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7795T列車 国境の隧道を抜けるとそこは雪国だった。

皇紀2745年2月17日 国鉄(こくてつ)高崎線(たかさきせん)高崎(たかさき)駅。

 高崎(たかさき)駅は交通の要所である。上越国境を越える特急「いなほ」、「とき」。碓氷峠を越える特急「白山(はくさん)」、「あさま」。水上(みなかみ)駅に向かう特急「水上(みなかみ)」。吾妻線(あがつません)に直通する特急「草津(くさつ)」、高崎(たかさき)止まりの特急「あかぎ」。これらがここから分かれていく。どれも10両編成以上の編成を組み大量の客を運んでいく。

 この世界には新幹線ネットワークが発達していない。所要時間が平然と4時間を超える在来線特急でさえ多くの旅客は利用せざるを得ないらしい。「本当に新幹線計画はないのかな」と思って高崎(たかさき)周辺を見てみると「東京(とうきょう)新潟(にいがた)長野(ながの)金沢(かなざわ)に新幹線を」という横断幕がかかっていた。市役所にかかっている辺り、誘致運動は活発らしい。

「早いところ新幹線整備されないかな。」

僕がポツリと言うと、

「もうちょっとなんじゃない。」

と萌が僕をつつきながら言った。それに「ちょい、辞めろ」って言おうとするとある方向を指さした。そっちに高架橋がある。新幹線の高架橋らしいなぁ・・・。架線は貼られていない模様だ。

「これ最長往復切符の間に開業すると厄介だねぇ。」

「厄介ねぇ・・・。経路変わっちゃうもんね。」

本当に経路変わるか分かんないけどな。

 高崎(たかさき)駅に485系12両からなる特急「いなほ」が入線する。昨日乗った「雷鳥(らいちょう)」とは違い、上を白、下を紺色に塗られ、扉付近は緑色になっている。前面も485系とは思えないほど様変わりしている。3000番台と呼ばれるグループであった。

西大津(にしおおつ)枕崎(まくらざき)間の乗車券高崎(たかさき)駅から使用再開

高崎(たかさき)上越線(じょうえつせん)信越本線(しんえつほんせん)白新線(はくしんせん)羽越本線(うえつほんせん)特急「いなほ」→酒田(さかた)

 高崎(たかさき)を出発し、建設中の高架橋をくぐる。上越線(じょうえつせん)へと入線し、グイグイ坂を登っていく。この区間は上越線(じょうえつせん)で景色の良い区間と紹介されていたが、確かにこれは見入る・・・。

 水上(みなかみ)を越えると「いなほ」は上越国境越えにかかる。湯桧曾(ゆびそ)駅の通過と同時にトンネルへと入り、時間をかけてトンエルを抜けるとそこは雪国になる。

「おおっ。」

前に広がる深い雪。それを蹴り上げ突き進んでいく。

「外から見てみたいねぇ・・・。」

「外から。ヤダ。寒いわよ。」

「そうかもしれないけどさぁ・・・。」

周囲から「カシャ」と言う音が聞こえる。乗客もこの風景は写真に収めたいらしい。

 雪の中をかけ、新潟(にいがた)駅に到着。「いなほ」はここで進行方向を変え、白新線(はくしんせん)羽越本線(うえつほんせん)方面へと走る。しかし、新潟(にいがた)を出発してから一気に雲行きが怪しくなった。

「この先、風が強まりますと列車の運転継続が出来なくなる恐れがあります。あらかじめご了承ください。」

とのことだった。列車にとって風は脱線の原因にもなる怖いものである。実際羽越本線(うえつほんせん)では特急「いなほ」の脱線転覆事故が起こっている。それもある以上よほどの強風が吹けば運休も普通にあり得る。日本海側を走る羽越本線(うえつほんせん)らしいところである。

「大丈夫かな。」

「大丈夫じゃなさそうだな・・・。」

「いなほ」のスピードは落ちる。これは不味いなぁ・・・。


国鉄485系3000番台

485系を近代化改修した姿。黄色の青森車、緑色の新潟車、ピンク色の秋田車と様々なバリエーションがある。


特急「いなほ」

上野から新潟経由で秋田までを結ぶ特急列車。一部列車は青森まで乗り入れる。


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