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MAIN TRAFFIC7 -日本一の切符2745-  作者: 浜北の「ひかり」
枕崎→広尾(復路) 東北
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7945T列車 下準備

皇紀2745年5月13日(第81日目) 国鉄(こくてつ)東北本線(とうほくほんせん)仙台(せんだい)駅。

 昨日はかなり遅くまで天文台にいた。あの綺麗な星空はなかなか見ることが出来ないと感動していたところだ。そんな余韻に浸っていたら寝る時間がずっと遅くなってしまっていた。翌日起きたら8時30分を回っていた。今日ばかりは自分たちの起きた時間に驚愕したもんだ。

 仙台(せんだい)駅にやって来ると東北本線(とうほくほんせん)の特急列車がひっきりなしに入ってきていた。「やまびこ」、「こまち」、「はつかり」が電光掲示板にでている。この内僕達が選択するのは「はつかり」の後続となる「ひばり」だ。「ひばり」は仙台(せんだい)始発となる特急列車。一番空席が多かったものがこれだった。

仙台(せんだい)東北本線(とうほくほんせん)特急「ひばり」→福島(ふくしま)

枕崎(まくらざき)広尾(ひろお)間の最長往復切符復路仙台(せんだい)駅から使用再開

 特急「ひばり」が仙台(せんだい)を出発した頃、少し早いお昼ご飯の時間になった。僕達は食堂車に行ってお昼ご飯を食べることにした。普通車とグリーン車の間に食堂車が連結されている。通り抜けるための通路はないため食堂車を通って反対側に行こうとするのはかなり勇気がいるだろう。

「シチューでも食べる。結構美味しそうだよ。」

「うん、ハンバーグステーキにでもしようかな。」

「・・・はい、はい。あっ、すみません。」

 しばらくたつと僕達の前にハンバーグステーキが運ばれてきた。それを前にするとこんなものが電車の中で食べられるのかと感心する。鉄道車両という限られた空間の中で出来ることが少ないのは容易に想像が付く。だが、それでもこんなに美味しそうなものが食べられるのだ。

「いただきまーす。」

「はい、いただいてください。」

「雲・・・。美味しい。」

「そりゃよかったわね。」

枕崎(まくらざき)広尾(ひろお)間の最長往復切符復路福島(ふくしま)駅で途中下車

 僕達は福島(ふくしま)駅で「ひばり」から降りた。今日の最長往復切符の使用はここまでだ。僕達は改札を通り抜け、福島(ふくしま)(とうげ)間の往復乗車券窓口で、食料と少し調味料を近くのスーパーを買った。福島(ふくしま)米沢(よねざわ)間の奥羽本線(おううほんせん)は普通列車が極めて少ない。「ひばり」から乗り換えられる普通列車が行ってしまってから4時間程度空いてしまう。ここには鉄道にとってとても険しい板谷(いたや)峠が横たわっている。ここを通り抜ける人は多くても用がある人は少ないからだ。

福島(ふくしま)奥羽本線(おううほんせん)(とうげ)

福島(ふくしま)(とうげ)間の乗車券往路福島(ふくしま)駅から使用開始

 庭坂(にわさか)駅を過ぎると途端に峠の様相を呈しだす。鉄道はカーブを使って高度を上げ、今まで見ていた街の風景を下に見るようになる。車窓から人家が消えると「まもなく赤岩。赤岩です。」とのアナウンスが流れた。

 赤岩駅に到着する手前列車はポイントを超えて本線の脇に停車する。それから進行方向を変えて駅に入った。奥羽本線(おううほんせん)名物のスイッチバック駅だ。赤岩から板谷(いたや)(とうげ)大沢(おおさわ)と4連続でスイッチバック駅が続く。僕達はこれの3つめ(とうげ)で降りることになる。

福島(ふくしま)(とうげ)間の乗車券往路(とうげ)駅で使用終了

「ああ、降りちゃった。」

シェルターの中から列車が出発していく。今まで走ってきた方向とは逆方向に走って、しばらくたったらホームよりも下を通り過ぎていく。

「滑川温泉まで歩いて行くの。」

「この時間にここに来ますって言ったらお迎えがちゃんとあるよ。」

「つまり帰りはないのね。」

「・・・さてと、今日はよろしくね。」

「はい。はい。分かってるから。もう・・・エッチ。」

「ごめんなさいねぇ。オホホホ。」

「やめて、気持ち悪い。」


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