8011T列車 変わった駅
皇紀2745年6月18日(第117日目) 国鉄福知山線宝塚駅。
宝塚と言ったら宝塚歌劇。そうなるのが普通だろう。だが、いかんせん僕達は歌劇に興味が無い。僕達は宝塚から福知山線の電車に乗った。乗る列車は普通新三田行きだ。
宝塚→福知山線→武田尾
枕崎→広尾間の最長往復切符復路宝塚駅から使用再開
電車が宝塚駅を出発すると風景は途端に山がちになる。ここまで大都市を結ぶ鉄道という側面が強かった福知山線もかなり性格が異なるらしい。生瀬駅に停まり次の武田尾駅までの間電車は長いトンネルを駆け抜けていく。そのトンネルをでる前に減速を始め、風景が開けると電車は止まった。だが、止まる頃には僕達の乗っている1号車はトンネルの中に入っている。
「フュー・・・。キィィィゴォォォォォ・・・。」
トンネルのため音が響く。電車がホームから過ぎ去っても音はこだましたままだ。
「変な駅ねぇ。半分トンネルで半分川の上にあるんだもん。」
これは日本で唯一の構造である。日本には川の上にある駅やトンネルの仲にある駅など探せば色んな多彩な駅がある。だが、ここのようにトンネルと橋の上にある駅はない。この武田尾駅がなぜこのような形状になったのかというと「線形改良」のためだ」現在、福知山線が大阪方面への通勤路線として機能出来ているのは単線だったこの辺りを全線複線電化する工事が完了したためである。
「まもなく2番乗り場を列車が通過します。危ないですから黄色い点字ブロックの内側までお下がりください。」
アナウンスがそういう頃、新三田方面のトンネルの壁がにわかに黄色く染められる。「ゴォ」ッという音と共に列車が現れ、武田尾駅を高速で駆け抜けていく。221系4両と223系6000番台4両で組成された「河内路快速」松井山手行きと分かった。
「速いねぇ。」
「ここだったらあれも120キロ出してるかもな・・・。」
武田尾を通過した列車はもう反対側のトンネルに入り、テールランプも見えなくなっている。
「さて、じゃあ僕達も息ますか。」
枕崎→広尾間の最長往復切符復路武田尾駅で途中下車
萌を誘って、武田尾駅の外に出ることにした。
階段で改札口の所まで降りると2つ改札機が並んだものが現れる。見慣れたゲートのようなものは無くただ、改札機の機械だけ置かれているような所だ。大阪の近くだというのにこんなに小さい設備で足りてしまうのかぁ・・・。
「これ、私達このまま降りちゃって良いのかな。」
と萌が言う。
「別に不正してるわけじゃないんだから、普通に降りれば良いだろ。通ちゃおうよ。」
そう言って僕が先に改札を通る。ゲートもないので「ピンポーン」としめられることもない。しっかし、不正してないのに不正乗車している気分だ・・・。




