8024T列車 理想と現実の狭間
皇紀2745年6月24日(第123日目) 国鉄予讃本線宇和島駅。
昨日の晩ご飯は鯛飯だった。やっぱり本場は美味しい。鯛の身がぷりぷりなのは「素晴らしい」。気付けばご飯がなくなるほど素晴らしい。
さて、それはさておき宇和島駅にはエンジンを振るわせて高松行きの特急「しおかぜ」が止まっている。こんな所から高松まで行くのか・・・。これの乗客の内一体何人が高松まで行くのかは知らないが、相当な長旅であることに変わりはない。
宇和島→予讃本線特急「しおかぜ」→伊予大洲
宇和島→北宇和島間の乗車券使用開始および使用終了
枕崎→広尾間の最長往復切符復路北宇和島駅通過に伴い使用再開
山間を高速でぶっ飛ばし、伊予大洲駅に滑り込む。伊予大洲駅に入る手前、右側に大洲城が見える。あれを見てから予讃本線で先へ進むことにする。さすがにこれの往復はタクシーを活用することにした。大洲城の見学をしてから普通列車で内子に向かう。
枕崎→広尾間の最長往復切符復路伊予大洲駅で途中下車
伊予大洲→予讃本線→内子
枕崎→広尾間の最長往復切符復路内子駅で途中下車
「凄い・・・。京都みたい。」
内子の町並みを見て「倉敷みたい」とは言わないんだな・・・。倉敷から「解せぬ」って言葉が聞こえてきそうだ・・・。
「京都はどっか作られた古い建物って感じだけど、こっちはありのままが残ってる感じがするなぁ。」
「・・・そう。」
「僕がそう感じるってだけ。萌がそう思わないなら、それはそれでいいよ。」
「・・・そういうことにしとくわ。ナガシィ、こういう所住んでみたいと思わない。」
「思わないね。」
との即答に
「もう。夢がない。」
と言う。
「別に。僕達は便利な暮らしを知りすぎたから、今更こういう暮らしに入ることが出来ないってだけだよ。」
「・・・そう。」
「僕達、こっちで向こう出来ないこと沢山やれてそれで何か満たされたことあるか・・・。」
と萌に聞いてみた。萌はそれにしばらく何も答えなかった。自分のなかで何かいい答えを見つけようとしているのかもしれない。
だが、僕は萌が何を言おうと意見を変えるつもりはない。「天北」の時も連絡船に乗ったときも一番に感じたのはそれらの「不便さ」と「過剰なまでの美化」だった。「天北」に乗ったときはそれが最高潮に達したことを悟ってしまったのだ。「昔がいい」言うのは勝手だが、それって思ったほどいいものじゃない。それに一度知ってしまった便利さって簡単になくなっていいものでも無いんだ。
「萌。」
「・・・あっ、ちょっと待って。」
そう言って萌は僕の近くに寄ってきた。
「ナガシィとならどんな場所でもどんな時代でも暮らせそうな気がするけどなぁ。」
「現実はそうじゃないって・・・。」
「・・・あっ、置いてくな。」
「早く来い。」
「・・・あんまり私に意地悪すると後で絶対痛い目に遭わせるわよ。」
「それは簡便。」
内子→予讃本線特急「宇和海」→松山
枕崎→広尾間の最長往復切符復路内子駅から使用再開
松山→予讃本線→堀江
枕崎→広尾間の最長往復切符復路堀江駅で途中下車




