7943T列車 サメの歯
皇紀2745年5月11日(第79日目) 国鉄大船渡線一ノ関駅。
「私達は・・・今自然の豊かさを感じておりまーす。」
「何してるのさ。」
昨日は一ノ関まで駒を進めている。朝方早起きして中尊寺に来た。その昔、東北で栄えた都平泉。今は過去の繁栄を現在に伝える場となっている。
「こういう長閑なところに住んでた人が羨ましいなぁ・・・。」
「そうか・・・。昔は人でいっぱいだったんだろうし、思うほど長閑じゃ無いと思うけど。」
「もう、ナガシィは夢がないなぁ・・・。」
「そんなことないよ。」
「そんなことあるから言ってるの。」
「・・・。」
さて、中尊寺と言えば金色堂が有名だ。今回も金色堂を眺めてから、大船渡線の列車に乗ることとしよう。今の金色堂は金色堂をすっぽりと覆う建物と、さらに金色堂を取り囲むガラスケースによって厳重に守られている。ケースの中にはその名の通り黄金のお堂がある。
「これが昔は劣化してたなんて思えないくらい綺麗だよなぁ・・・。」
それが一番の感想であった。
平泉からバスで一ノ関まで戻る。一ノ関からは大船渡線に乗って太平洋側へと抜ける。
一ノ関→大船渡線→気仙沼
枕崎→広尾間の最長往復切符復路一ノ関駅から使用再開
枕崎→広尾間の最長往復切符復路気仙沼駅で途中下車
気仙沼に着いたら、僕達はシャークミュージアムに行くことにした。気仙沼はフカヒレの産地としても有名だ。フカヒレはサメのヒレ。つまり、サメが一番捕れる街でもある。そう言う待ちにこういう場所があるのは面白い。
「サメって人襲うイメージしかないんだけど。こんなのでかまれるんだよ、嫌じゃない。」
と萌が展示されているサメの歯に近づく。まぁ、確かにサメって言うのにそういうイメージが付くのは映画のせいでもなく、事実だからだけどね。ただ、思うほど人を襲う事例が多いわけではなかったはずだけど・・・。
「かまれたら一瞬で終わるからまだいいかもよ。」
「ナガシィ・・・。諦め早いのはいいけど、本能には抗おうよ。」
「・・・別に本能がないって訳じゃないでしょうが。」
「フフフ。下には氷の博物館ってのもあるよ。行ってみる。」
「当然。」
「ナガシィってホントこういう所好きよねぇ。」
「いいだろうが・・・。」
「別に悪いとは言ってませんよーだ。」
「・・・。」
そう言うと萌はサメの口から離れて僕の後ろに回った。
「行きたいんでしょ。まだ時間はあるよ。乗り遅れても問題ないし。」
「・・・フン・・・。萌は何でもお見通しだね。」
「当り前よ。何年一緒にいると思ってるのよ。」
向こう含めたら、もう90年は超えたか・・・。まぁ、何でもいいか。
気仙沼→気仙沼線→前谷地
前谷地→石巻線→石巻
枕崎→広尾間の最長往復切符復路石巻駅で途中下車




