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7802T列車 走るホテル

皇紀2745年2月19日 国鉄(こくてつ)東海道本線(とうかいどうほんせん)東京(とうきょう)駅。

 退勤ラッシュが始まる前。東京(とうきょう)駅。在来線ホームから少々見上げる位置には白に青いラインが入る100系新幹線がその巨体を横たえている。方向幕には赤文字で「ひかり 博多」と書かれている。まだこれから博多に行ける列車が走るのだ。

 振り返れば、上野(うえの)東京(とうきょう)ライン、京浜東北線(けいひんとうほくせん)山手線(やまのてせん)中央線(ちゅうおうせん)の列車と電車がひっきりなしに東京(とうきょう)駅に入る。どれも最低12両編成を組んでいるが、立ち客が出ている。これだけの輸送力がありながら、ラッシュがまだ訪れていないところを考えると一体どうなるのだろうか。それを考えるだけで寒気がするが、僕たちはさっさと人権に逃げることにしよう。

「ポッ、ポッ。」

スーツに身を包む人間が右往左往している中に甲高い汽笛が響く。

「ピョーッ。」

「ご注意ください。列車は行っております。到着いたします列車は寝台特急「はやぶさ号」西鹿児島(にしかごしま)行きです。」

駅員の案内とシャッター音が混じる。品川(しながわ)方面から電気機関車に引っ張られ青い客車が入る。昨日は583系という電車を用いた寝台特急に乗ったが、これが本物の寝台特急の形と言えよう。先頭に立つEF66形電気機関車はいつ見ても勇ましく、そして誇らしい。

「今日も寝台特急・・・。良いなぁ。」

「僕見ても羨ましいって思うなよ。」

「あっ、そうだったわね。」

 寝台特急にカメラを向ける人が多い。ほとんどは大きい荷物を提げている。雰囲気から鉄道ファンだと分かる。ほとんどの人間は「はやぶさ」で一夜を明かし、少なくとも博多までは行くのであろう。

 折り戸が開くとなだれ込むように鉄道ファンが車内に入る。早速神大に入るのかと思いきやしきりに写真を撮る鉄道ファンの姿がある。そんなに珍しいものかと思ったけど、考えてみれば「はやぶさ」をはじめとする九州特急は西暦2000年代前半にほぼほぼ全滅した。まして3段寝台を備えた14系客車、24系客車は見たことのない人間の方が多いのだろう。僕たちも見たことないからね。

「私達はA寝台かぁ。」

「一人用個室だから、明日までごゆっくり。」

そう聞いてみた。

「別に明日まで語ゆっくりってわけじゃなくて寝る直前まで一緒にいようよ。」

「分かったよ。」

 出発時間、列車は発進の衝撃を全く感じさせない内に東京(とうきょう)を発つ。

「皆様、大変お待たせいたしました。ただいま東京(とうきょう)駅を時刻通り出発いたしました列車は寝台特急「はやぶさ号」西鹿児島(にしかごしま)行きです。」

となりを東海道新幹線「ひかり号」が下っていく。あっちで行けば24時前に博多に着ける・・・。

東京(とうきょう)東海道本線(とうかいどうほんせん)山陽本線(さんようほんせん)鹿児島本線(かごしまほんせん)寝台特急「はやぶさ」→西鹿児島(にしかごしま)


一口メモ

国鉄EF66形電気機関車

1000t級貨物列車を1両で牽引するために開発された電気機関車。寝台特急の牽引にも用いられ、九州特急のほとんどが彼らによって牽引される。


寝台特急「はやぶさ」

東京~西鹿児島間を結ぶ寝台特急。ほぼ1日かけて同区間を走破する。


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