8034T列車 困った最高神
皇紀2745年6月30日(第129日目) 国鉄高千穂線延岡駅。
延岡には日豊本線ともう一つ鉄道線が乗り入れている。元は沿線にある日之影町を通ることから日ノ影線と呼ばれていたが、今は高森線と繋がったことと観光開発を目的として高千穂線に名称変更されている。
日豊本線の赤い特急列車から降りて、高千穂線のディーゼルカーに乗り換える。このディーゼルカーも九州の色を象徴する赤だ。
延岡→高千穂線→高千穂
延岡→高千穂間の乗車券使用開始
高千穂線は五ヶ瀬川に沿っていく。日本中よく見る景色だ。天岩戸駅に着く手前、列車はとても高い橋を通る。その時にはちょっと減速運転をしてくれる。乗客サービスと言うことか。僕達はその間に高千穂橋梁から見える景色を写真に撮った。
延岡→高千穂間の乗車券使用終了
高千穂からバスに乗って天岩戸神社って所に行く。
「でも、何で天岩戸神社って所来たの。」
と萌は聞く。
「いや、天岩戸って付くぐらいだから、天照大神が引きこもった天岩戸の本物が有るんじゃないかと思ってさ。」
と答えた。
「天岩戸ってそんなに有名。」
「有名というか。日本神話に出てくるじゃん。」
「後免、私日本神話全然分かんない。」
萌がそういうので、僕は簡単に天岩戸が絡む話をも得にした。一通り話を聞いてから、
「随分と迷惑な神様ね。それにしても神様も引きこもりたくなることあるのね。何か可愛い。」
「か・・・可愛いのか。」
「私はそう思ったってだけ。でも、弟さんの不作法が原因なんて家族思いなんだか、はた迷惑なだけなんだか。」
「少なくとも八百万の神様からしてみればはた迷惑なだけだな。」
「・・・でも、引きこもってる前で宴会とかする。引きこもってるときにはそっとしといて欲しいと思うんだけど。それは違うのかな。」
「引きこもりの対処に正解なんて有るわけないでしょ。とりあえず日本の神様は皆陽気だからしたんだよ。きっと。」
「陽気ねぇ・・・。」
萌は少しの間黙った。何を考えてるのかなと思っていると
「天照大神って大きいのかな。」
「大きいって・・・。何が。」
「「背よ。引きこもるためにはそれなりの大きさって必要でしょ。あんまり大きい一が小さい洞穴みたいな所に引きこもらないでしょ。まして、天岩戸で蓋までして。」
考えてみればそうだな。天照大神の身長って言うのは具体的な数値が有るわけじゃないけど・・・。
「ナガシィ。」
「んっ。」
「もしかして、大きいのは胸だと思った。」
「・・・いや、ホントに何言ってるか分かんなかっただけ。神様に身長の概念があると思ってなかったから。」
「ホント。」
疑い深いなぁ。でも、この誤解はそのままでも良いかな。
一口メモ
高千穂線
豊肥本線立野駅~日豊本線延岡駅間を結ぶ鉄道線。沿線には観光地として名高い高千穂峡・天岩戸があり、そちらへの輸送を主とする博多発の特急「天照らす・岩戸」が運行されている。




