7995T列車 オーシャンアロー
皇紀2745年6月10日(第109日目) 国鉄紀勢本線白浜駅。
お昼の近い時間まで白浜周辺でゆっくりしていた。止まった場所から近い白浜にも行ってきたが、その白さに驚く。僕の知っている茶色い砂浜はここには無かった。
さて、今日は最長往復切符を使って和歌山を目指すことになるだろう。白浜には大阪から大量の旅行客をここに運んでくる。ちょうど特急「オーシャンアロー」新宮行きがホームに入ってきた。
「大きい荷物提げてる人たくさん入ってくるねぇ。」
「それだけパンダで癒やされたいんだろうなぁ・・・。」
僕はそう言った。
「まもなく1番乗り場に特急「オーシャンアロー」京都行きが到着いたします。」
とアナウンスがかかる。
到着する列車の車内に目を向けると観光には縁のなさそうな客が結構乗っている。この時間から買えるのか。それとも仕事か・・・。まぁ、他人の生活事情などこちらには分からない。
「て、私達ここにいちゃダメじゃん。乗るのあっちだに。」
「ああ、そうだった・・・。」
ここで「オーシャンアロー」の前側に3両増結される。大阪には堂々の12両編成で入っていく。僕達はパノラマ車両で和歌山まで見守っていくことにしよう。
白浜→紀勢本線特急「オーシャンアロー」→和歌山
枕崎→広尾間の最長往復切符復路白浜駅から使用再開
白浜を出てすぐはあまり本気で走っていない。しかし、時速80キロを少し超えるくらいのスピードで走っている。カーブが来ると「グイ」っと下から押し上げられたり、引き下げられたりする。振り子車両ならではの挙動だ。
紀伊田辺に停車し、列車は山を越えて海岸線へと抜ける。左にカーブを描くとき遠くに太平洋が見える。
「これはいい景色だねぇ。」
「乗って正解だな・・・。「オーシャンアロー」は乗ったことあってもグリーン車には乗ったことなかったりしたからなぁ。」
「よかったわね。夢かなって。」
「まだまだ乗ったこと無い列車の方が多いけどね。」
「・・・じっくり乗っていけばいいわよ。時間は沢山あるんだし。」
「そう言ってると知らぬ間に消えてたりしてな。」
「・・・そうならないようにしないとダメかぁ・・・。そう言うときは遠慮無く私を付き合わしていいからね。」
「・・・うん。そうする。」
乗り鉄もまたうかうかしていられないなぁ・・・。
「お弁当、お飲み物はいかがですか。」
後ろからかすかにその声が聞こえる。「何食べる」と僕は聞いた。
枕崎→広尾間の最長往復切符復路和歌山駅で途中下車




