7934T列車 楽しい列車
皇紀2745年5月6日(第74日目) 国鉄奥羽本線弘前駅。
桜を見てから、弘前駅に戻る。時間は14時20分になっている。ホームには4両編成のディーゼルカーが入ってきている。ディーゼルカーにしては綺麗すぎる。あれはこれから行く五能線のリゾート列車「リゾートしらかみ」だ。
弘前→奥羽本線・五能線・奥羽本線快速「リゾートしらかみ」→秋田
枕崎→広尾間の最長往復切符復路弘前駅から使用再開
ゴールデンウィークも終わっていったこともあり、車内は少し空いている。僕達はボックス座席を取っていた。
「ナガシィ。津軽三味線の演奏聴きに行く。」
と萌に聞かれた。
「えっ、車内で三味線の演奏があるの。」
梓は物珍しそうに聞く。
「うん、こっから五所川原までの短い間だけど。迫力あるわよ。」
「聞き行こう。早くさ。」
梓に促されて、萌も先頭の方へ歩いて行った。
「鳥峨家はどうする。一応モニター着いてるからここでも聞けるっちゃきけるけど。」
「うん。梓ちゃんとくっつけないのはあれだからなぁ。俺も聞き行くか。」
本音が入っていた気がするけどまぁいいや。
迫力のある津軽三味線の演奏。普通なら、ホールとかそう言うところで聴ける演奏が鉄道車両の中で聴けるとは意外だ。
五所川原の停車で三味線の演奏隊がおりる。それからは沿線の紹介を交えながら、列車は秋田へと駒を進めていく。萌も梓も展開される五能線の絶景にスマホのカメラを向け続けていた。僕ら旦那はと言うとそんな嫁を眺めているだけ・・・。まぁ、鳥峨家は凄く満足そうな目で梓を見てるけどねぇ。
「んっ。あっ、ゴメンナガシィ。あんまり構ってあげられてないね。」
「いや、別にいいんだけど・・・。」
「後でちゃんと構うから許して。」
「・・・許すも何も無いから。」
「萌ちゃん・・・。まだ日は高いからね。」
「あら、私は別にそんな話をしてるつもりは無いんだけど。勘違いされると困るなぁ・・・。」
「なっ・・・。」
「梓ちゃんは案外変態だからなぁ・・・。」
「ちょっと変態扱いするな。ぶっ飛ばすわよ。」
「おお、怖い怖い。」
「・・・全く昼間っから何の話してるんだか・・・。」
「プッ、フフ。」
「アハハ・・・。ホント。」
「まぁ、年頃の男と女なんだし、当然だろ。」
年頃ってほどでもないけどなぁ・・・。あっちで90年くらいは生きたわけだし、もう知った中もここまで来るとそんな話もしなくなるレベルに達しているとは思うのだが・・・。やっぱり本能には勝てないらしい。
「あっ、ここ。すっごい景色いいから。梓ちゃんと撮っといた方が良いよ。」
「オッケイ。」
「・・・。」
まぁ、何でもいいか。
枕崎→広尾間の最長往復切符復路秋田駅で途中下車




