8035T列車 最高神の真似
皇紀2745年7月1日(第130日目) 国鉄高千穂線高千穂駅。
昨日は引きこもった日本の最高神と同じように高千穂に引きこもった。今日は朝早くに旅館を出て、高千穂峡に向かった。高千穂峡は五ヶ瀬川の景勝地の一つ。岸壁から一本落ちる滝の絵面が浮かんでくる。
「へぇ、貸しボートだって。これで滝の近くまで行けるんじゃない。」
と萌が言う。
「じゃあ、ボート貸して貰うか。
金額は2000円。手こぎボートの割には高い気もする・・・。
「で、どっちが漕ぐのさ。」
「そこは力のある人にお願いしようかな。」
萌がこっちを見るので、僕もそっちを見ることにする。しかし、僕の目線の先には誰もいない。僕が漕ぐしかないか・・・。
青色の貸しボートを川へとこぎ出す。こういうボートに乗るのは臨海学校のカッター訓練以来だ。そういえば、カッター訓練って将来何処で役に立つんだろうなぁ。魂になっても役に立ったことなかったけど。まぁ、そんなことはいいか。
「さぁ、ナガシィ。レッツゴー。」
「はいはい。ちゃんと後ろ見といてよ。」
両岸から岸壁が迫る。五ヶ瀬川は針の穴に糸を通すように流れている。まぁ、ボートが何隻か横になって通れるくらいには広いけど・・・。橋の下を通り抜けて、滝に近づいてみる。
「ワオ・・・。」
「これ凄いなぁ・・・。他の所は滝がないのに、ここだけ。」
「うーん。マイナスイオンを感じますなぁ。」
「ホントか・・・。」
「別に、マイナスイオン云々はどうでもいいけど、何か心が洗われる感じがしない。」
「ああ。それは・・・。」
「ああ、ナガシィそのまま行ったら私達濡れる。」
「あっ・・・。」
左手だけ動かして、船首を左回頭。しぶきが僕達にかかる。
「ああ。もう下手くそ。」
「文句あるんなら自分でやるか。」
「フフフ。」
「ハハハ。」
ボートから滝見物をしてから、淡水魚水族館を回る。それから高千穂駅に向かい、そこから昨日の約束通り特急「天照らす・岩戸号」に乗る。この列車も「火の山の荒城」と同じキハ71形で運行される列車だ。ハイデッカー車両に乗ったときの感想はいつも「眺めがいい」だが、こちらは景色のいいところでは減速して走ってくれる。
「やっぱり乗って良かった。ありがとうね。ナガシィ。」
そう言う萌の顔が我が儘に付き合ったお礼って事にしとこう。
高千穂→高千穂線特急「天照らす・岩戸」→延岡
高千穂→延岡間の乗車券使用開始および使用終了




