8019T列車 江の川の鶏(鵜)飼い
皇紀2745年6月21日(第120日目) 国鉄芸備線三次駅。
江津→三江線→三次
枕崎→広尾間の最長往復切符復路三次駅で途中下車
江津駅から三江線の列車に乗ってから3時間。さすがに乗りっぱなしは体にくる。僕達は一端ここで降りて、体を伸ばすことにする。前に来たときは夜だったからなぁ、昼間に来るのは初めてだ。
駅から歩いて江の川まで来てみた。
「三次って鵜飼いやってるのよねぇ。」
と言う。
「何。鵜飼い見ていきたいの。」
「そりゃ、見てみたいけど・・・。その・・・時間無いでしょ。」
「・・・。」
今現在120日目。明日で121日。ちょっと浜松へ帰ることを考えると先を急ぎたいところだが。
「萌が見たいなら、見ていこうか。」
「えっ、別にいいよ。無理しなくても。」
「無理じゃないから。さて、どう時間潰すか考えないとなぁ・・・。」
鵜飼いをやるのは夜だ。まだまだ日が高い。
三次駅の近辺で時間を潰し、鵜飼いの見学が出来る乗船場へ向かう。休みの時期と重なっていないせいか乗船するのに難は無かった。他に鵜飼いを見に来た人たちと船に乗り込み、江の川へと乗り出した。
しばらくすれば鵜飼いをする船に漁り火が焚かれる。オレンジ色に輝く炎の元に黒い鳥が見え隠れする。
「あれがリアルウッウ。」
「リアルウッウってなぁ・・・。ポケモンにするな。」
「あっ、どうやら鵜が魚を捕ったみたいです。」
一羽船の上に上げられる姿が見える。顔を籠に向かせて魚を吐き出される。「おうぇ」って言う声が聞こえてきそうだ。
「欲もまぁ、あんなに手際よく出来るよなぁ。」
「ナガシィの場合全部食べられちゃいそう。」
「・・・反論出来ないのが何か悔しいなぁ・・・。」
船には入れ替わり立ち替わり鵜が出入りする。ほんのちょっとの変化だと思うけど、よく分かる。その点はさすが職人だ。
漁師さんの手際のよさに呆気にとられている内に、鵜飼いは終わってしまった。
「どうする。駅戻って福塩線乗っちゃう。」
と萌に聞く。
「乗っちゃおうよ。急ぎたいんでしょ。」
三次駅まで駆け戻り、1両止まっているディーゼルカーに滑り込んだ。福山に到着する頃には日をまたいでいた。
三次→芸備線・福塩線→府中
府中→福塩線→福山
枕崎→広尾間の最長往復切符復路福山駅で途中下車




