8009T列車 直通快速の使い方
皇紀2745年6月17日(第116日目) 国鉄山陽本線西明石駅。
西明石駅は山陽本線との乗換駅である。乗り換える前に僕達は西明石で駅弁を買った。それはとても重量感のあるツボだ。ヒッパリダコ飯という。これも前から気になっているものだ。
さて、朝方の山陽本線は大阪への通勤客で賑わっている。西明石より西から走ってくる列車は軒並み大勢の通勤客を抱えて入ってくる。それらに身を捩り、車内に吸い込まれていく風景が繰り広げられる。
「あんな列車には乗りたくないなぁ・・・。」
「ホント・・・ナガシィ、ちょっとあすこの指定席券売機で指定席券発券してきてよ。」
と萌が言う。しかし、それは恐らく無駄なことだ・・・。
「さっきの新快速の乗車率見たろ。指定席車ほぼ全部埋まってたぞ。」
「「シティライナー」ならまだ取れるんじゃない。」
「無理だと思うけどなぁ・・・。」
それでも萌は引き下がらなかった。仕方ない。こうなったら指定席券売機を叩いて空席状況の確認だけでもしてみるか。しかし、結果は案の定満席だ。途中の神戸とかまでなら空席があるみたいだが、大阪までとなるとそうは行かないらしい。これは尼崎まで殺人的な混雑に身をゆだねなければならないのだろうか・・・。
「直通快速に乗っていこう。」
僕は萌を誘った。
大阪方面の新快速がでて3分後に10両編成の直通快速が入ってくる。新快速のすぐ跡にやって来る列車ということも相まって車内は少し空いている。こういう賢い使い方を心得ている人間が乗り込む。
西明石→山陽本線直通快速→神戸
枕崎→広尾間の最長往復切符復路西明石駅から使用再開
直通快速で運用されるのは片町線・福知山線系統の快速列車で使用されている223系6000番台だ。スピードに乗ってくると床下から爆音が響いてくる。車掌の停車駅の案内を聞いていると新快速と同じようだ。ラッシュ時間帯なら最高速度が120キロでも問題ないのだろう。
明石に止まってもあまり客は増えない。
「あんまり混まないね。」
「これって尼崎から大阪東西線に入って大阪行かないからかな・・・。」
ドアが閉まる。この段階でもまだ自由に動ける空間がある、
「ああ、それはあり得るかも。」
床下から響く音がすごみを増し、僕達の声をかき消し始める。
ふと右を見ると淡路島が見えるようになる。海には大きな柱が2つ浮かんでいる。あれが将来四国のつながるのだろうか・・・。そんなことを思った。




