8022T列車 自然の壁
皇紀2745年6月23日(第122日目) 国鉄土讃本線大歩危駅。
「ピョーッ。」
大歩危の谷に列車の警笛が響き渡る。ちょうど崖に張り付くような場所を高松行きの特急「南風」が駆け抜けていく。111両も連なった列車は時折山間に身を隠しながら、迫ってくる。
「よくあんな所通したなぁ・・・。」
僕は感心しながら、その場所を見上げた。あの当たりがちょうど鉄道を通せるだけの幼稚があった場所なのだろう。先人達の想像を絶する努力が今の鉄道網を築き上げた。それだけでも驚くべき事なのだが・・・。
「ナガシィは花より団子じゃなくて、花より電車ね。」
「悪い。」
「悪いとは言ってないわよ。・・・でも、これ下から見た方が綺麗だと思うよ。遊覧船もあるけど、どうする。」
その大歩危峡遊覧船というのは9時くらいから始まるらしい。萌の言うとおりここは下から見上げた方が良いのだろう。だが・・・、
「・・・先急いだ方が良いかな・・・。」
「じゃあ、ここも10月3日にね。」
「今年の10月3日は予定が詰まりそうだな・・・。」
「別に何年かけてもいいわよ。」
あっ、これは何年もの間ずっと付き合わされることになるのか。まぁ、いいけどね。萌とどっか行くのは楽しいし。
「大歩危から小歩危まで往復してから行くか。」
「えっ。地味。」
「地味でも、見ることには変わりないだろ・・・。行くよ。その次くるときはちゃんと遊覧船乗せるし、連れてくるから。」
「フフ。期待してるね。」
連れてくのは今のところここと六甲山だな。六甲山は夜景が目的だから、次くるときはもっとゆっくり出来るだろう。
大歩危→土讃本線→小歩危
まずは大歩危から阿波池田方面へ行くディーゼルカーに乗り込んだ。さっき対岸から「南風」を見た線路をディーゼルカーは走る。針の穴に糸を通すような線形だ。やはり、この緻密さには目を見張る。
大歩危→小歩危間の乗車券往路使用開始および使用終了
小歩危まで来たら今度は反対方面行きのディーゼルカーに乗る。これで大歩危までの道を戻り、そのまま土佐山田まで向かう。土佐山田からバスで20分ほど行ったところには山口県秋芳洞、岩手県龍泉洞に並ぶ鍾乳洞龍河洞がある。そこを見てからゆっくり高知県を横断することにしよう。
小歩危→土讃本線→土佐山田
大歩危→小歩危間の乗車券復路使用開始および使用終了
枕崎→広尾間の最長往復切符復路大歩危駅から使用再開
枕崎→広尾間の最長往復切符復路土佐山田駅で途中下車




