7999T列車 シフトを倍にします。
皇紀2745年6月12日(第111日目) 国鉄関西本線奈良駅。
「日程がきつい。」
僕の言葉に萌は聞き返した。
「うん。考えてもみなよ。今、大阪にいるでしょ。こっから一端北陸回って、中国地方回って、四国回って、九州だよ。それで残りの日程は26日。最速で回れば十分すぎるけど、僕達みたいに観光しながらってなったらね・・・。」
「成る程。それで、こっからは出来るだけ早く進みたいの。」
「うん。まぁ。だけど、これからずっと早起きになるし・・・。嫌じゃ無きゃいいんだけど。」
「別にいいわよ。早起きには慣れっこだし。でも、どこ観光して、何処飛ばすかはちゃんと考えないといけないわね。」
「基準は新幹線でいいんじゃないかな。」
「安直ね・・・。」
朝早くに奈良駅に向かう。ここには特急列車が止まっている。大阪方面行きの通勤特急「みやこエクスプレス」である。
奈良→関西本線特急「みやこエクスプレス」→天王寺
枕崎→広尾間の最長往復切符復路奈良駅から使用再開
この列車は3両編成で自由席は2両。指定席は1両である。自由席は多いが指定席はガラガラだ。列車は郡山・大和小泉・王寺・久宝寺に停車する。指定席はなかなか混まない。しかし、自由席はそうでもないようだ。時折、デッキのドアが開いて通路にまであふれるサラリーマンの姿が見える。もちろん、この天国に浸っていられるのも天王寺まで。天王寺を過ぎると列車は浪速筋線に入っていくからだ。
天王寺→関西本線・大阪環状線→大阪城公園
枕崎→広尾間の最長往復切符京橋駅で途中下車
京橋→大阪城公園間の運賃大阪城公園で下車時運賃精算の上乗車
「やっぱりまだ開いてないよね。」
遠巻きに大阪城を見ながら、萌が言う。
「仕方ないな・・・。ああいうのは結構遅い時間からしか開かないから。」
「・・・大阪城は前にも見たからいいけど・・・、これからこういうの増える。」
「かもしれない。」
「まぁ、増えたんなら二重でまた改めて見に行けばいいか。」
「ゴメンな。」
「謝らなくたっていいわよ。またナガシィとどっか行けるならそれはそれで楽しみだし。」
「・・・。」
その顔はちょっと反則だなぁ・・・。
「何照れてんの。もしかして、私に惚れ直した。」
「・・・ノーコメント。ところでこれからどうする。大阪城公園戻る。」
「何でもいいよ。とにかく先に早く進まなきゃいけないんだし。」
じゃあ、この近くにあるもう一つの駅をたまには使ってみるか・・・。




