る列車はちょうど同時刻。次の列車は約40分後にやってくるものまでない。これじゃあ使う人いないなぁ・・・。
堀江駅で列車を待っていると予讃本線の特急「しおかぜ」が高速で駆け抜けていった。
堀江→予讃本線→松山
3両編成の気動車に乗り込む。真中が両開きで両端についているドアが片開きになっている。変なドア配置だが、乗降の便を考えてのことらしい。
枕崎→広尾間の最長往復切符往路松山駅で途中下車
今日の移動はここまでだ。松山の駅前に出ると路面電車が走っているのが見える。そこにちょうどマッチ箱のような列車がコトコト音を立てて走っていく。
「萌。あれ乗る。」
「「坊っちゃん列車」。乗る乗る。」
決定だな。
松山駅前→伊予鉄道「坊っちゃん列車」→大街道
古町駅で向きを変えてきた「坊っちゃん列車」。見た目はどこから見ても蒸気機関車だが、ディーゼル機関車だ。乗客は後ろにつながれている2両の客車に乗り込む。デッキからドアを開けて、車内に入ると木の椅子が横向きに並んだ昔の客車の様相を呈する。
南堀端駅からいったん分岐し、松山市駅に乗り入れ。松山市駅は行き止まりの駅のため「坊っちゃん列車」は方向転換しなければならない。乗客はいったん降りて、その光景を見るのだ。
まず機関車が客車と切り離さる。身軽になった機関車はまるで「イエーイ」と言っているように見える動きで反対側の線路に入ろうとする。
「あれ、止まっちゃった。」
「これから面白いことが始まるよ。」
そういうと乗務員さんが二人降りる。左前方と左後方に乗務員が付く。すると機関車が人力でクルッと向きを変える。
「えっ。そんなカワイイ回り方するの。」
「なっ、面白いだろ。」
松山に来たら一度は見ることをお勧めしたい光景だ。
再びマッチ箱に乗り込み、大街道駅で下車。大街道から松山城へ行き、日本に残る数少ない天守閣を見学。松山城をまわってから、大街道から再び路面電車に乗り、道後温泉を目指す。名湯に入っていい気持ちになると、今日はいい夢が見れる気分だ。
大街道→徒歩→松山城
松山城→徒歩→大街道
大街道→伊予鉄道→道後温泉
道後温泉→伊予鉄道→大街道
一口メモ
国鉄1000系気動車
1両ワンマン運転対応のディーゼルカー。真中の乗降用扉のみ両開きで、両端にある乗降扉は片開きドアとなる珍しい構造を持つ。
伊予鉄道「坊っちゃん列車」
「マッチ箱のような列車だ。コトコト5分ばかり乗ったと思ったらもう降りなければいけない」と夏目漱石が表現した列車の復刻版。




