8017T列車 奥出雲観光
皇紀2745年6月20日(第119日目) 国鉄木次線備後落合駅。
川に沿いながら、山間を縫う。すると前に開けた土地が見えてくる。山の中の割に大きい建物が建っているが、それは既に廃墟になっているようだ。その先にある駅が木次線との分岐駅備後落合駅だ。駅舎から最も遠いホームと最も近いホームにはすでにディーゼルカーが止まっている。遠いものは芸備線の三次行き。近いものはこれから乗る木次線の宍道行きだ。
備後落合→木次線→亀嵩
木次線は出発するとすぐに山に分け入る。西日本では最も高いところを通っているうえにその道は鉄道にとってとても険しい。ディーゼルカーも息を上げて走っているようにも感じる。
「おお。ナガシィ。見えてきたよ。」
萌が僕を誘う。窓から外を眺めると奥出雲の山並みが見える。
「木次線ってやっぱいいところ走ってるよね。」
「そうだな・・・。」
ここは何度来ても飽きないのだが、周りはそう感じていないらしい。この列車の乗客は数えるぐらいしかいないが、ヒマすぎるのか寝ている。路線としては確かに暇かもしれない。そこは認めよう・・・。
山並みがだんだんと下がってくると列車は出雲坂根駅に入る。駅に入る前に1回止まる。3段スイッチバックというものだが、これも険しい道に鉄道を通すための知恵だ。そして、この列車は出雲坂根で長い時間止まる。
枕崎→広尾間の最長往復切符袋出雲坂根駅で途中下車
外に出て体を延ばす。ちょっと疲れもたまっているのかあくびも出る。この駅では乗客は皆休憩がてら降りた。
(こんなところで取り残されたらたまったもんじゃないけどなぁ・・・。)
「ナガシィ。延命水ってあるよ。飲んだら長生き出るよ。」
「長生きってなぁ・・・。僕らもう死んでるんだぞ。」
「いいじゃん、長寿には生きてるも死んでるもないわよ。現にこうやって生きてるじゃない。」
「・・・。」
「飲も。のどか湧いたから。」
「はい、はい。分かったよ。」
と言ったとき踏切がなった。それに一瞬びくっとする。あれ長い時間の停車じゃなかったっけ。そう思って僕は列車の中にとどまった。すると山の下から列車が駆け上がってきた。広島行きの快速「千鳥ライナー」だ。3両編成の列車はホームいっぱいに入ったかと思うとさっさと山を登っていくために駅を発つ。
「これで安心した。」
「あっ。うん。」
ホームに降りて、萌が飲みたいっていう延命水でも飲むか。熱い空気にさらされている体にとおる冷たい水はとてもおいしかった。
列車の出発時間が迫り、車内に戻る。それから亀嵩駅で奥出雲そばを食べて、木次で下車した。今日の移動はそれで終了せざるを得ない・・・。疲れた・・・。
備後落合→木次線→亀嵩
枕崎→広尾間の最長往復切符袋亀嵩駅で途中下車
亀嵩→木次線→木次
枕崎→広尾間の最長往復切符袋木次駅で途中下車




