7810T列車 飛ばせ、「にちりん」
皇紀2745年2月25日(第3日目) 国鉄日豊本線宮崎駅。
「うわぁ。」
朝、萌の悲鳴と共に目覚めた。
「ウソッ・・・。時間過ぎてる。ナガシィ、早く起きて。」
「・・・時間。」
「もう過ぎてるって。早くしないと待ち合わせの時間に間に合わなくなる。」
「・・・ッ。」
僕は時間が9時を過ぎていることに驚いた。乗る予定の列車は8時06分に既に発車している。それから1時間近く経ってからのお目覚めとなったのか。さっさと支度して宮崎のホテルを出る。次に出る大分方面行きの特急「にちりん」は9時30分だ。
宮崎→日豊本線特急「にちりん」→大分
枕崎→広尾間の最長往復切符往路宮崎駅から使用再開
ホームにあがると真っ赤な車体の485系が止まっていた。鹿児島でも見た「NICHIRIN EXPRESS」の文字が目立つ。
「これを見るといかにも九州って感じがするな。」
「感心してる場合じゃない。早くしないと自由席埋まっちゃうよ。」
萌に促されながらも、僕はつぶさにRED EXPRESSを観察した。方向幕は「特急にちりん 博多」となっている。かなり長い距離を走る。これだけで東京から岐阜羽島くらいまでの移動となるらしい・・・。
自由席の乗車率は結構高い。2人そろって座れる席はかなり少ない。僕たちが座れる席を見つけた辺りで2人分空いているところはなくなった感じか。列車はがくっと灯と揺れしてから宮崎駅を出発する。
日豊本線を時速120キロで飛ばし、車輪は軽快に継ぎ目をたたく。今乗っている「にちりん」は細かく停車しながら、進んでいく。大分には12時40分に到着する。
「あっ、萌ちゃん。」
「ごめん、梓。遅れた。」
「ううん。平気。寧ろこっちがあやまらなきゃね。時間作って貰ったんだし。」
大分のホームでは先に待っていた鳥峨家と梓に会う。萌が先に声をかけていた。
「嫁が迷惑かけたな。」
僕の隣で鳥峨家がつぶやく。
「迷惑とは思ってないよ。それにしても結構急に決まったよね。」
「君らが旅行で照ってから梓ちゃん「どっか連れてけ、連れてけ」ってうるさかったからなぁ・・・。まっ、いい思いさせてくれるって取引したから問題ないけど。」
顔がにやけてるぞ・・・。
「梓ちゃん。」
「わっ。」
「お昼ご飯どうするの。せっかく合流したんだし、食べようよ。」
「ああん、もう。私は食べちゃダメだからね。」
「いや、梓ちゃんじゃなくて。お昼ご飯。」
何か大変なこと口走った気がするけど、まぁいいや。
枕崎→広尾間の最長往復切符往路大分駅で途中下車
お昼ご飯を済ませてから、タクシーを拾って高崎山自然動物公園に行ってみる。高崎山には野生の猿が住んでいる。僕ら人類も入る霊長類の生活を垣間見ることが出来る。
「ナガシィがいる。」
「本能のままで生きるところは大希とそっくり。」
萌と梓はそう言ってたけどねぇ・・・。
「エッチなところは梓ちゃんにそっくりだけどね。」
「大希喧嘩売ってる。」
と梓。
「僕はあれとは違うんだけどなぁ・・・。」
「フフ。言ってみただけ。」
と萌が言った。




