7825T列車 鉄道航路やる気無し
皇紀2745年3月7日(第13日目) 国鉄呉線呉駅。
呉駅の改札口を出るとやはり軍港の街だと実感する光景が広がっている。見渡せば「帝国海軍」の文字が目に入る。いる人も男性の方が多く見える。だが・・・、
「小学生かな・・・。セーラー服着てる子。」
萌が言う。確かに、かなり背の低い女の子もいる。口にくわえているものからは白い煙も見える。おいおい、あんな小さい子がタバコ吸ってていいのかよ。そう思ったが誰も注意しない。ここでは普通の光景になっているのだろうか。
「綾波、敷波。出迎えご苦労。」
さっきの人が小さい子たちに声をかけていた。女の子楽しない名前に驚きつつも、流した。
呉→呉線快速「安芸路ライナー」→広
広→呉線→仁方
仁方→呉間の乗車券(かえり)呉駅から使用開始
呉駅からは「あき」で来た道を少し戻る。僕たちが使っている最長往復切符は通過した仁方駅まで呉線を利用することになっているためだ。そこから四国にわたる。
来た列車は仁方駅の一つ手前広止まりだが、広から三原行きの普通列車に変身するためそのまま乗る。
「間もなく仁方、仁方です。運賃切符は乗務員にお渡しください。」
それでアナウンスは終わった。「乗り換えです」の一言さえなかった。
駅を降りるとただの街が広がっている。道の看板で「←仁方港」となっているだけ。四国へ渡れるとも書いていない。
「不親切ねぇ。」
萌の一言は決して辛辣だとも思わなかった。
仁方→仁堀航路→堀江
枕崎→広尾間の最長往復切符往路仁方駅から使用再開
国鉄航路の中で最も無名な航路と言われた仁堀航路。それは確かにその通りなのだろう。「安芸路ライナー」から仁堀航路に乗り換えたのは僕たちだけだった。他に客はいるが、ほとんどトラックの運転手らしい。仁堀航路「来島丸」は「ボーッ。」と汽笛を鳴らし仁方港を離れた。
瀬戸内海を「来島丸」はのんびり航行する。僕は船の揺れっていうものには同も慣れないため海風に当たっていることにした。
「ほう・・・。」
ちょうど明石方面に向かって駆逐艦の群れが行く。それの中間あたりに一際ごつごつした大きい船がいる。戦艦じゃなさそうだけど、何だろう・・・。まぁ、何でもいいか。
「あんまり見てると憲兵さんに疑われるわよ。」
そういいながら、萌が隣に来た。
「うーん・・・。見るだけならまだいいんじゃないんですかね。」
「フフフ。まぁ、自衛隊とか撮ってる人もいるからねぇ。弁えればいいだけじゃない。」
瀬戸内海を渡り、四国堀江港に入港。ここまで僕たちを運んできてくれた「来島丸」はまた仁方港へと戻る便となる。
「でも、これはいい加減にしてくれないかなぁ・・・。」
堀江港も予讃本線堀江駅からは離れている・・・。
枕崎→広尾間の最長往復切符往路堀江駅で途中下車
一口メモ
仁堀航路
呉線仁方~予讃本線堀江間を連絡する鉄道航路。駅と港はどちらも離れているほか、特段案内されないうえに列車と船の接続は必ずしもいいとは言えない。
国鉄瀬戸丸型貨客船「来島丸」
仁堀航路に就役する貨客船。




